演劇知

劇的考察譚

実技発表会とは

2012-02-29 01:30:36 | Weblog
例年行っている子どもたちの実技発表会。今年も観る。

邦楽、日舞、和太鼓と技能を修得し観せる。期間も短いし、始めたばかりなので当然質としては足りない部分があるが、しかし表現を媒体とし、自身を見せようとするその姿が素晴らしい。というかそれを観ているだけでわたしは嬉しくなる。


日舞。ミスした時の照れ笑いもなくなり、また踊りの流れに潜り、入り込んで舞っている人間もいた。何より「艶」が表現出来ている子がいたのには驚いた。夏より進化している。


表現活動。例年以上にストーリーを作り込み、個々人のダンスではなく、団体としての表現になっていたのが良かった。わたしはこういうのが好きなのだと自覚した。つまりはストーリー、団体表現、若者の努力が揃うと涙を流すのだ。内容は恋心を描いた可愛らしいものだったのに泣いちゃってんの、わたし。

舞芸。個別のソロダンス。例年よりも多くの子が参加し、ダンス技術が追いつかなくてもそれを補う独自の表現手法、特技を生かした動作、ストーリー性と、其々の工夫が良かった。個人的に好きだったのは「リズムマン」。ダンス技術とストーリー性が丁度宜しい。

「witch trial tale」とは

2012-02-28 01:23:57 | Weblog


こちら、1の修了公演として3月12日に16時よりいつもの講堂で上演予定です。ご存知の方は是非。

今年は1の方でも修了公演を行うことが出来て非常に嬉しく思っています。初の試みどうなることやら。



作品は魔女裁判の話です。童話の主人公達が集い、魔女を探すという内容。彼、彼女達のやりたいことをまとめ、大人の全力の仕掛けも配置したなんとも贅沢な物語です。是非に。

通し稽古。一人欠けた状態、台本持ったままでしたが概ね順調。アドリブシーンがあるのですが、そこも集中切らせることなくきっちり出来ていました。

後はどこまで詰められるかでしょう。

帝京大学演劇部 VIXENS THEATER第21期卒業公演とは

2012-02-26 00:58:50 | Weblog
帝京大学演劇部 VIXENS THEATER第21期卒業公演
@西荻窪 遊空間がざびぃ

多少婦人に客演して下さった野本さんが、ぼそっとつぶやいていたのを見つけ、観に行く。オムニバスで彼女も作演しているとのことで楽しみだ。



関係者が役者の場合で、終演後「どうでした?」と聞かれるととても困ってしまう。技術的なことは言えるが、役そのものとなると言葉が詰まってしまう。言えることは「合っていたか合ってなかったか」ぐらいになってしまう。というのもそこには役者だけの表現ではなく、その上に劇作、演出の表現が覆い被さっているからだ。演出の意図があってその役作り、所作、台詞回しになったのだとしたら、それを批判するのは演出への批判であって役者へのではない。

ということで関係者が劇作演出であると、とても評価をし易いのでありがたい。わたしの子どもたちにも是非劇作演出をして頂いて、わたしと勝負をして欲しい。


で、野本さんの作品。

Comnedy No.3 取調室

お笑い好きの野本さん。Comedyとつくからにはと思っていたが、やっぱり取調室のコント。ホスト刑事。ホストテクでストーカー嫌疑が掛かった女性を自白に導く。

このまま終わっていたらなんともだったが、そこから物語は「ストーカー」の方に焦点が置かれ、シリアスな展開へ。野本さん演じる書記担当の刑事が拳銃を使いおいしいところをもっていく。作演でもっていくなんて昔のわたしみたいだ。

エンディングにもってきたダンスも可愛らしく、面白かった。


しかし、計6本のショートショート総時間2時間半、わたしの腰が悲鳴を上げる。









第21回 Gruppo di Crescendoとは

2012-02-25 00:40:36 | Weblog
第21回 Gruppo di Crescendo
@せんがわ劇場

教え子若月さんの声楽の発表会に行く。


普段仙川といえばもっぱら桐朋の舞台を観に行くだけなので、今回初めてのせんがわ劇場、なんだか新鮮な感じがする。仙川の新たな一面を見る。

若月さんは大人の部として休憩を挟んだ後半に登場した。前半の子どもたちには見えなかった圧倒的な表現力はお見事。声楽の専門ではないので詳しいことは言えませんが、それでも見ていて気持ちの良い舞台でした。


しかし緊張が表情に出ていたのと、入退場の歩きがズカズカと優雅ではなかったので、そこは直して頂きたい。





その後、久し振りということで食事をする。これまで彼女とここまでじっくり話す機会というのはなかったように思える。色々話が聞けて良かった。

電動夏子安置システム「君には頭がさがる」とは

2012-02-24 00:07:01 | Weblog


電動夏子安置システム
第26回本公
#026【君には頭がさがる】
【日程】
2012年2月23日~28日
【会場】
池袋シアターグリーンBASE THEATRE




兄さん劇団の芝居。やはり観に行った多少婦人山本主宰が分析して曰く


京極夏彦だ


と。


村芝居。シチュエーション芝居を手法とし、1つの場所を基礎として行われる電夏芝居。今回は次々と場所が移っていく。場転の切り替えが素晴らしく早いな、小説を読んでいるみたいだなと思っていたところ、映画のカットバックを表現していたとのことで納得。

いつもの複雑なロジカルさ、ルール、不条理なシステムよりもストーリーの展開に重きを置いていたように見え、なんとなく電夏初期を思い出す。近年見始めたお客様には物足りないと思われるかもしれず、初めてみたお客様には入り易く、昔から見ているお客様には懐かしいと思われる、そんな芝居。

役者澤村の引退試合でもあった。ロングブレスでおなじみの美木良介張りの鍛え上げられたその肉体を見せつけ、言葉では全く表現出来ない奇怪なくねくねを見せてくれた。久し振りに腹から笑った。愛すべき澤ちゃん。


最後のどんでん返しを3つ4つ置いてくるのは流石竹田氏。


評価で「幽霊の正体、見せ方、村の人間の反応」が取り上げられていたが、作り手は小説的なミスリード、事実の発覚を狙っていると思われ、また今回の芝居で観せたいところはその事実ではないので、そこまで目くじら立てずに「そういうものなんだ」とスッと腑に落とせばよいのでは、などと思う。
個人的には幽霊の扱いが発覚してから一同が集い、小原さん演じる里見がその事実を突きつけた時の、村人一人一人の目線が好きだ。

ニュースから~大阪市暫定予算案 子育て世代応援鮮明~

2012-02-22 23:06:11 | Weblog
 大阪市の橋下徹市長が就任後初めて手がけた平成24年度当初予算案が20日、発表された。子供や子育て世代を重視した施策を打ち出す半面、一部文化団体への補助金は就任当初の宣言通り凍結し、随所に「橋下流・選択と集中」をのぞかせた。一方、昨秋の市長選では「全面凍結」を示唆していた自治会組織への補助事業は条件付きで計上するなど、現実を見据えた“方針転換”も見受けられる。
◆妊婦健診実質無料化
 橋下市長は予算編成に当たり、現役世代の活力を高めることで高齢者を支え、大阪の再生につなげるというストーリーを描いた。
 まずは子供を産みやすい環境づくり。妊婦健診への公費負担を拡充し、約22億円を投入。1人当たりの負担額は全国最低レベルの5万7540円から9万9810円へと一気に跳ね上がり、実質無料化を図った。橋下市長は「妊婦健診の実質無料化は、おそらく全国で初めて」と胸を張った。
 子育て世代に歓迎されそうなのが、乳幼児医療費助成対象の拡大だ。所得制限はあるものの、現行では0~6歳にとどまっている通院費助成の対象を、中学卒業(15歳)までに拡充した。難病の子供に対し、既存の制度の対象にならない患者の助成制度もスタートさせる。
◆中学給食21億円計上
 中学校での給食導入は、大阪府知事時代からこだわってきた事業だ。大阪市ではすでに選択制給食の導入を決めていたが、全員が給食を食べる「全員喫食」を目指す施策となる。
 ただ、最終的に全員喫食とするのか、家庭から持参する弁当との選択制にするのかは、各区の区長の判断に任せる方針。早い学校では2学期から選択制給食をスタートさせていく方針で、新年度予算には21億円近くが計上された。
 中学校では普通教室のエアコン整備も進める。新年度は2学期から、中学3年や特別支援学級の教室など約千教室分のエアコンを設置する方針で、約28億円を盛り込んでいる。
◆西成塾助成1万円
 橋下市長が打ち出す西成特区構想にからみ、同区への重点施策も目立つ。
 西成区に限っての試行実施として、子供たちの学習意欲を促すため、1人当たり月1万円の塾代助成を実施。学習塾だけでなく、文化・スポーツ教室などにも使用できる仕組みをつくるといい、同区の市立中学6校(生徒数約950人)が対象となる。
 特区構想をめぐっては、構想の実現に向けた調査費として300万円を計上。構想実現に向けた調査研究が行われる。(読売新聞)




最近橋下市長関連で大阪の教育の問題を目にする。大阪のモデルではあるが実際は全国でも共通する問題である。ネットの発達により、日常的に問題を目にすることが出来るのは良い傾向である。問題意識を持ち、解決に向けて行動をすることが出来る。

上記の記事、中学校給食の取り組みは大変素晴らしいと思う。健全な体には健全な精神が宿るというが、スタニスラフスキーも言うように肉体と精神は表裏一体であり、どちらが欠けてもいけない。感情は身体感覚と密接に絡まり、逆もまた然りである。給食のない子達、弁当持参率は8割で残りの2割は買ってきた菓子、惣菜パンであると。大学時代、菓子パン、惣菜パンをメニューとしてきたわたしだから分かること、中学生がそれではダメである。腹は満たされるが味覚は満たされず、また栄養も満たされない。更には「弁当を持たせてくれた」という家族への思いも満たされないのである。

良い行為にも金は掛かる。以下別の記事。



橋下予算案、自治会交付金や文化助成に大なた

「ゼロベースの見直し」を掲げ、橋下徹大阪市長が凍結や暫定的な予算措置で545事業に「待った」をかけた市の2012年度当初予算案。
 昨年の市長選で前市長を支えた地域団体、医師会への補助金や、知事時代にも大なたを振るった文化事業の多くが棚上げされ、7月に編成する本格予算案に向けて、公金投入の是非が裁定される。「市からの助成がなくなれば、活動に支障が生じるのは確実」と、関係者は戦々恐々だ。
◆文化がターゲット
 橋下市長が知事時代に「文化は行政が育てるものではない」として大胆に支出をカットした文化事業予算も見直しのターゲットだ。
 知事時代に約6300万円の府補助金を全額カットした大阪フィルハーモニー交響楽団に対しては、市からの助成金1億1000万円を凍結した。大フィル担当者は「市の文化振興に貢献していることをアピールしたい」と理解を求める。
 府からの補助金がほぼ半減した財団法人・文楽協会も年5200万円の市補助金が凍結され、担当者は「公演だけで採算を取るのは難しい」と漏らす。(読売新聞)



「文化は行政が育てるものではない」というが、行政を作るのは人であり、人の生活をより良くするのは行政である。行政が育てるものではないと一言で切ってしまうのは、拙いながらも芸術に携わるものとしては、正直厳しいものがある。

文化の根底には教育がある。教育は大切だ。だが文化が無くては、教育における「教養」の実践が出来なくなってしまうのではと思う。芸術・文化に必要なものは解釈である。解釈を行うには、物を知ることが必要である。例えば古典の授業、暗記的に助動詞の活用などやるが、それも偏に文化を解釈するためである。決して受験に勝つためではない。



楽団の担当の悲痛な叫びは痛いほど分かる。

ニュースから~思春期の子育て語ろう…栃木県がプログラム~

2012-02-21 23:49:07 | Weblog
 思春期の子どもへの対処法に悩む保護者をサポートしようと、栃木県教委が作成を進めてきた「思春期版家庭教育支援プログラム」がまとまった。
 保護者が学校行事に参加する際に、講演型ではなく参加型の会合を開いて悩みを打ち明け合うことで、保護者が家庭だけで問題を抱え込まない土壌作りを目指す。県教委は「親同士が情報を交換することで、いじめや不登校の防止にもつながれば」と期待している。
 プログラムには、思春期の子どもとの向き合い方や、保護者の参加型会合を開く際のポイントなどが掲載されている。
 県教委はこれまで、2005年度に「親学習プログラム」を策定するなど、親子のコミュニケーション活性化などを進めてきた。ただ、文部科学省がまとめた09年度の1000人あたりの不登校児童・生徒数は、栃木県が神奈川県に次ぐワースト2位になるなど、不登校対策が急務となっている。県教委生涯学習課は「思春期の子どもを持つ保護者に特化した対応策が必要」として、プログラムの作成を決めた。
 臨床心理士や中高校教諭、PTA役員ら計12人で作る委員会を昨年4月に設置。子どもと保護者が抱える課題を洗い出しながら、原案を作成してきた。
 モデル校になった中学校3校、高校3校では、進路説明会やPTA活動の後に保護者をグループごとに分け、「我が子の進路に親としてどう向き合うか」といったテーマで自由に話し合ってもらった。県教委の職員らが司会をし、事前に知らせずに実施した。
 保護者は最初は驚いた様子だったが、徐々に意見交換が活発になったという。参加者からは「他のお母さんも同じような悩みを持っていると知り、少しホッとした」「気心の知れた人たちとは違う、いろいろな意見が聞けた」「自分とは違う言葉のかけ方があるんだと勉強になった」といった歓迎の声があった。
 プログラムでは、性教育などをテーマとして扱う場合の議論の進め方、グループごとに出た意見を箇条書きにして発表する方法なども紹介されている。
 ただ、1月に開かれた委員会の最終会合では、ある自治体の担当者から「(議論の場で)学校への批判が出ないかと不安がる教員もいた」との報告があった。教員の研修の必要性を求める声も出たという。
 県教委は、プログラムを1万部作成し、年度内に県内のすべての中学、高校や教育事務所などに配布する。新年度からは、中学、高校、特別支援学校各1校をモデル校に指定して年に数回、参加型会合を開いてもらうほか、他の学校での開催も要請していく方針だ。(読売新聞)



インターネットの発達で情報はすぐに入るようになったが、それでも人間の心に関しての情報、我が子に今当てはまる情報というのは手に入らないようである。単独家庭の増加と三世帯家族の減少、家庭の孤立化が進む中、このような機会は大変素晴らしいと思う。PTAの活用、率先的介入としての良い事例である。「人間」を扱う以上、教師側も批判を恐れずに議論を重ねるべきである。教育の優先はあくまでも「子ども」にある。

しかし我が子ながら他人であり、他人の心というのはなんとも分からないものである。それゆえに大変でもあり、また面白いのでもあるが。演劇の有用性はこの「人間」を扱うことで、観客にも、そして創り手側にも改めて「人間」を考えさせるところにあると思う。

ニュースから~導入は橋下前知事ですが…大阪市「学テ」不参加~

2012-02-20 23:40:23 | Weblog
 大阪市の橋下徹市長が大阪府知事時代にスタートさせた小・中学生対象の「大阪版学力テスト」に、堺市教委が新年度、参加する方針を決めた。
 大阪市教委は「序列化につながる」と不参加を続けており、府内43市町村のうち、唯一、橋下市長の足元だけが取り残される。全公立小中学校で実施していた全国学力テストは2010年度から学校抽出方式に切り替わり、市町村別結果の比較ができなくなった。
 このため当時知事だった橋下市長が「競争がなければ学力は向上しない」と訴え、府教委が府学力テストを導入。昨年6月の初回テストは41市町村立の全小中学校が参加したが、政令市の大阪・堺両市教委だけが「独自の学力調査を行っている」などとして見送った。
 しかし、竹山修身・堺市長が「他の自治体との比較がないと、どの学力レベルに達しているかわからない」と参加を求めたことから、一転、市教委は今月15日、6月に実施される次回テストに加わる方針を決定。竹山市長は読売新聞の取材に、「府内でトップ10に入るのが目標」と語った。
 一方、大阪市教委は10年度以降も全国学力テストの問題用紙を使って全校実施を続けており、担当者は「全国平均と市平均との比較はできるので、府学力テストに参加しなくても問題はない」としている。(読売新聞)




府と市の二重構造により軽い捻れが生じる。橋下市長の一本化にしたいという考えも納得出来る。「序列化に繋がる」のであれば全国平均と比べること自体おかしいことである。序列化ではなく切磋琢磨としての学力テストであるべきである。そしてそれと同時に学力テストの順位だけで「知」や「学び」を捉えることも避けなければならない。最近改めて「丸暗記」の学習の有用性を考えている。インターネットにより単語や名称は調べればすぐに出てくる。