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天久鷹央の推理カルテ3 知念実希人

シリーズ3冊目の本書。このシリーズは2015年9月に第一巻が刊行されてから現在までの約3年間に長編3冊と短編5冊で第8作までが刊行されている。著者はこの間に本シリーズ以外の作品も数多く出しているので、かなりのハイペースであることは間違いない。巻末の「初出」を見ると、掲載された短編のうち他の媒体に既出の作品は1つだけで、それ以外の短編は「書下ろし」となっている。ちなみにこれまでに読んだ第2作目の巻末を調べてみたらこちらも同じような感じだった。要は、作品が1つ発表されるとそれに書下ろしを加えて文庫本にするといううサイクルで刊行されていることになる。素人なのでよくは判らないが、こうしたことは作者と編集者の間に強い信頼関係がないとできないことのような気がする。現在、既刊のシリーズ作品を全部読もうと思っているが、刊行がハイペースなので読む方も頑張らなくてはいけない。これだけハイペースでも、本書についてはミステリーとしての面白さは全く健在だった。これはかなりすごいことだと思う。強いて言えば、ミステリーの謎が、やや専門知識に偏りすぎていて素人にピンとこないものがあったり、かなり常識的過ぎて意外性が弱かったりという短編もあるにはあるのだが、連作集としての平均的な水準の高さはやはりすごいなぁと思う。(「天久鷹央の推理カルテ3」 知念実希人、新潮文庫)

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