谷沢健一のニューアマチュアリズム

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今年の落合監督の思考(その3)

2007-02-07 | プロ野球への独白
 長蛇のブルペンには、森繁和コーチが自ら獲得してきたドミニカ5人衆がいた。1人だけカリビアンリーグの優勝争いの最中で来日していないが、期待のバレンタイン、グラセスキー両投手の球を谷繁捕手が受けていた。「テスト生2人も含めて、5人で年俸1億円だが、安い買い物をしたなあ」という相変わらずの下世話な言葉が取材陣の一人から発せられた。選手の力をすぐに金と結びつける悪しき見方をファンに植え付けた責任の一端を、もう少し反省すべきではないだろうか。安いか高いかはシーズンが終わった時に言う言葉である。取材陣は球団経営者の目を理解することは必要でも、自分自身の目を経営者の目にする必要はないだろう。
 「谷沢さん、堂上直倫(なおみち)選手の打撃練習が始まりますよ」と呼ばれて、打撃ゲージの後ろへ歩を運んだ。堂上兄弟が同じ組であり、2人を比較して見られたので、注目し続けていると、落合監督が隣に来た。
 監督「兄貴は4年目でスイングも良くなった。今年は外野にコンバートするよ。肩も強いしね」
 谷沢「確かに肘が内から出て、バットのヘッドスピードも上がったな」
 監督「弟は、やはり18歳だね。上体の力が強くて、下半身がついていってない。下半身の使い方を教え、振り込んでいけば、3年くらいで兄貴のようになるよ」
 谷沢「右打者だから、育て甲斐があるね」(昨年トレードで出した田上・仲沢がソフトバンクで活躍した。今年は高橋光を阪神へやった。堂上にぜひとも育ってもらわないと困る)
 谷沢「イー・ビョンギュはセンターかね?」
 監督「まだ見ていないが、センターを守れると、福留はライトしかなくなる。うちの外野は藤井も英智もいるからね。福留が抜けても、いつでも賄えるよ」
 さすが落合監督らしく、福留のFA放出後までを見通した構想だが、それにしても大胆な発言である。一瞬、福留の姿が引退の年の私自身とダブって見えた。が、それはすぐに消えて、フクドメがメジャーに雄飛してイチロー、ヒデキマツイと競演するというすばらしい映像が、私の瞼に浮かんだ。