『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

翻訳  9つの話 No.1 初恋

2012-06-17 21:05:59 | 翻訳

[翻訳]    9つの話 No.1 初恋

題名:    9つの話

作家:    ハンガン

出版年月:  201011

出版社:   図書出版

出版形態:  自伝小説3の中の1

作家履歴

1970年光州で生まれる。1993年「文学科社会」で詩を発表し、1994年ソウル新聞新春文藝に短編「赤い錨」が当選して登壇。小説集「女囚の愛」「私の女の果実」。長編小説として「黒い鹿」「君の冷たい手」「菜食主義者」「風が吹く、行け」がある。理想文学賞、今日の若い芸術家賞、韓国小説文学賞を受賞した。

作家を語る

「黒い鹿」は帽子がついたベージュ色の春のレインコートに紐がついた赤紫色の靴を履いていて、両手をポケットに突っ込んだまま、ゆっくりと歩道のブロックの上を歩いていた。その歩き振りで彼女はまた長く小説の運命を生かしていくのだ。中に熱い活火山を抱えて。そう考えるとどうしたのか心が痛み目がしびれるように冷たくなった。

―本文―

「初恋」

 

 その朝も少女は少年の背にしがみつき自転車に乗って島へ渡る途中だ。鉄製の後ろ座席の上には何も敷いていない。