Rain Rain Drops

夢のような星の夜に

君の名は。

2016-12-09 19:22:49 | 映画

 

 感動した。
 思えば劇場でアニメ映画を観たのは初めてで(もっと観るべきだったと今更思う)、押しも押されもせぬ中高年としてはちょっと気恥ずかしいようなミスマッチなような感じがしてたわけだけど、観はじめるなりそんなのはフッ飛んだ。
 ミスマッチ感を感じてまだ観てないという中高年の方がもしいらしたなら、もったいないのですぐ観に行った方が良いかと。
 壮絶に残酷で、なのに美しく流れ落ちる「彗星」をぜひ劇場のスクリーンで。。

 ヒトの中身が入れ替わるのはフツーじゃないとはいえ、ごくフツーの日常の話から始まって、どんどんスケールは壮大となり、時空を飛び越えていく。とにかくその展開にあらがいようもなく引き込まれてしまう。一番のクライマックス、カタワレ時に二人が出逢うシーンは私などが申すまでもなく、語り継がれる名シーンとなることは必至でございましょう。

 感動の勢いで新海監督が書いた小説版を買って読んでみました。
 時間があっちこっち行き交うようなストーリーは、頭の弱い私は基本的に苦手なため文章での確認が必要でもあって。

 で、小説の中で、映画ではわからなったことが二つわかった。

 かつて集落に落ちて集落を滅ぼした隕石「人はそれを記憶に留めようとする。なんとか後の世に伝えようとする。文字よりも長く残る方法で。彗星を龍として。彗星を紐として。割れる彗星を、舞いのしぐさに。」
 つまりあの組紐は彗星を表してたと。

 で、巫女さんの舞いの手のかたちは彗星が割れるのを表わしているのだと。
 いにしえの人が、祈る思いで危険を伝えようとしたということ。人間はいやおうなく、忘れてしまうものだから。

 中高年として最も共感を覚え、ここだっと思うのはここ。

 忘れてしまう


 やろうとしてたこと、やらないといけなかったこと。アッというまに忘れてる。
買い物に行って買い忘れたものの一つや二つあるのがフツーだし、昨日も灯油缶を忘れて灯油を買いに出た。人の名前なんて最たるもの。その人の顔、言った言葉やった事、それらは覚えているのになんでだか名前は真っ先に忘れて出てこない。

 ・・・でもこの映画での忘れる、そんな中高年の脳のおとろえなどという卑近な話ではもちろんなくて。もっと哀しくせつなく普遍的なものなのでしょう。


小説から……
 
  消えていく。あんなにも大切だったものが、消えていく。

  こぼれ落ちていく。あったはずの感情までが、なくなっていく。

  悲しさも愛おしさも、すべて等しく消えていく。なぜ自分が泣いているのかも、俺はもう分からない。砂の城を崩すように、感情がさらさらと消えていく。



これ以後の文章はもう、監督自身の強い思いが噴出してるようで。

 砂が崩れた後に、しかし一つだけ消えない塊がある。これは寂しさだと、俺は知る。その瞬間に俺には分かる。この先の俺に残るのは、この感情だけなのだと。誰かに無理矢理持たされた荷物のように、寂しさだけを俺は抱えるのだと。
 ーーいいだろう。ふと俺は、強くつよく思う。世界がこれほどまでに酷い場所ならば、俺はこの寂しさだけを携えて、それでも全身全霊で生き続けてみせる。この感情だけでもがき続けてみせる。ばらばらでも、もう二度と逢えなくても、俺はもがくのだ。

 つまりは、表現するということはそういうこと、新海監督はアニメーションという媒体を通してそれをやっているのかもと思う。
 いやおうなく消えていってしまう記憶、意味。それをなんとか刻みこみ、伝えるために表現する、「神さまにけんかを売るような気持ちで」。
 美しくもがく」



 あとこの映画、音楽がやっぱり凄い。
 ここだここしかない!という鉄壁のタイミングで出てくる劇中歌たち!
 普通に考えるとこれだけ壮大なストーリー、つい壮大なクラシックなど使ってしまいたくなるものじゃないんだろうか。

 それはせずにあえてポップスに徹してる、潔さ。なんか若い人たちとこのポップ感を共有してるみたいで嬉しくもあるのです。
 何より美しいし、気持ちいいし。



 しかし、、、しかしです。

 映画の結末、これだけは私には納得できないのです。
 忘れてしまっている、でもなにか寂しさだけは残っている。忘れてしまってるけど、確実に何かがあった。
 ……もうそれだけでいいじゃないすか。

 甚大な被害を及ぼした隕石が一方でとても美しく目に映ったように、この世界には表と裏がある。目に見えるものだけがすべてじゃない。そう思うことが時には救いになるし、本質でもありそれが深みということだと思う。
 


 そこで終わって欲しい。現実に引き戻すのはやめて欲しいのよ。アタシは。 
 。。。と、二人のこの先に夢を描くことができないほど、現実にアレルギー的にくたびれている中高年はハスッパな心持で思うのでした。

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2 コメント

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トラバ返しとコメントありがとうございました (西京極 紫)
2016-12-12 20:49:04
過去の新海誠監督作品では余韻の残るラストだったのですが、
今回は解りやすさ、伝わりやすさを狙っての事だったのかなと考えています。

夏さんはアニメを劇場でご覧になられたのは初めてとの事ですが、
もしお近くの映画館で上映しているようでしたら
『この世界の片隅に』をご覧になられる事をお薦めします。
『君の名は。』とは違うクオリティの高いアニメですよ。
西京極紫さん (夏)
2016-12-13 15:44:52
コメントありがとうございます!
そうですね。新海監督の「雲のむこう、約束の場所」はテレビで観たんですけど、すばらしい余韻でした。
余韻ありすぎで私、一回観ただけでは理解が及びませんでした。( ;∀;) でも好きですねぇこういうの。
他の作品も観ようと思ってます。

『この世界の片隅に』も良いんですね。
ありがとうございます。観てみたいと思います。(^.^)

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君の名は。  監督/新海 誠 (西京極 紫の館)
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