ポケットの中で映画を温めて

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『グッドナイト&グッドラック』を観て

2017年08月12日 | 2000年代映画(外国)
以前から気になっていても、たぶん重い内容だからとウッチャッている作品が結構ある。
そんな中のひとつ『グッドナイト&グッドラック』(ジョージ・クルーニー監督、2005年)を、レンタルでは先延ばしばかりしているから、いっそのこと購入した。

1953年、テレビ黎明期のアメリカ。
国民は、マッカーシー上院議員による共産主義者を告発する運動”赤狩り“に怯えて暮らしていた。
そんな中、CBSの人気ニュース番組『シー・イット・ナウ』のキャスター、エド・マローは、ある空軍兵士が”赤狩り“のため除隊処分されようとしている事件を番組で取り上げる。
その結果、マローやプロデューサーのフレンドリーらは、マッカーシーからの圧力を受けることになる。
しかし54年、CBSの会長ペイリーの支持を得て、マローはマッカーシーの虚偽と策謀を露わにする番組を放映・・・
(Movie Walkerより一部抜粋)

放映の結果は、大きな反響を得る。
だが、それがマッカーシーからの更なる圧力の根拠となる。
それによって、政府や広告主との関係を案じる会長のペイリーは、マローたちを危険視し始める。

権力者とジャーナリスト。
いつの世の中でも、パターンは似通っている。
正義を貫ぬこうとする人に対して、それを潰そうとする圧力。
これは何も、赤狩り時代のアメリカの話だけではなく、いま正に、日本のジャーナリズムが置かれている立場と関連する。

権力に対する自己規制。
この自己規制により、なし崩し的に権力者が有利になる。
マローは言う、「最後まで闘おう」。

この作品からの、マローのスピーチを載せておきたい。

“ラジオとテレビの現状を素直に語りたい。
今の世にはびこるのは、退廃と現実逃避と隔絶でしょう。
アメリカ人は裕福で気楽な現状に満足し、暗いニュースには拒否反応を示す。
それが報道にも表れている。
テレビは人を欺き、笑わせ、現実を隠している。
それに気づかなければ、スポンサーも視聴者も制作者も後悔することになる”

“もしテレビが娯楽と逃避のためだけの道具なら、もともと何の価値もないということです。
テレビは、人を教育し啓発し心さえ動かします。
だかそれは、あくまでも使う者の自覚次第です。
それがなければ、テレビはメカの詰まったただの箱なのです。
グッドナイト、そしてグッドラック”

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