ポケットに映画を入れて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『イレブン・ミニッツ』を観て

2017年07月29日 | 2010年代映画(外国)
昨年の上映時、行こうかどうか迷った『イレブン・ミニッツ』(イエジー・スコリモフスキ監督、2015年)を、やっとレンタルで観た。

午後5時前。
顔に殴られた跡を残して、警察から自宅に戻ってきたヘルマン。
嫉妬深い彼は、妻で女優のアニャと諍いになるが、やがて睡眠薬を入れたシャンパンを喉に流し込み、寝てしまう。
その間に、映画監督との面接のためにホテルへ向かうアニャ。

午後5時。
慌てて飛び起きたヘルマンは、アニャを追ってホテルへ向かう。
そのホテルの前では、最近、刑務所から出たばかりの男が、ホットドッグの屋台を開いていた。
一方、人妻とドラッグをやりながら情事に耽っていたバイク便の配達員は、彼女の夫が帰宅したため、慌てて逃げ出す。
やがて、父親であるホットドッグ屋台の主人に電話で呼ばれ、ホテルへ向かう。
そのホテルの一室で、ポルノ映画を見ている一組の男女・・・
(Movie Walkerより)

この映画、ストーリーをたどっていけば、そこには細切れのドラマが存在する。
そして、そこに姿を見せる人物は、ホテルの一室で待つ映画監督、その監督のところに行く女優。追いかける夫。
ホットドッグ売りの男に、犬を連れた若い女。
バイク便の青年、その彼の父親が先のホットドッグの男。
ビルの窓の外で作業する男。質屋へ押し入る少年。
川原で風景画を描いている画家や、救急車の救命隊員。
ほかにもそれに関連した人が出てきて。

これだけの人物の、全体に何か関係があるかなと思わせながら、どうも関わりがなさそうな人たち。
そのひと時をランダムに映し出す。
時は、午後5時から5時11分までの11分間。
様々な人々の無意味な絡み合い。

同じ時間帯のこれだけの人を描き、そして観る側にもそれをこんがらがらせず、登場人物の一瞬が理解できること。
同時刻に生きる人物を描けば、成程、こうだろうと納得する。
そして、やがて迎える結末。
そうか、こういうラストの集約の仕方があるのかと、ただただ映画的オチに感心し、満足する。

このようなとてつもなく面白い映画を、なかには「つまらない、バカらしい」と判断する人もいるようである。
要は、映画に何を求めるかの違いだろうか。
映画は、観れば一応誰でも感想が言える。
だから、このような作品に対しても、堂々とケチをつける意見も現れるのではないか。

ポーランドの監督スコリモフスキは、現在79歳。
この作品の感性は、まさしく20、30歳台。
精神の柔軟性と若さを思い知るには打って付けの映画だった。
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