ポケットに映画を入れて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

ジャック・フェデー・2〜『女だけの都』

2017年10月15日 | 戦前・戦中映画(外国)
『女だけの都』(ジャック・フェデー監督、1935年)を、久し振りに観た。

1616年。
フランドル地方の小さな町ボーム。
町は、明日の祭りの準備に大忙し。
そんな中、ジャン・ブリューゲルは、町長たち幹部の肖像画を描いている。

ジャンと町長の娘シスカは相思相愛の中。
しかし、肉屋である助役が、是非シスカが欲しいと町長に言い寄る。
町長はその気になるが、片や、町長の妻はジャンとシスカを一緒にさせたいと思っている。

そこへ突然、スペインの使者が現れる。
「オリヴァレス公爵が護衛隊を伴ってボームに滞在するから、歓迎の準備をするように」・・・

さあ、大変である。
何しろ町の人は、以前の、スペイン軍による残虐な殺戮が頭から忘れられない。
だから、町長以下、町の幹部はどう対応したらよいかわからない。
そこで町長が考えたことは、“町長が亡くなったので、町が喪に伏しているという案”
よって、スペイン軍は、この町を何事もなくそのまま通過してくれるだろうという想い。

いよいよ、公爵以下の軍隊がボームに到着する。
ビビっている町長以下幹部の男を尻目に、町長夫人たち、女が立ち上る。

女たちの策略、それは何事にも友好的に、手厚いもてなしをすること。

女たちが行う、心のこもった接待の数々。
相手を知ってみれば、なんということはない、多少の羽目を外したとしても、全く紳士としての男たちである。
女たちも、不甲斐ない亭主たちを尻目に、多いにこの日を楽しむ。
その陰で、男たちは隠れてオロオロするだけ。

皮肉たっぷりで、無条件で女性たちに拍手がしたくなる面白さ。
なんと言っても、町長夫人である“フランソワーズ・ロゼー”の立ち振る舞いが素晴らしい。

ロゼーの夫である、ジャック・フェデー。
この監督、ジャック・フェデーはベルギーの人である。
だからその当時の、フランドル地方の町の造りの、よく考えられたセットが目を瞠るほど素晴らしい。
それに実在の画家ブリューゲルも、役作りの一環として話を面白くしている。

ジャック・フェデーの代表作と言えば、当然入ってくるこの作品。
女性の芯の強さ、したたかさを教えてくれる最良の物語である。
昭和10年のこの頃、日本の女性に対する捉え方を考えると、このような女性上位は想像すら出来なかったじゃないか。
そのように考える、おおらかで先進的な作品である。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加