湖岸蜻蛉

 オペラハウス「びわ湖ホール」へのお誘い 
  

バルセロナ 音楽・美術紀行 7月18日

2014-09-10 08:53:50 | 旅行

17期サポーター・K岩氏のスペイン紀行 太陽と情熱の街、7月のバルセロナへの旅、バルセロナ2日目、市内観光です

----------------------------------------------------

(7月18日、木曜日、晴)

今回の旅の宿泊施設は二つ星Hostal 「Marenostrum」。最高のロケーションの割に安価だったので予約を入れたのだけれど、実に狭い空間にツインのベッド、荷物戸棚を配置して、シャワー・ルーム、トイレがあるというレイアウト。スペインではHostal(オスタル)というのはHotelより少し安価な宿泊施設の総称である。洗面台はシャワー・ルームにスペースが足りなくて、ベッドのある室内に設置するという苦肉の策である。スペースの極限に近い有効利用はお見事と言えないこともない。でも部屋のチープな感じに気持ちが少しブルーになった。曜日によって若干、料金が上下するが、一泊平均朝食付で85€くらいだから仕方ないと自分を納得はさせたのだが。 

 

でも悪いことばかりではなかった。部屋の感じから全く期待していなかった朝食が素晴らしかったのだ。パンは5種、クロワッサン、チョコ・パン、野菜入りパン、バゲット、それに食パン。何とハム類が3種なのは感激だ。果物は2種、それにコーヒー、紅茶、ミルク、オレンジ・ジュースに数種類のヨーグルト。勿論、ビュッフェ形式である。朝食としては十分過ぎる質・量だった(上写真左)。2階にあるレストランの窓際から眺めるランプラス通りには、モデルニスム様式の建物があり、歩道中央の床面にはジョアン・ミロのデザインによるモザイク・タイル画が見える(上写真右)。毎朝、清掃車が周っていて、ミロの絵に水をかけてブラッシングしているのが面白かった。

最初に向かったのは港の方角、「コロンブスの塔」なのはこの旅の意味を象徴している。途中、ガウディ設計のグエル邸の外観だけを見てから、ひたすらランプラス通りを南下して港まで歩いた。42年前に見た塔は確かにこれだ!この塔が1888年のバルセロナ万国博を記念して建てられたことを初めて知った。海に向かって高く聳える「コロンブスの塔」は威容を誇っていて懐かしかったが、これがバルセロナの思い出のほとんど全てなのはやはり情けない(上写真)。

 少し方角を北東にとって、今日は旧市街の真ん中に位置するゴシック地区を色々と観て周る予定である。途中でレイアール広場に出た。広場の中央に建っている街路灯がガウディの制作とのこと。モデルニスムの特徴をもった装飾的な街路灯である(下写真)。

 カテドラルを目指す途中で帽子専門店があったので思わず入ってしまった。二人の夏用の帽子で気に入りの物があればと思ったのである。私用のパナマ帽を何種類か見せてもらった。若い女店員が勧めてくれたものはとても良かったが、「帽子で貴方の顔の長さが一層、強調されているわ。」と妻に笑われた。鏡に映った姿を見て私もその意見に同意せざるをえない。若い女店員は日本語なのにこの会話のニュアンスを何故か正確に理解したようだ。もう少しフラットなデザインで真深に被れるゆったり目のサイズの物を出してくれた。これが最も気に入ったのだがサイズが微妙に大きくてしっくりこない。私は日本人にしてはかなり頭が小さいのである。私の感想を聞いた彼女は実に見事な営業力を発揮した。帽子の内側に薄いスポンジのクッションをかませてピッタリ・サイズにしてしまったのだ。この素晴らしい対応で買う決心がついた。妻の帽子も選んで、バルセロナでは日本から持っていったものと合わせて、私たちは日替わりで帽子を楽しむことが出来たのである。不思議なことにバルセロナでは日傘を差さした女性を一度も見かけなかった。この街では男女とも帽子がトレンドのようなのである。 

しばらく歩くと大きなカテドラル前の広場に出た。このカテドラルはステンド・グラスが見ものである。かなり細かいガラスで作られた美しいもの。ステンド・グラスを通して注ぐ堂内の微妙な光のハーモニーが見事だった。面白いことに中庭には中央に樹木と池に囲まれた空間があって何匹もアヒルを飼っている。動物を飼っている聖堂の中庭など観たことがなくて、何ともユニークなものだった。

バルセロナではストリート・ミュージシャンに様々な場所で遭遇したが、このカテドラル前の広場ではフラメンコ・ギターの奏者が黙々と弾いていた。お金を入れるためのギター・ケース、それに自演のCDが前に置いてある(写真上)。少し離れた木陰で演奏を何曲も楽しませてもらったので1€をケースに入れてきた。

近くにあった建物の入り口に大きな卵のオブジェを偶然、見つけた。その形状からしてバルセロナ・ダリ美術館に違いない。地図で確認していた場所と少し違っていたので予想外の発見。この美術館は小さいけれど、サルヴァドール・ダリ(1904~1989)の奇想天外な発想による作品が展示されていて、ダリ・ワールドを楽しむことが出来る。展示されているのは彫刻、版画、水彩画、写真、オブジェなど(下写真)。自由な発想が根底にあるダリ芸術がカタル-ニャという風土から生まれたことに納得した思いだった。

昼食を近くのレストランで済ませたあと、買い物の荷物を置くためにホテルに一度、帰る。少しの休憩の後、また街巡りに繰り出した。ピカソ美術館に着くと、さすがにこの美術館は人気があって入場待ちの人の列が長い。あっさりここは後日の見学に予定変更と決めた。

チケットを予約してある明日のコンサート会場、カタルーニャ音楽堂の場所を確認しておこうと思う。リュイス・ドメネク・モンタネール(1850~1923)の最高傑作と言われるモデルニスム建築である。写真で見ると内部の装飾が凄いが、今日は外観だけ。いかにもモデルニスムの特徴、曲線を多用した面白い建物だった。

ピカソ美術館の見学は出来なかったが、ほぼ予定も消化できたので、少し時間が早いけれどホテルに帰ることにした。帰る途中、ホテル近くのサン・ジュセップ市場の中を覗いてみた。ここはバルセロナ最大の市場で八百屋、果物屋、肉屋、魚屋、乾物屋などがぎっしりと並ぶ。地元市民だけでなく観光客も大勢、訪れていて大変な人集り。妻は早速、新しいバナナ・シールをゲットしたようだ。私にとっては肝心のワインの店が見当たらないのが気になったが、また日を改めてゆっくり訪れるからその時に探せばいい。

今回の旅では知らない道なのに、私が大きな間違いを犯さず目的地に誘導するのを妻は不思議に思ったらしい。「何故、行き先の場所が分かるの?」。私は少し得意になってこう答えた。「太陽の位置を常に意識して方角を確認しているのさ、頭の中にあるバルセロナの地図のイメージと照合しながら。太陽は私を絶対に裏切らないからね。」。バルセロナ滞在中は幸運にも毎日、太陽が降り注いでいたから、この方法は常に有効だったのである。

午後5時前にはホテルに戻ったが私は多少の疲れもあってシェスタ(昼寝)に入る。妻はグエル邸内部の見学に行くと言って一人で出掛けて行った。海外ではいつも彼女の元気さに負けているような気がする。1時間半後に帰ってきた妻は少し興奮気味にグエル邸の素晴らしさを語った。その話で私も滞在中に必ず観に行かねばという気になってきた。外はまだ本当に明るい。ランプラス通りは相変わらず大勢の人出が途絶えることがない。近くのミニ・スーパーでワイン、ビールを補給して簡単な夕食を室内で済ませた。明日も忙しくなりそうである。

                               (7月18日の歩行数13611歩)



最新の画像もっと見る

コメントを投稿