平成17年(ワ)第3710号 国家賠償請求事件 原 告 出 羽 やるか 被 告 国 準 備 書 面(4) 平成18年5月19日 横浜地方裁判所第9民事部合議係 御中 被告指定代理人 宮 崎 雅 子 代印 熊 谷 勇 人 代印 大 石 勝 幸 印 久保寺 勝 印 大 當 光 憲 代印 小 田 昇 代印 ‐1‐ 被告は,本準備書面において,原告準備書面(4)に対し,必要と認める限度で反論 をする。 なお,略称等は.本書面において新たに用いるもののほかは,従前の例による。 第1 「第1」について 甲第64号証の写真の左端の人物の帽子については,帽子のつば部分に確認 されるものはあごひもではなく,飾りのモールである(乙第2号証)。なお, 同人について被告準備書面(3)2に第8特科連隊所属の隊員としたが,より正確 には,現在は第8特科連隊の所属であるが,写真の撮影当時は第8師団司令部 法務官所属の隊員である。甲第64号証の写真で同人の帽子が青色に見えるの は,カラーコピーの具合により変色して見えるものと思われ,本来,同人の帽 子の色は乙第2号証のとおり濃緑色である。 第2 「第2」ないし「第7」について 1 はじめに 原告は,警戒標識,タイヤ痕と擦過痕及び本件交通事故の態様等に関し,推 論を重ねて主張する。また,別件訴訟,同控訴審及び別件行政訴訟(以下「別 件訴訟等」という。)においても,原告は,本件訴訟で証拠として提出してい るのと同一の書証を提出して同様の主張を繰り返してきた。 原告のこれら主張については,別件訴訟等においても,各判決で証拠写真が ねつ造・改ざんされていない旨判示されており,別件控訴審判決書(甲第9号 証7ページ14行目)において「甲第23号証(実況見分調書)は,事故当日 に警察官により実施された実況見分の内容を記載したものと認めることができ る。」と判示されている。したがって,原告の推論はいずれも失当であり,こ のことは,これまで被告が繰り返し主張したとおりであり,改めて反論・主張 の要は認められないが,念のため,新たな主張と思われる「原告車練のひし形 ‐2‐ マーク」について被告の主張を述べる(以下2)。 なお,原告準備書面(4)3ページの下から2行目の写真⑩は,写真⑪の誤りと 思われる。 2 「原告車線のひし形マーク」について (1)原告は,準備書面(3)の第3及び準備書面(4)の第2において,被告が別件訴 訟において証拠として提出した写真について,事故当時撮影されていないも のを同日撮影されたと偽ったと主張し,その根拠として,原告車線上のひし 形マーク(以下「マーク」という。)があたかも原告車の走行位置を示すよ うに写っており,このマークは事故当日に設置できないから,上記写真ぼに 事故当日撮影されたものではない(原告準備書額(3)6ページ).警察の作成 した実況見分調書の写真にはマ-クが6個しか写っていないがご自衛隊の撮 影した写真にはマークが9個写っている(原告準備書面(4)3ページ)と主張 する。 原告の主張する上記写真が別件訴訟のどの写真なのかは判然としないが, 自衛隊が平成11年10月7日に撮影した写真であると主張されている(原 告準備書面(3)4ページ及び6ページ)ところからすると,被告が別件訴訟に おいて乙第1号証として提出した書証を指しているようである。 (2)しかし,まず,本件事故現場付近の路面上にペイントされているマークは, 前方にカーブがあることを示す警戒表示である減速マークが経年によってタ イヤの通過箇所が摩滅したものと思われ,原告が主張するように被告が書い たり消したりしたものではない。原告は,実況見分調書添付の写真に写った マークは,警察署等の許可を得ずに設置するのは取締法違反であるから,実 況見分調書に記載されるべきであるのにされていないことを主張している が、原告の主張する「取締法規違反」などないのであるから,原告の主張は 全く理由のないものである。 (3)次に,原告のいう「警察写真⑩(甲第73号証)」と「自衛隊写真②(甲 -3 - 第71号証2/2)」を比較すると,各写真左端に写っている自衛隊車両を 基準に道路の路肩にある反射鏡ポール(以下「ポール」という。)の位置関 係及び縁石の切れ目をみれば,両者が別の場所から別の角度Iで撮影されたも のであることが分かる。すなわち,自衛隊写真②の撮影位置は,警察写真⑩ の撮影位置から,やや左寄りのはるか後方から撮影されていることが,以下 のとおり明らかである。したがって,両者に写っている道路の範囲が異なり それに伴い写っているマークの数か異なるのも当然であり,この点からも原 告の上記主張は理由がない。 ア ポールには白色と銀色とがあり,「自衛隊写真②」の自衛隊車両の右後 方に白色のポールが2本続いている(写真手前から3,4本目)が、「警 察写真⑩」には自衛隊車両後方に白色のポールが1本のみ写っていること, 警察写真⑩」には縁石の切れ目まで写っていないことからすると,「警 察写真⑩」の左端の白色のポールは,「自衛隊写真②」の左から4本目の ポールに該当する。 イ これを甲第66号証①の写真と比較すると,写真の手前(別府方面)か ら3本目が,「警察写真⑩」の左端及び「自衛隊写真②」の左から4番目 のポールにそれぞれ該当する。 ウ 以上のことから,警察写真⑩の左端にある熊本側から6番目のマークは, 上記イのポールより手前(別府・湯布院町側)にあることになり,自衛隊 写真②の別府側から4番目(熊本側から6番目)のマークがこれに当たる。 そしてレ甲第66号証①の一番右端にあるマークは熊本側から6番目のマ ークということになる(位置的には。上記アでいう2本の白いポールの間 である)。 したがって,当該現場には,「自衛隊写真②」のとおり9個のマークが 存在しているが,「警察写真⑩」にはそのうちの6個のマークが写ってい るのであり,甲第66号証①②⑨の各写真も同様に6個のマークが写って -4‐ いるのである。 (4)なお,通常,路面表示は道路管理者又は公安委員会が表示するものである (乙第3号証)。マークは,撮影時の写真から分かるその摩滅状態からも, 写真撮影の直近にペイントしたものではないことは明らかである。 3 原告は,警戒標識(視線誘導標)の存在についても論難する(準備書面(4)第 2の6及び第3の3)ので、念のため述べると,一枚の板でできている同標識 を正面の位置から撮影した写真(甲第35号証⑤,第66号証の⑥⑦)と側方 の位置から撮影した写真(甲第35考証④,第66号証の①.③)とを見比べれ ば,同標識が存在していたことは明らかである。 第3 結語 以上のとおり,原告の主張は,いずれも理由がないから,本請求は速やかに 棄却されるべきである。 -5-