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「結婚しようよ」─寂しい心にほんわかと。

2008-09-15 | ■映画
【監督】 佐々部清
【脚本】 寺崎かなめ 市倉久至 佐々部清
【出演】 三宅裕司/香取卓 真野響子/香取幸子 藤澤恵麻/香取詩織
AYAKO(中ノ森BAND)/香取歌織 金井勇太/木村充 中ノ森BAND ガガガSP

歌のタイトルがずばり映画のタイトルになる。さすが吉田拓郎。しかも、映画の中で使われる音楽はすべて拓郎の歌。その数、インストのみを含めると23曲にものぼります。その使われ方も、なんかツボを押さえてるというか、絶妙のタイミングなんだよなあ。

香取家の父親、香取卓(三宅裕司)は「毎日、家族そろって夕飯の食卓を囲む」ことが生きがいだと言う。娘二人は大学生、彼自身も不動産会社の課長とあっては、夜のつきあいもそれぞれにあるだろうし、本当にそんなことが可能なのかとつい余計なことも思ってしまいますが、その「形式主義」、「権威主義」に憧れるのが、そば屋を目指す青年、充(金井勇太)。拓郎の曲がきっかけで知り合った見ず知らずの充を、卓は家に連れて帰って夕食をごちそうする。充は、香取家の長女、詩織と惹かれ合うようになっていく…。

次女の歌織は、女性4人組バンドのボーカルをつとめていますが、ある時、「マークⅡ」というライブハウスのオーディションに参加するが、その店こそ、30年前に父がライブを行い、母と知り合うことになった店でした。当時の名前は「マークⅠ」。「マークⅡ」は、当時父がコンビを組んでいた榊が、脱サラして「マークⅠ」を改装して開いた店だったのです。歌織がオーディションに持ってきた「ギブソンJ-200」に榊は目を留める。あのギターはもしかして…。

こんなふうに、「家族愛」をテーマに、ひたすら予定調和的にストーリーが展開していきます。安心して見ていられるぶん、バックに流れる音楽にも集中できるというものです。

それにしても、たぶん「両親が拓郎世代」の若いミュージシャンたちが拓郎を歌っているのがとても新鮮。冒頭、ガガガSPが駅前で歌う「落陽」、「春だったね」。オリジナルをしっかり踏まえて、完全に自分たちの持ち歌にしている感じ。中ノ森BANDがライブハウスのオーディションで歌う「やさしい悪魔」にもしびれた。もともと、キャンディーズに提供した曲ですが、そっちももちろんいいけど、歌詞の意味や独特のテンポからすれば、AYAKOのような歌い方の方がよりマッチしているのかもしれない。同じく拓郎のキャンディーズ提供曲、「アン・ドゥ・トロワ」も、AYAKOがぽつんとしっとりと、弾き語りで聴かせてくれます。

また、彼女の歌う「風になりたい」。これは中ノ森BANDとしてもCDを出しているそうですが、原曲は、拓郎がフォーライフ・レコードを立ち上げて、最初の新人としてプロデュースした川村ゆうこに書き下ろしたもの。透明感のある歌声と、「通り過ぎるあなたが風なら 私も今すぐ風になりたい」と言うフレーズが印象的でした。あんまりぱっとしないまま消えてしまいましたけどね。この曲、ほんと、久しぶりに聴きました。AYAKO、これがまたいい歌いっぷりで…。

ちょっと意外な組み合わせもありました。卓の顧客で、定年を迎えた夫婦が第二の人生を送るための家づくりが、サイド・ストーリーとして展開されるのですが、彼らが「終の棲家」として選んだ茅葺き屋根の家、そこに歩いていく途中の場面で、突如として「イメージの詩」がBGMとして流れるのです。このシーンに「イメージの詩」!

その時、私はひそかに、ずっと昔の映画「旅の重さ」を思い出していました。ああ、あれとおんなじだと…。「旅の重さ」(1972年)は、素九鬼子の原作をもとに、高橋洋子主演で描いた四国遍歴の映画。全編に拓郎の曲が散りばめられています。16歳の少女の巡礼の旅が、拓郎の歌とぴったり重なって、いまだに忘れられない映画の一つになっています。あの映画でも、「イメージの詩」は、「旅」のイメージそのものとして使われていたような気がします。

「終の棲家」にたどり着いた人生の旅。そのイメージにも、「イメージの詩」はぴったり合っていました。考えてみれば、「イメージの詩」の歌詞って、人生を知り尽くした男の詩だよなあ。そんな曲を20歳そこそこで作ってしまった拓郎の感性は、ほんとにすごい。

映画のタイトル、「結婚しようよ」。発売当時は、ばりばりのフォークソング・ファンから、「軟弱きわまりない」と大ブーイングを食らいましたが、世間的には大ヒット。拓郎を一躍メジャーに押し上げた曲です。映画でこうして使われるのを聴くと、いい曲だよなあと改めて思います。

 僕の髪が 肩まで伸びて
 君と同じになったら
 約束どおり 町の教会で 結婚しようよ m m m

 古いギターを ポロンと鳴らそう
 白いチャペルが 見えたら
 仲間を呼んで 花をもらおう 結婚しようよ m m m
 
   もうすぐ春が ペンキを肩に
   お花畑の中を 散歩に来るよ

 そしたら君は 窓を開けて 
 エクボを見せる 僕のために
 僕は君を さらいに来るよ 結婚しようよ m m m

 雨が上がって 雲の切れ間に
 お陽様さんが 見えたら
ひざっこぞうを たたいてみるよ 結婚しようよ m m m

   二人で買った 緑のシャツを
   僕のおうちの ベランダに並べて干そう

 結婚しようよ 僕の髪は
 もうすぐ肩まで とどくよ

牧歌的で、ほのぼのとしていて、悪く言えば、世間離れしているけれど、こういう世界もあるんだよなあと、何とはなしに懐かしい思いを呼び起こしてくれる。世の中、いいことばかりじゃないけれど、たまにはこういう歌にほんわか浸るのも悪くはない。それで寂しさが紛れることもあるかもしれない。

 ♪ 結婚しようよ 僕の髪は もうすぐ肩まで とどくよ

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