子育てはとうに終はれどペコちゃんは
今もファンです。不祥事かなし
(浜松 鈴木れい子)
誰よりも誠実、真面目、
正常に近かったから心を病んだ
(福島 本田 勇)
しあわせの歌ばかり詠む人々を
視ているわたしのかなしみ膨らむ
(北広島 軽部玖美子)
思ひ出はそんなに美(は)しきものではない
あなたは幾分美化しすぎている
(横浜 大建雄志郎)
日記とは溜息さえもしまい込む
否定の語ばかり並ぶ頁に
(東京 牧野菜穂子)
ほどほどでいいんだよってなにごとも
いつか鞣(なめ)されたわたしの感性
(境港 稲舘 隆)
われのこときらいと言いて走りゆく
夜の桃林蕾は固く
(京都 奥田順平)
文例のお悔やみ言葉書きしのち
自分の言葉綴れば涙に
(京都 日比小夜子)
こころとはやはり胸のあたりかな
濡れそぼつごと今日は重たい
(東京 井上良子)
一つ覚え二つ忘れて老いてゆく
野の花野の鳥人の名前も
(帯広 吉森美信)
「ごめんね」のメールいくたびも読みおれば
その裏側に「さよなら」の文字
(東京 岡村弘史)
冷静に恋をうけ入れ苦しまず
最后の生を恋で終わらん
(東京 吉田百合子)
選者:岡井 隆・栗木京子
〜日経新聞日曜版「歌壇」より〜









