A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ゲッツとベイカー、2人がヨーロッパに渡る前の久しぶりの共演は・・・・

2014-01-13 | MY FAVORITE ALBUM
Stan Meets Chet / Stan Getz & Chet Baker

他人から見ると相性が良さそうに見える2人であっても、実際に付き合ってみると上手くいかない場合がある。似た者同士だとかえってお互いが気になってしまうものなのかも。
ビルエバンスとスタンゲッツの2人もそうであったように、スタンゲッツとチェットベイカーの2人も一緒にやる機会は少なかった。それもかなり期間を空けて。

最初は1953~54年のライブレコーディングが残されている。あの有名なベイカー、マリガンのカルテットの後釜として、マリガンの代わりに加わってヘイグのライブに出演したが長くは続かなかった。マリガン&ベイカーのコンビはマリガン主導かと思ったが、当時はベイカー主導だったのか?ベイカーとマリガンのコンビも有名だが一緒にやっている期間は決して長くはなかったので、別れた後でカルテットのメンバーと引き続きクラブ出演をしたのかもしれない。

そして、晩年では1983年のストックホルムでのライブ。その間実に30年もある、
そして丁度その間はというと、1958年にゲッツがヨーロッパに旅立つ直前に2人の共演アルバムが作られている。
ゲッツは、直前にカル・ジェイダーとのアルバムを作り、そしてこのアルバムを残した直後にヨーロッパに旅立つ。その後3年間はヨーロッパでの生活になるので、一つの区切りとしてこのアルバムが母国への置き土産となった。

一方の、ベイカーの方も、57年は一時マリガンとの再会を果たしたが他にはほとんどアルバムを残していない。
西海岸中心に活動していたベイカーが東海岸にも遠征を始めた頃だが、実はこの57年にはペッパーアダムスと良く一緒にやっていた。アダムスも拠点にしていた西海岸ではもちろんの事、アダムスがファーガソンのオーケストラでニューヨークに行った時など一緒にクラブ出演をしていた。残念ながらその時の演奏は残されていない、もしくはまだ陽の目をみていないようだ。

そして、58年の2月に突然ゲッツとベイカーはこの共演アルバムをVerveに残す。Verveはお馴染みの有名ミュージシャン同士のMeets(VS)シリーズを出していたので、2人の対決は以前から計画の中にはあったのかもしれないが。

しかし、録音された場所はシカゴ。西海岸、東海岸両方から離れ、特に2人の地元でもない。一緒に付き合っているリズムセクションも地元のミュージシャンで、何故か人目を盗むようして作られたような気さえする。この時期2人は麻薬で苦しんでいた時期。必ずしも絶好調の時ではなかったはずだ。

演奏内容は、いわゆるヘッドアレンジの一発物であり、それぞれのソロもたっぷりとられた演奏だが、2人の絡みは大ブローのバトルというよりは、何故かマリガンのカルテットのような2人のコンビネーションも聴かせてくれる。一方で、アップテンポのゲッツは一転ホットな演奏で絶好調。ベイカーも引っ張られている。二人の相性は決して悪くはなさそうなのだが。カルジェイダーと同様、一緒にやりたくともなかなか機会がなかったのかもしれない。



ベイカーの方は、これで自信を取り戻したのか、あるいは吹っ切れたのか、リバーサイドで再度復帰にかける。そして翌年にかけて先日紹介した3枚のアルバムを残して、ゲッツに一年遅れて彼もヨーロッパに渡る。リバーサイドのアルバムに満足したのか、否、不満であったのか、何か決心させるものがあったのだろう。
ちょうど、西海岸から東海岸へ、そしてアメリカからヨーロッパへ、アメリカのミュージシャンが移動を始めた時期。ひとつの節目のエポックメイキングなアルバムとしても貴重な演奏だと思う。2人の活動歴の区切りである同時に、ジャズ界全体が転換を始めた頃だった。

1. Jordu
2. Medley:
Autumn In New York / Embraceable You / What's New -
3. I'll Remember April -
4. Half-Breed Apache

Chet Baker (tp)
Stan Getz (ts)
Jodie Christian (p)
Victor Sproles (b)
Marshall Thompson (ds)

Robert Jordan & Associates Recorders, Chicago, IL, February 16, 1958

スタン・ミーツ・チェット
Stan Getz & Chet Baker
ユニバーサル ミュージック クラシック

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« グラミー賞を得るにはそれな... | トップ | 体で聴くことのできるミュー... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。