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フランスの高校生や大学生はなぜ政治・社会問題に敏感に反応するのか?

2010年10月13日 23時54分34秒 | 政治・社会
昨日10月12日フランスのサルコジ政権が強行する「年金改悪」に反対してフランス全土で350万人の労働者・民衆が決起しサルコジ政権に大打撃 を与えたとのニュースに少し興奮しました。

特に高校生・大学生が初めて「年金改悪」の戦列に加わり357の高校で正面封鎖が実施されたとのニュースを見て、何故フランスの若者が闘い日本の 若者は闘わないのか考えました。

日本では、日本の政治・社会・経済をまともな形に変革してくれると昨年8月の総選挙で3000万有権者が期待した一人の政治家が戦後最大の「政治 謀略」よってその政治生命を断たれる危機に陥っています。事に重大性を認識している日本人はどれほどいるのでしょうか?

人口が日本の半分のフランスで「年金制度改悪」反対で350万人が決起した事を思うと、日本では最低700万人が決起してこの「政治謀略」を阻止 しなければならないはずです。

■ フランスの高校生や大学生はなぜ政治・社会問題に敏感に反応するの か?

昨日10月12日フランス全土でサルコジ政権の「年金制度改革法案」に反対するデモとストライキが大規模に実施され労組発表で350万人(警察発 表で123万人)が参加したとのことです。

新聞情報では、国鉄労働者のストのため高速鉄道TGVは3本に1本、他の路線は4割程度に減便。パリ市内の地下鉄の一部は半減、バスは約2割減と なったとのこと。マルセイユでは湾岸労働者がタンカーの入港を止めるなどの実力行使に出たとの事。

12日の抗議デモには高校生や大学生らが初めて参加し高校生が全国約4300の高校のうち357校で正門封鎖などを行ったとのことです。

パリのデモ(労組発表33万人)に参加した男子高校生(17)は「退職年齢が延長されれば、その分若年層の職がなくなる。若年層にはただでさえ失 業者が多く政権の改革は支持できない」と話しています。(毎日新聞)

▼ フランスの高校生や大学生はなぜ政治・社会問題に敏感に反応するのか

ここで考えさせられるのは、日本の若者であれば全く無反応だと思われる「年金問題」にフランスの高校生や大学生がなぜこのような過激な反対運動に 立ち上がるのかその理由です。

私が考える主な理由は3つあります。

一つは、フランス革命をはじめとする民衆の直接行動によって政権を転覆させた歴史の蓄積があるからです。

時の政権が誤った政策を強行する場合、労働組合や市民運動団体が中心となり政策の誤りを指摘して反対行動の具体的な提起を全国にアピールします。

このアピールにこたえて広範な民衆がデモに参加するわけですが、その中に反戦や環境保護や人権擁護や移民労働者などの市民組織や個人参加の大人と ともに高校生や大学生がいるのです。

彼らは直接行動によって政府に政策を撤回させたり譲歩させたりした「勝利の体験」を「敗北の体験」よりも多く共有しているのです。

二つ目は、フランスの教育にあると思います。

フランスでは小学校、中学校、高校の授業の中で一番重要な科目は文化系でも理科系でもフランス語と哲学です。

フランス語の勉強は必然的にフランスの文学と歴史を学ぶことになり必然的に民衆の戦いを学ぶことになります。

哲学は物事の根本や根源を追求し理解する学問ですので世の中の表層的な出来事と本質的なことを見分ける力が養われるのです。

物事の本質をつかみ取り何が問題なのかを認識する能力が養われるのです。

全てのフランス人がそうではありませんが多くのフランス人は論理的な議論を好みます。情緒的で議論嫌いな人が多い日本人とはここでも対照的です。

今年の4月「パリ20区」という題名のフランス映画を見ました。移民労働者の多いパリ20区の公立中学校の中学2年生のあるクラス20名の日常風 景を丹念に撮影した映画ですが、教師と生徒が毎日怒鳴りあいながら議論しているさまは下手すると「学級崩壊」とみなされるほどすさまじい修羅場の 連続でした。

しかし私は決して「学級崩壊」ではなくそれこそ教師と生徒が対等な立場で本音で話す「真の学問道場」だと思いました。

フランスの中学生、高校生、大学生はこのような教育現場から育ってきたのです。

三つ目は、真実を追求し報道するマスコミがまだ健在なことです。

2007年5月にサルコジ大統領が誕生して以来、フランスの大手マスコミは新自由主義者サルコジ大統領に同調する新聞やTVが主流派になりまし た。

マスコミの右傾化の中で発行部数40万部の高級紙「ルモンド」や新興ネット新聞社のように真実を追求する客観報道のジャーナリズムがまだまだ健在です。

日本の大手マスコミが政府と官僚と財界と一体化して「大本営発表」報道を垂れ流し時の政権に都合の良い「世論操作」の道具に成り下がっているのとは対照的です。

▼ フランスの暮らしやすさは民衆が闘って勝ち取ったもの

日本とフランスでどちらが暮らしやすいと比較すればだんとつにフランスです。

確かにフランスは今平均失業率が9.1%特に若者の失業率が23%と失業が大きな問題となっていますし様々な社会的な困難を抱えています。

それでも今の日本と比較すればフランスの暮らしやすさは際立っています。

重要なことは、フランスの暮らしやすさを保証する社会生活の基本条件は天から与えられたものではなくフランスの民衆自らが闘いとった成果であるこ とです。

その成果のいくつか以下に列挙します。

①【労働時間】フランスの実質労働時間は週35時間、週休2日が義務化されている。

②【最低賃金】2009年7月1日現在フランスの全産業一律スライド制最低賃金(SMIC)は月労働時間151.67時間として月額 1,337.70ユーロ=\152,500/@\114.00(税 引き前)。最低時給(税引き前)は2009年現在8.82ユーロ=\1005.5/@\114.00です。

③【年間有給休暇】有名なヴァカンス制度(長期夏季休暇制度)は年5週間の有給休暇を保証。経営者は全労働者にこのヴァカンスを与える義務があります。

④【教育無料】保育園から大学院まで教育費は無料。奨学金は返済義務がない。

⑤【入学試験なし】大学入学は毎年5月に全国一斉に実施されるバカロレア(高校卒業資格試験)に合格すれば定員内であればどこの学部にも登録できる。したがって中学、高校、大学の入学に試験がないため予備校や塾はフランスンには存在しないのです。

⑤【医療費無料】医療費や薬代は民間の相互保険に入っていればほぼ全額還付される。

⑥【家族手当】日本の子供手当に相当するのが「家族手当」。2人以上の子ども(20歳未満)を持つ家庭すべてが受給できる。で家族手当には所得制 限がなく高所得家庭でも受給することができる。金額は子どもが2人いると124.54ユーロ(約1万4200円)、3人目以降は1人ごとに 159.57ユーロ(約1万8200 円)。さらに子どもが11歳以上になると35.03ユーロ(約4000円)、16歳以上になると62.27ユーロ(約7000円)が加算される。

この加算額は子どもが1人(なし)、2人(1人分だけ)、3人以上(全員分)と子どもの数によって変わります。

⑦【少子化対策】1人の子どもがいるだけでは家族手当を受け取ることはできないのです。「2人以上の子どもを奨励する」というフランスの育児支援政策の意義がそこにあります。

⑧【年金】昨日350万人(主催者発表)が参加したフランス全土のデモとストライキはサルコジ政権が「年金制度」の根幹をなす法定退職年齢を60 歳から62歳に延長し年金の満額受給年齢を65歳から67歳に引き上げる法案を国会で可決したことに労働者・市民・学生が怒りの抗議行動をしたのです。

フランスでの年金生活者の暮らし方は退職前の職種、出身社会層、年金の額によって大きく異なります。年金の平均受給額は月当たり約2000ユー ロ=¥228,000です。

65歳以上の高齢者保護を目的にした最低年金保障制度(Minimum Vieillesse) があり独身者は8,507.49ユーロ=約\970,000、夫婦の場合は13,765.73ユーロ=約\1,570,000を年間で受け取ることができ る。日本人でも10年の滞在許可証所持者やフランス国籍を持つ子供の親であれば受給資格があります。

【関連記事】

▼フランス:退職年齢延長に反対、350万人デモ

 2010年10月13日 毎日新聞

 http://mainichi.jp/select/world/news/20101013k0000e030011000c.html

 【パリ福原直樹】フランスで12日、サルコジ政権が進める退職年齢延長などの年金改革に反発した今年最大規模のデモが行われた。労組によると大 学・高校生を含む350万人が参加。交通機関などではストが相次いだ。

デモやストは13日も続く予定で、政権への批判の高まりを示している。

 高校生の団体も抗議行動に初めて加わり、全国で約400の高校で正門を封鎖した。パリのデモ(労組発表33万人)に参加した男子高校生(17) は「退職年齢が延長されれば、その分、若年層の職がなくなる。

若年層にはただでさえ失業者が多く、政権の改革は支持できない」と話した。

 交通機関は、ストの影響でパリ発着の航空便の3~5割、新幹線の6割が運休。一般鉄道や地下鉄も終日、乱れた。また、マルセイユなどの港湾労働 者によるストで海運にも影響が出ている。

 サルコジ政権は今年、年金財政の赤字解消に向け、退職年齢の60歳から62歳への延長を柱とする年金改革法案を提出。法案の主要部分は既に議会 を通過しており、フィヨン首相は12日、

「譲歩はありえない」と述べ、ストに対抗する姿勢を示した。

 だが、政権に対しては、ロマ族の「追放」政策などへの批判も高まり、最近の世論調査では政権支持率は約25%と07年の政権発足以降、最低を記 録。一方で国民の約7割がゼネストを支持している。

(転載記事終わり)

(記事終わり)


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