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【告知】「確定拠出年金の教科書」一部修正します

 6月9日に「確定拠出年金の教科書」(日本実業出版社)を上梓しました。地味なテーマということもあり、売れ行きを心配していましたが、先日、増刷の連絡がありました。有り難いことです。
 本来なら、増刷のタイミングで誤植等の修正を加えるのですが、1点だけ、修正が間に合わなかった箇所がありました。この場を使って告知できればと思います。

 掛け金が全額、非課税になるという箇所で、会社員の企業型DC加入者を事例に説明していますが、これを、個人型の加入者である自営業者の例に置き換えたいと思います。
 企業型の場合、実際に掛け金を拠出するのは事業主であり、加入者本人が非課税になるのは、「マッチング拠出」で拠出した掛け金の額に限られます。修正前の説明では、掛け金全額が控除の対象になるかのように書かれていましたが、これは正しくありません。「図表1-1」の数値を含め、下記の通り修正したいと思います(金融ジャーナリスト竹川美奈子さんにご指摘頂きました。有難うございます)。

■該当箇所:p19~p21

〔第1のメリット〕
掛け金が全額「非課税」になり、所得税や住民税が減る

■修正後の内容

 確定拠出年金では、通常は毎月決まった金額を掛け金として拠出する。個人が掛け金を拠出する「個人型」の場合、金額は後から変更可能だ。「企業型」(詳細は63㌻参照)では個々の企業の制度による。これを日々運用していった成果を老後に受け取る。

 税金のメリットの1つ目では、この掛け金が全額、非課税になる(企業型の場合は、加入者が拠出した掛け金の全額)。所得税は、所得が大きくなるほど税金の額も大きくなる。確定拠出年金では、拠出した金額を差し引いて「圧縮」された所得額を元に、納める所得税の額を計算することが出来る。また、住民税も所得が対象になるので、計算の元になる所得が確定拠出年金の掛け金分だけ圧縮されると、税額が減少する。

 具体的な数字で見てみよう。
 ここに、課税対象となる所得が400万円になる自営業者がいるとしよう。この場合、適用される所得税の限界率は20%であり、住民税と合わせた納税額は78 万5300 円となる(次㌻図表1-1)。ところが、彼(又は彼女)が個人型の確定拠出年金の加入者であり、毎月6万8000円、年間81万6000円を掛け金として拠出していたとすると、この額は大きく変わってくる。因みに、月額81万6000円は、自営業者等の国民年金第1号被保険者が拠出出来る最高額だ。

 この場合、課税の対象となる所得の金額は、確定拠出年金の拠出額81万6000万円を差し引いた318万4000円となる。ここから所得税と住民税を改めて計算し直すと、税額は54万8900円となり、1 年間で23万6400円もの税金を「節約」出来るのだ。

 後で述べる企業型の確定拠出年金の加入者の場合、掛け金を拠出するのは事業主であるため、この段階では大きな節約にはならない。しかし、「マッチング拠出制度(63㌻参照)」を利用して、加入者である従業員が事業主の掛け金に上乗せして拠出した場合、この分の掛け金については、個人型同様、全額が非課税になる。

 この「節税」によって得られる金額と同じだけを株式投資によって手に入れようとした場合、仮に、運用期間中一定して5%のリターンが得られるとして計算すると、1年で23 万6400 円の運用益を得るには、元金として472万8000 円もの資金が必要だ。しかも、株式投資は、必ず期待通りのリターンが得られる訳ではない。当然ながら、マイナスになる可能性もある。

 非課税によって「確実」に節約出来るという確定拠出年金の威力は、金融の世界において、どれだけ「まれ」で「貴重」なものなのかが想像できよう。

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コメント
 
 
 
教えてください (じゃき)
2016-08-19 10:02:44
ダイヤモンドオンライン等で、山崎さんの記事をときより読ませていただいております。ふとした疑問がありましたので、ご質問する次第です。

私は、とある会社の総務部門の一担当に過ぎませんが、この度会社が企業型確定拠出年金制度の導入を検討しており、最近はその件を任されている担当者とよく話をします。

彼によると、個人が拠出した費用については所得控除となり、その部分に関しては会社として福利厚生費(健康保険料、厚生年金保険料)の削減にメリットがあるとの事。

なるほど、社員としても企業としてもメリットがあると納得しました。しかし、会社が加入している健康保険組合の立場としたら、保険料収入が減るのでは?と最近になって思うのです。

健康保険組合が解散をしたり保険料率を上げる、ということが珍しくなくなってきた昨今、制度を導入する企業が増えれば、健康保険組合の財務状況を圧迫し、結果的には保険料率が上がったり健康保険法の保険料率上限を広げるような法改正が施行されたり・・・ということになるような気がします。

素人意見で恐縮ですが、確定拠出年金制度の良し悪しは置いておき、私の推測について山崎さんはどのようにお考えでしょうか。
 
 
 
健保組合への影響は軽微でしょう (山崎元)
2016-08-19 17:01:50
じゃき様

いらっしゃいませ。

確定拠出年金が導入されると、所得額が圧縮されるので、ご指摘のように「影響の方向として、健康保険組合に支払われる保険料も減る」ことになるように思われます。

但し、これで減る保険料はごくわずかでしょうし、仮に(1)確定拠出年金を導入し税金・社会保険料を圧縮し+(2)健保組合に減った分の保険料を値上げさせたとした場合、トータルでは税金を圧縮した分のメリットが残ります。

「あまり気にしなくていいのではないか」また「総合的に判断すると、確定拠出年金を導入する方が企業及び従業員には得ではないか」と思います。
 
 
 
ご返答ありがとうございます (じゃき)
2016-08-22 10:56:36
山崎さん、そうそうにご返答いただきありがとうございました。

頂戴したコメントを鑑み、導入については前向きに考えていきたいと思います。
 
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