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【現代ビジネス】商社はまた「冬の時代」を迎えるのか

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「三菱商事と三井物産「大幅赤字」に、証券のプロとしてひと言! リスク管理の視点はあったのか?」というタイトルで記事を書きました。

 三菱商事と三井物産が、資源関連のビジネスの減損処理で大幅な赤字に陥ることを発表しました。

 商社にとって、個々の投資プロジェクトは、投資信託における一投資銘柄のようなものですが、投資信託のリスク管理には「ポートフォリオ」の視点が必要です。商社における投資ポートフォリオに、同様のリスク管理が働いていたのかは、大いに疑問の余地があります。

 かつての商品を動かして口銭を稼ぐ商人型のビジネスモデルから、プロジェクトや会社に出資し、時には人も出して、且つ商売にも絡む「物流付投資銀行型」とでも呼ぶべきビジネスモデルに転換することで、商社は新しいビジネスに対応すると共に、収益のスケールアップを果たしてきました。
 当面「物流付投資銀行型」のビジネスモデルを商社が止めることはないでしょうし、その必要もないと私は思います。ただ、投資したポートフォリオのバランス調整の機能をもっと強化するべきです。

 金融業にさらに学ぶなら、キャッシュフローを生む対象に自分達が投資し、これを保有するだけでなく、対象を証券化して転売することを可能にし、自分のポートフォリオの調整を可能にした、「証券化機能付きポートフォリオ運用」的なビジネスモデルを将来もっと強化すべきではないでしょうか。

 今回の資源関連の投資に於ける、「のめり込み具合」と「リスク管理の甘さ」は、少なからず、バブル当時の財テク運用の問題と似ているように思います。但し、資源価格バブルの崩壊は、かつての財テク運用と同等か、場合によっては、それ以上のマイナス・インパクトとなる可能性があります。
 現在の世界経済の停滞具合等を考えると、資源価格が簡単に回復すると期待することは難しいかも知れません。まだまだ、要注意の状況は続くでしょう。

 商社を真に「総合商社」たらしめるためには、全社のリスクを「ポートフォリオ」として管理するリスク管理機能と、リスクを現実に調節するための様々なビジネス機能とを、開発・強化する必要があるでしょう。
 総合商社は、日本独特の業態です。大いに進化しつつ、発展して欲しいと願います。
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