TSUJI, Yamato(辻大和)

Lab. Social Systems Evolution
PRI, Kyoto University

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My name is Yamato Tsuji, an assistant professor of the Primate Research Institute, Kyoto University, Japan. I am interested in 1) effect of spatio-temporal variation in environment on mammal ecology, 2) inter-specific interactins, and 3) seed dispersal by mammals. My study subjects are 1) Japanese macaques (Macaca fuscata) and 2) Japanese martens (Martes melampus) in Japan, and 3) Javan lutung (Trachypithecus auratus) and 4) Malayan flying lemurs (Cynocephalus (Galeopterus) variegatus) in Indonesia.

Overview of my study / 私の研究の概要

2016-12-24 | 研究内容 / Studies
*English version is here

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1. 霊長類の行動特性の空間的変異とその生態学的要因の関連性

 メタ解析により、霊長類の食性やアクティビティといった行動特性と生息環境との関連性を調べ、霊長類のいかなる行動的形質が、乾燥地や寒冷地など過酷な環境への進出を可能にしたか、明らかにしようとしています。
 まず、アジア産の霊長類であるマカク類とコロブス類を対象に、彼らの食性の地域変異をもたらす環境要因を調べました。この成果は、Primates誌に発表しました(調査期間:2012年~)。
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 続いて、我が国の固有種ニホンザルを対象に、食性と環境要因の関係についての詳細な解析を行い、彼らの地域ごとの食性を特徴づける最大の要因が雪であることを明らかにしました。この成果は、Mammal Review誌に発表しました(調査期間:2013年~2014年)。
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2. 食物供給の年次変動とニホンザルの個体群パラメータの関係についての研究

 「動物の個体群動態が何に影響されているのか」という問題は、古くから生態学者の関心を集めてきました。個体群動態に関わるさまざまな要因のうち、食物はあらゆる動物に不可欠な資源であり、主要因のひとつと考えられています。
 群れで生活するニホンザルの場合、食物が限られる場合にそれを巡る競合が生じ、顕在化した順位関係の影響が採食成功や繁殖成功に及ぶ場合があります。競合の強さは食物の供給状態から影響を受け、一箇所に集中していれば優位な個体が独占できるでしょうし、分散していれば群れの全員が利用できるでしょう。

 ニホンザルの交尾期は秋で、このときの脂肪蓄積が繁殖の成否に影響します。秋の主要食物である堅果類の供給状態は樹種ごとに異なり、しかもその生産量や結実樹種の組み合わせが年により大きく変化します。したがって、食物を巡る競合の程度も年ごとに大きく変化すると予想されます。私は、食物資源の供給状態の変動が順位関係を通じて個体群パラメータに及ぼす影響を明らかにしました。この成果は、International Journal of Primatology 誌に発表しました(調査期間:2004年~2005年)。
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3. ニホンザルの土地利用に関する研究

3-1. 季節間変化
 金華山島のニホンザルの土地利用と主要食物の分布との関係を1年間調べ、彼らの土地利用が各季節の主要食物の分布に強く影響を受けていることを明らかにしました。これは温帯の霊長類を対象とした数少ない報告であり、Ecological Research 誌に発表しました。(調査期間:2000年~2001年)
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3-2. 年次変化
 5年分の秋のデータを整理して、サルの土地利用は年によって大きく変化すること、そしてその変化は秋の主要食物である堅果類の結実状況の年次変化に由来することを明らかにしました。この結果は International Journal of Primatology 誌に発表しました。(調査期間:2000年~2005年)
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3-3. 季節内変化
 2004年の秋の調査中に発生した台風の通過が、ニホンザルの食性、土地利用、および採食成功に与える影響について調べました。サルは台風の通過前には多様な食物を採食していましたが、台風通過後には限られた2品目を集中的に採食するようになりました。また、行動時間配分や移動距離には台風前後で違いがみられ、台風通過後には移動時間が減り、一日の移動距離が短くなりました。この成果は International Journal of Primatology 誌に発表しました。(調査期間:2004年)
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3-4. 泊まり場選択
 ニホンザルの泊まり場選択に与える植生タイプ・地形・標高の影響を調べました。捕食者がいない金華山では、食物の豊富な場所や、風をしのげる谷筋、あるいは標高の低い場所が泊まり場として選択される傾向が強いことを明らかにしました。この成果は Journal of Mammalogy 誌に発表しました。(調査期間:2000年~2007年)
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4. ニホンザルを初めとする哺乳類の食性の年次変化に関する研究

 大学院修士課程では、金華山島のニホンザルの食性を3年間調べ、これらの値が春と夏には年次的に安定であるのに対し秋から冬にかけては主要食物である堅果類の結実の豊凶に応じて年ごとに変化することを明らかにしました。このことは、彼らが食物環境の時間的変化に対する自らの行動パターンの柔軟な変化を反映していると考えられます。この成果は American Journal of Primatology 誌に発表しました。(調査期間:2001年~2003年)
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 このことをきっかけに動物の食性の年次変化に興味を持った私は、文献検索によってこの問題についてのレビューを行い、食性の長期研究事例には分類群ごとにばらつきがあること、多くの事例では食性評価に糞分析を用いているが、特定の分類群に特徴的な分析手法がみられること、ほとんどの事例で食性の年次変動がみられるが多くの事例では食物環境の定量的な評価を行っておらず、さらに個体群パラメータへの影響を評価した事例はわずかであること、などを明らかにしました。この成果は 哺乳類科学 誌に発表しました。
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5. ニホンザルの栄養状態の定量的な評価についての研究

 博士課程の2年目から3年目にかけては、金華山島のニホンザルの栄養状態の季節変化について、詳細に分析しました。具体的には、彼の採食行動を観察するとともに、食物を採集して栄養分析を行い、一日に獲得したエネルギーやタンパク質を定量的に調べました。従来、彼らの栄養状態は春と秋に良好で夏と冬に悪いと言われてきましたが、同じ季節でも月によって栄養状態は多様に変化していることがわかりました。この成果は、 Primates 誌に発表しました。(調査期間:2004年~2005年)
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6. 野生ジャワルトンの生態学的研究

 2010年よりインドネシア、ジャワ島西部のパガンダラン自然保護区において野生ジャワルトンの研究を行っています。食性、土地利用、アクティビティなど基礎的な情報の蓄積を目下の目的としています。その第一歩として、下腹部の特徴的な毛色を用いて個体識別を行う方法を開発しました。この成果は、Primates 誌に発表しました。(調査期間:2010年~)
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 サイドワークとして、小型猛禽類による襲撃の事例や、アミメニシキヘビと遭遇した際のルトンの反応について、報告しました。この事例はHumans and Nature 誌ならびに Primates 誌に発表しました。
→猛禽による襲撃事例の詳細はこちら
→ニシキヘビとの遭遇事例の詳細はこちら

7. 霊長類と他の動物の混群についての研究

 研究を続けてゆく中で、フィールドノートにはさまざまなデータが蓄積されてきました。このような長期継続データを用いたサイドワークのひとつとして、霊長類と有蹄類の関係について調べました。両者は一見無関係に生活しているように見えますが、サルが樹上から落とした食物をシカが食べるという関係 があります。金華山では、このような関係が、晩冬から初春にかけてのニホンジカの栄養状態に利益をもたらしている可能性を主張しました。この成果は Acta Theriologica 誌に発表しました(調査期間:2000年~2006年)。
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 インドネシアでも、ルサジカがジャワルトンの落とす葉を採食するという関係を発見し、この関係がシカの栄養状態に与える影響について考察しました。この成果はJournal of Mammalogy 誌に発表しました(調査期間:2010年~2014年)。
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 霊長類と他の動物の混群現象についてのレビューも行っています。霊長類は哺乳類、鳥類、爬虫類、昆虫類と混群を形成しましたが、とくに哺乳類、鳥類との関係事例が多いことが分かりました。この成果は 霊長類研究 誌に発表しました。
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8. 霊長類による種子散布に関する研究


 金華山島ならびに東京郊外のニホンザルの糞に含まれる種子の特性(植物の種数、糞一個あたりに含まれる種子の数、健全率など)とその季節変化を評価するとともに、他の地域と比較しました。この成果は、それぞれ Mammalian Biology  誌と Mammal Study 誌に発表しました(調査期間:2000年~2010年)。
金華山島での研究の詳細はこちら
東京郊外での研究の詳細はこちら

 この成果をもとに、金華山島の食物環境の年次変化とサルによる種子散布特性の関連を調べ、種子の出現率や健全率に年次的な変化があることを明らかにしました。この成果は PLoS ONE  誌に発表しました。
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 飼育条件下のニホンザルを対象に給餌実験を行い、体内通過時間と種子の物理的特性(重量・体積・比重)の関係を調べました。この成果は Journal of Zoology  誌に発表しました(調査期間:2008年)。
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 フィールドワークで得た行動圏利用のデータと、給餌実験で得た種子の体内通過時間のデータを組み合わせることにより、ニホンザルによる種子の散布距離を推定しました。この成果は American Journal of Primatology 誌に発表しました(調査期間:2004~2005年, 2009年)。
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 ベトナムでは、野生アカゲザルの種子散布に関する研究を行いました。植物の種数、糞一個あたりに含まれる種子の数、健全率などとその季節変化を評価するとともに、得られた結果を他種のマカクのそれと比較しました。この成果は、 Vietnamese Journal of Primatology 誌に発表しました(調査期間:2011年)。
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 中央アフリカ・コンゴ民主共和国ワンバでは、野生ボノボの種子散布に関する研究を行いました。Dialium 属2種をモデル植物として散布距離を推定し、ボノボの種子散布距離(750m)がこれまで報告のある他の熱帯性霊長類(100-400m)に比べてはるかに長いことを明らかにしました。この成果は Journal of Tropical Ecology  誌に発表しました(調査期間:2008年)。
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 インドネシアでは、野生ジャワルトンの種子散布に関する研究を行いました。散布距離こそ同所的に生息する他の動物より短かったものの、そのバイオマスの大きさゆえに、コロブス類による散布も森林生態系において無視できないことを明らかにしました。この成果は Biotropica 誌に発表しました(調査期間:2012-2013年)。
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9. 東京郊外に生息する小・中型食肉類の食性ならびに種子散布に関する研究


 東京都西部に位置する八王子市とあきる野市の境界域には、ホンドテン、ニホンイタチ、ホンドギツネ、ホンドタヌキなどの食肉類が同所的に生息しています。彼らの生態を、おもに採食の観点から明らかにしようと考えています。果実食性の傾向が強いという点でニホンザルと共通性の高い、ホンドテン (Martes melampus) に特に関心をもっています。
 まず、同所的に生息する2種のイタチ科動物(ホンドテンとニホンイタチ)を糞サイズから種同定する簡便な手法を動物園と共同で考案しました。この成果は、動物園水族館雑誌 に発表しました(調査期間:2007年~2008年)。
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 この手法を活用して、糞に含まれる種子の特性(植物の種数、糞一個あたりに含まれる種子の数、健全率など)とその季節変化をホンドテンとニホンイタチで比較し、それぞれの動物の種子散布者としての役割を評価しました。この成果は、Mammalian Biology 誌に発表しました(調査期間:2007年~2008年)。
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 糞分析により食性を評価し、この結果を10年前に実施された食性調査の結果と比較することにより、ホンドテンの食性の長期的な変異について検討しました。この成果はActa Theriologica 誌に発表しました(調査期間:2007年~2008年)。
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 飼育条件下のホンドテンを対象に給餌実験を行い、体内通過時間と種子の物理的特性の関係を調べました。この成果は Acta Theriologica  誌に発表しました(調査期間:2010年)。
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 富士北麓で得た行動圏利用のデータと、動物園での給餌実験で得た種子の体内通過時間のデータを組み合わせることにより、ホンドテンによる種子の散布距離を推定しました。この成果は Zoological Science 誌に発表しました(調査期間:2014~2015年)。
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 同じく飼育下のテンを対象に、食物の摂取量と種子の体内通過時間の関係も調べました。この成果は Mammal Study  誌に発表しました(調査期間:2011年)
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 並行して、飼育下のホンドテンの活動時間配分を評価しました。この成果はHumans and Nature  誌に発表しました(調査期間:2013年)
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10. マレーヒヨケザルの生態に関する研究


 インドネシア・ジャワ島に生息するマレーヒヨケザルの日中の休息木の選択について、森林構造との関連性を検討するとともに、食性について調べました。この研究は、Mammal Study 誌に発表しました。(調査期間:2011-2013年)
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 調査中にみつけたヒヨケザルの死体を回収し、基礎データとして体長や体重などサイズを計測しました。このデータは HAYATI 誌に発表しました。
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11. その他の共同研究


<金華山島のニホンザル>
 調査地の金華山島では、いろいろな大学・機関の学生・研究者がサルの調査をしています。自分は、これらの方々からデータを提供してもらったり、ときには提供したりして研究を進めています。2004年には、共同で群れの凝集性の維持機構についての研究を実施し (Sugiura et al. 2011,Int. J. Primatol.; Sugiura et al. 2013, Ethology)、2007年には北大の研究者に協力して毎木調査を行いました (Kazahari et al. 2013, Behaviour)。また、2000年に調査を開始して以来、出産・死亡・個体の移出入などのパラメータや順位関係、個体識別のポイントなどの基礎的なデータを収集し、調査仲間で共有してきました。フィールドや山小屋で異分野の方から話を聞いたり、議論したりするのは楽しいことです。

<他地域のニホンザル>
 ここ数年は、金華山以外のニホンザル調査も共同で実施しています。
・インドネシアの研究者と共同で、香川県の小豆島でニホンザルによる「強奪行動」(food snatching) の調査を行いました (Hadi et al. 2013, Primates)。

・青森県の白神山地で観察された、サルによるモリアオガエルの泡巣の採食について報告しました (井上・辻 2016, 霊長類研究)。

・過去に公表されたニホンザルの資料を収集・分析し、全国規模での情報集約を行いました。この成果は二篇に分けて、霊長類研究 誌に発表しました(調査期間:2009年~2011年)。
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・ニホンザルのメスの移出についての過去の事例を収集し、その生態学的・社会的要因について考察しました。この成果はMammalia 誌に発表しました(調査期間:2012-2013年)
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・上野動物園の飼育スタッフと共同で、この動物園のサル山で飼育されていたニホンザルの群れのα個体の推移と、交代が生じる背景について考察しました(青木ら 2014, 霊長類研究)。さらに、ニホンザルの給餌条件と体重の季節変化の関連性について調べました(Aoki et al. 2015, Zoo Biol.)。


<他の霊長類>
・Primates誌に組んだ、温帯・高山に生息する霊長類の特集号の編集者の一人として、パキスタンの研究者をサポートしてヒマラヤラングールの土地利用に関する論文をまとめました (Minhas et al. 2013, Primats)。

・インドネシアの研究者をサポートして、スマトラ島西部のカニクイザルの個体群の現状に関する論文をまとめました (Ilham et al. 2016, Primats)。

<他の哺乳類>
・糞を用いたホンドテンの食性評価について、効率の良い手法を検討しました(高槻ら 2015, 哺乳類科学)。
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コロブス類:見過ごされてきた種子散布者

2016-12-23 | 研究内容 / Studies
「コロブス類 = 葉食専門のサル」
という認識が霊長類研究者に根付いています。しかし最近の研究で、多くのコロブス類で果実食が見れることが示されており、ゆえにコロブス類は、種子散布をはじめとする、果実食を通じた生態学的サービスに影響していると予想されます。われわれはインドネシアに生息するジャワルトン(Trachypithecus auratus)を対象に、(1)糞に含まれる種子の量と多様性、(2)散布距離、(3)発芽率を評価し、それを同所的に生息するカニクイザル(Macaca fascicularis、マカク類は主要な散布者として知られる)の値と比較しました。

調査期間中に採集したルトンの糞の54%に種子が含まれ、これはカニクイザルの62%に匹敵する高い値でした。ルトンの糞から出現した植物種数は少なくとも6種あり、これはカニクイザルの19種より少なかったものの、ひとつの糞に含まれる種子の数はむしろルトンのほうが多いという結果でした。なお、ルトンの糞に含まれる種子の多くはイチジク類(Ficus spp.)などの小型種子でした。


Ficus benjaminaの果実を食べるジャワルトン

野外調査と動物園での給餌実験を組み合わせてルトンの散布距離を推定したところ、平均51-100m、最長299mであり、同所的に生息する他の果実食者の散布距離(数百メートル~数キロメートル)より短かいという結果が得られました。最後に、ルトンの糞に含まれるイチジク類の発芽率は、果実から取り出した種子(コントロール条件)の発芽率よりも低かったものの、カニクイザルの糞に含まれる種子の発芽率との間では有意差がありませんでした。

以上の結果より、ルトンによる散布効率は同所的に生息する他種よりも低いことが示唆されました。しかし、森林におけるコロブス類のバイオマスの大きさを考えると、小型種子の散布においては、ルトンが重要な役割を果たしていると考えられます。種子散布に限らず、生態学的な現象を正しく評価するには、「果実食者」「葉食者」といった先入観から脱却することが必要です。

  
左:発芽実験、中;動物園における給餌実験、右:給餌実験を担当したJenniさんと共同研究者のWidayati博士
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Neglected seed dispersers: endozoochory by colobine monkeys

2016-12-23 | 研究内容 / Studies
Leaf monkeys are known to be leaf eaters, and thus, their potential role as seed dispersers has been neglected. However, they do also feed on fruits. To examine the role of leaf monkeys as endozoochorous seed dispersers, we studied the Javan lutung (Trachypithecus auratus) in Indonesia. We compared multiple aspects of seed dispersal processes (amount and diversity of seeds ingested, dispersal distance, and germination rate) of lutungs with that of the sympatric long-tailed macaque (Macaca fascicularis). Over the study period, 54% of lutung feces contained intact seeds, which was equivalent to the macaque feces contained seeds (62%). Seeds of at least six plant species were detected in lutung feces, which was less than those found in macaque feces (> 19 plant species). The main species of seeds defecated by both lutungs and macaques were Ficus spp. (seed size: 0.7 mm). Seed shadow, estimated from travel distance (range: 1–299 m) and gut passage rate (24–96 h), had a unimodal distribution with a peak at 51–100 m, and was shorter than that reported in published accounts of macaques and other similar and smaller-sized frugivores. Finally, germination rates of Ficus spp. seeds ingested by both lutungs and macaques were lower than that of control seeds. These results imply that the dispersal effectiveness of lutungs would be lower than that of sympatric primate frugivores. However, at a population level, lutungs could play a significant role as seed dispersers for small-seeded species, and, therefore, more research into their frugivorous habits is warranted.

  
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Seed dispersal by Japanese macaques in western Tokyo, central Japan: a preliminary report

2016-05-14 | 研究内容 / Studies
We studied the characteristics of seeds within faeces, an important aspect of endozoochorous seed dispersal, in Japanese macaques Macaca fuscata inhabiting Western Tokyo, cental Japan. We collected faecal samples from 2007 to 2008 and examined the rate of seed occurrence, species/life-form composition, and number of seeds. Seeds were found within faecal samples during every season, but their characteristics changed seasonally: the rate of seed occurrence and the number of plant species within faecal samples were greater in spring/summer and fall. These results suggest that Japanese macaques in Tokyo act as seed dispersers in spring/summer and fall and that they disperse seeds into wider areas within the forest through defecation. During the study period, we observed seeds from a total of 20 plant species in our samples. We conducted regional comparisons of the characteristics of defecated seeds in order to address whether regional variations in the diet of the macaques affect their efficacy as seed dispersers, both in terms of quantity and quality.




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Inter-annual variation in characteristics of endozoochory by wild Japanese macaques

2016-05-14 | 研究内容 / Studies
Endozoochory is important to the dynamics and regeneration of forest ecosystems. Despite the universality of inter-annual variation in fruit production, few studies have addressed the sign (seed predation versus seed dispersal) and strength (frequency and quantity) of fruit-frugivore interaction and the effectiveness of endozoochory in response to the long-term temporal context. In this study I evaluated the characteristics of endozoochorous dispersal by wild Japanese macaques Macaca fuscata inhabiting deciduous forest in northern Japan for five different years. I collected 378 fecal samples from the macaques in fall (September to November) and quantified the proportion of feces containing seeds, number of seeds per fecal sample, ratio of intact seeds, and seed diversity. The proportion of feces containing seeds of any species (five-year mean: 85.9%, range: 78–97%) did not show significant inter-annual variation, while species-level proportions did. The intact ratio of seeds (mean: 83%, range: 61–98%) varied significantly both between years and between months, and this varied among dominant plant species. The number of seeds per fecal sample (mean: 78, range: 32–102) varied monthly but did not between years, and the seed diversity (mean: 0.66, range: 0.57–0.81) did not show significant inter-annual variation, both of which were attributed to longer duration of macaques’ gastro-intestinal passage time of seeds exceed their feeding bouts. This study demonstrated that frequency and success of seed dispersal over seed predation of macaque endozoochory showed inter-annual variation, indicating low specificity across the seed–macaque network. The temporal variability in the quality of seed dispersal may provide evidence of high resilience in response to fluctuating environmental conditions in the temperate forests.



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