後藤和弘のブログ

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中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

アメリカの中東政策の基本と中東各地の米軍基地

2017年07月20日 | 日記・エッセイ・コラム
アメリカの過去の中東政策の基本は次の2つであると日本国際問題研究所の中東専門家の小野沢 徹氏による詳細な研究によって明らかにされています。
この論文は、http://www2.jiia.or.jp/pdf/resarch/H25_Middle_East_as_Global_Strategic_Challenge/00-frontpage_intro_member_index.pdf に公開されています。
それによると米国の中東地域における基幹的政策は、
①中東からの安定的な石油供給の確保、
②敵対的な国家あるいは勢力による中東地域とくにペルシャ湾岸地域の支配の防止、と定義されており、あす。
ここで言うペルシャ湾岸地域にはクエート、バーレーン、カタール、アラブ首長国連合(略称UAE)などの国家が存在しています。
従ってアメリカは長年かけてこれらの湾岸諸国の安定に多額の投資をし友好国にしています。
その一方、サウジアラビア王国とヨルダン王国とも友好関係を維持しています。
そしてアフガニスタン戦争とイラク戦争に勝ったアメリカはこの2国に親米政権を作りました。

従ってアメリカはサウジアラビア王国、ヨルダン王国、カタールなどの湾岸国、そしてトルコやオマーンなどに米軍基地を持っています。
例えば、『Googleマップで見られる世界中の軍事スポットを紹介するページ』から米軍基地の幾つかをご紹介致します。
以下は、http://m3i.nobody.jp/military/satellite/otherafmenu.html からの抜粋です。
基地の衛星写真を拡大して、それぞれの基地の実態を是非ご覧下さい。

その前にもう一度、以下の1番目の写真の中東の地図をご覧下さい。そして以下の米軍基地の大体の位置をご想像下さい。


中東の米軍基地;
(1)キング・ハリド軍事都市;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%AA%E3%83%89%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E9%83%BD%E5%B8%82 に詳細があります。
1970年代から1980年代にかけて、アメリカ陸軍工兵隊(USACE)の中東師団により、アメリカ軍とサウジ軍の複数の旅団の将兵の駐留のために設計、施工された巨大な軍事都市です。。
最大6万5千人が居住可能で、これに各種訓練施設、修理補給施設、病院、ショッピングモール、娯楽施設、空軍基地、防空システムが一体となり、全ての施設を含めると30km四方にもなる巨大軍事都市となっているのです。
基地は前サウジ王ハーリド・ビン・アブドゥルアズィーズにちなんだ現在の呼び名になっています。
2番目の写真にこの軍事都市の上空からの写真を示します。


(2)アル・ダフラ基地
UAEの首都アブダビ郊外にある基地です。米空軍が駐留しています。

(3)スムライト基地
オマーンの基地ですが、米空軍や英空軍も利用しています。

(4)アル・ウディード基地
米空軍が駐留するカタールの基地です。C-17輸送機やKC-135給油機などの大型機が多数見えます。

(5)アフマド・アル・ジャービル基地
アメリカとその同盟国も使用するクウェートの基地です。

(7)アリ・アル・サーレム基地
イラク復興支援の際に航空自衛隊が拠点としたクウェートの基地です。
水色に塗装された空自のC-130輸送機が写っています。

(8)ヨルダンの南部ジャフルにあるプリンス・ファイサル空軍基地

(9)その他、シリア領土内のシリア国境にある米国とヨルダン軍によって使用されている基地もあるようです。

中東攻撃用のヨーロッパの米軍基地;
(10)アビアノ空軍基地
アメリカ第16航空軍司令部が置かれているイタリアの基地です。

(11)インジルリキ空軍基地
米・英軍も利用するトルコの基地などなどです。

以上のようにアメリカ軍はシリアを除く中東全域に軍事基地を持っています。
しかし強力な地上軍を数万人以上派遣しない限り空軍と海軍では中東全域の平和は維持されないのです。戦乱の原因はイスラム国だけではないのです。
ここで問題を提起します。
「中東の果てしない戦争の原因は幾つあるのでしょうか?スンニ派とシーア派の抗争も戦争の原因の一つになっていますが、他の原因とどのように関係しているでしょうか?」

皆様のご意見を大歓迎します。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)

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