浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

オバマのシリア強奪が生み出す難民たち

2015-09-15 01:01:35 | 資料

アメリカが爆弾を投下し、EUが難民と非難を受ける。これは正気ではない。

2015年9月9日 マスコミに載らない海外記事

Eric ZUESSE
2015年9月7日 | 00:00
Strategic Culture Foundation

2011年から、アメリカ合州国は、親ロシア派の独裁者ムアマル・カダフィを打倒する為にリビアへの爆弾投下を開始した。現在、このアメリカのリビア爆撃作戦と、更には、シリア爆撃作戦によって、引き起こされている難民危機に対する、ヨーロッパ諸国の態度への罪悪感で、EU自身が引き裂かれている。

ヨーロッパは、東ウクライナにおける、アメリカが支援する爆撃作戦(2014年にアメリカが据えた反ロシア・ウクライナ政府が、2014年2月のアメリカ・クーデターを拒否しているこの親ロシア地域の人々に、‘テロリスト’とレッテルを貼り、それゆえ爆撃されても、あるいは焼夷弾爆撃までされても当然だということで‘対テロリスト作戦’略称‘ATO’と呼ぶ爆撃作戦)からの難民も受け入れている。

ところが、アメリカが引き起こした、ヨーロッパへのこの何百万人もの難民にもかかわらず、NATO自体の存在理由(東からの共産主義者の侵略に対するヨーロッパ防衛)がすっかり消滅してから何十年もたっても、ヨーロッパ諸国は、いまだにアメリカ軍が、ヨーロッパの地に駐留したままでいるのを認めている。(ソ連版のこの等価物、ワルシャワ条約は、1991年、ソ連自身が解体した際に、解散し消滅したのに、NATOは存続し続け、ソ連の脅威を喧伝したのと同様に、あたかも、共産主義が崩壊した際に、何の変化もなかったかの様に、まるで、冷戦のイデオロギー的理由が、ずっとインチキであったかのごとく、‘ロシアの脅威’を絶えずしつこく宣伝している。“新冷戦”は、どの様にしても、正当化などできようがない。) ロシアは今、この新たに変貌したNATOの対ロシア軍事演習で、益々可能性が高まっているNATOのロシア侵略に備える為、同様なロシアの防衛戦略で対応することで、アメリカが作り出したヨーロッパのこの新たなロシアに対する敵意に対応しようとしているのだ。

だから、現在の難民危機は、実際、ロシアを破壊しようという、アメリカの持続的な執念、EUが同調している執念によって引き起こされており、今やEUは、ロシアという貿易相手国を失ったためのみならず、この新冷戦によってもたらされた、ヨーロッパへの何百万人もの難民流入で、大いに苦しんでいるのだ。この危機は、益々攻撃的になるNATOに対する、ロシアの防衛措置手段によってもたらされたわけではない。それはEUが支持し続けているアメリカの武力侵略によって引き起こされたのだ。

現在の危機の、そもそもの発端に戻ろう。

2013年10月7日、偉大な調査ジャーナリストのクリストフ・レーマンは、彼のnsnbcニュース・サイト、“シリアでの化学兵器使用に、アメリカとサウジアラビア幹部が関与”という見出し記事を書いたが、書き出しはこうだった。“ホワイト・ハウスと、マーティン・デンプシー統合参謀本部議長と、ジョン・ブレナンCIA長官と、サウジアラビア諜報機関のトップ、バンダル王子と、サウジアラビア内務省と、証拠は直接つながっている”。(1945年以来、アメリカは、サウジアラビア王家と同盟している。)
http://nsnbc.me/2013/10/07/top-us-and-saudi-officials-responsible-for-chemical-weapons-in-syria/
“オバマが化学兵器攻撃は彼のせいだと非難して、親ロシア派のシリア独裁者バッシャール・アル・アサドを倒す為、爆撃を計画した理由として、バラク・オバマ大統領が言及している、2013年8月21日のダマスカス・東グータ地域”での化学兵器攻撃についてレーマンは論じている。
http://www.aljazeera.com/news/americas/2013/06/2013613212110550.html
だが、もう一人の偉大な調査ジャーナリストのセイモア・ハーシュが、その後、2014年4月17日、ロンドン・レビュー・オブ・ブックスで報じたのと同様(異なる情報源を用いて)、 レーマンの更に前の調査で、アメリカが化学兵器攻撃をお膳立てしたこと、そして攻撃は、実際、アメリカ自身がトルコ経由でシリアに送り込んだ、イスラム原理主義聖戦戦士によって遂行されたことが判明している。レーマンはこう報じている。
http://www.lrb.co.uk/v36/n08/seymour-m-hersh/the-red-line-and-the-rat-line

主にカタールが支援したムスリム同胞団と、2012年6月と7月に、リビア人を入れて増強された、自由シリア軍(FSA)勢力が敗北した後、アメリカ-サウジアラビア枢軸は強化された。新たな司令部を受け入れなかった、カタールが率いる非協力的な旅団は排除せざるを得なかった。サラフィー・ワッハーブ主義戦士のシリア流入は、国際危機グループICGによる“暫定的聖戦”と題する報告書で文書化されている。

ハーシュの記事は、化学兵器攻撃の原因が、アサドの軍ではあり得ないことを発見したイギリス諜報機関による、レーマンの有力な確認を強化するものだ。ところがイギリスは、もちろん、オバマのウソを公に明らかにはしなかった。結局、トニー・ブレアが、イラクとアフガニスタンにおいて、ジョージ・W・ブッシュの“ポチ”だったのと同様、デービッド・キャメロンは、シリアとリビアにおいて、オバマのポチなのだ。

シリア作戦が今そうしているのと同様(そしてウクライナ作戦も、その方向に向かっている様に)、リビア作戦はリビアを破綻国家に変え、ヨーロッパは現在、結果として生じた難民を迎えているのだ。

偉大な調査ジャーナリストのジョン・ピルガーが、オバマ大統領と、ヒラリー・クリントン国務長官が、リビア国民に対して、しでかした、恐ろしい意図的大惨事について、最高の要約説明をしてくれている。例えば“2011年、NATOは、リビアに対し、9,700回の‘作戦出撃’を行ったが、そのうち三分の一以上が民間標的を狙ったものだった。劣化ウラン弾頭が使用された。リビアの都市、ミスラタとスルトは絨毯爆撃された。赤十字は、集団墓地を発見し、国連児童基金は‘[殺害された子供達の]大半は十歳未満’だと報じていた”。こうしたものは、決して起訴されないだろう国際戦争犯罪だ。その過程で非常に多数の人々の命が失わたことも、おかまいなしに、彼女とオバマが、カダフィ殺害でしたことを、ヒラリー・クリントンは、誇らしげに陽気に語った(“来た、見た、彼は死んだ! (笑い)”)。ヨーロッパは、アメリカが犯した悪事が元で、酷い報いを受けているのだ。

これら三つの爆撃作戦全てが、いかに、ヨーロッパ向けの石油とガスの主要供給源から、ロシアを外し、サウジアラビアや他のアラブの王国に向けようという、オバマ政権とサウジアラビア王家による取り組みの一環であるのかを随所でご説明してきた。

アラブ産油諸国の王家から資金を提供されているイスラム原理主義聖戦を辞めさせる為にも、そして、こうした難民の流れの根源に終止符を打つためにも、そして、堕落し衰えつつあるアメリカ帝国を、最終的に失墜させ、恐らくは、平和に対する世界最大の単一の脅威であり、果てしない戦争の世界最大の単一スポンサーでもある国を、終わらせるであろうユーラシア新興経済圏を立ち上げ、その一環となる為にも、一体なぜ全てのEU諸国が、NATOを放り出し、ロシアと組まないのか説明できるEU指導者が、多分誰かいるだろう。
http://www.washingtonsblog.com/2015/04/u-s-force-good-world.html

それとも、EU指導者達はアメリカに雇われているのだろうか? 例えば、2012年、アンゲラ・メルケルのドイツが、シリアの反政府聖戦戦士に、スパイ支援をしていた理由が他にあるだろうか? (メルケルのスパイは、同時期、サーラ・ワーゲンクネヒトや、メルケルの反ロシア政策に反対する他のドイツ連邦議会議員達をスパイしていた)。ドイツ指導者メルケルは、それだけで、ドイツや他のヨーロッパの国々に安全な避難場所を見いだそうとするシリア人殺到の助長に加担していることになる。(そして、この難民流入に実際は加担したのだが、加担したのではなく、まるで反対したようなふりをすることで、EUの指導者達は、極右反政府派の台頭を難民流入のせいにすることができるのだ。)この背後にある堕落だけでも途方もないものだ。だがその背後にある偽善は、確実に耐え難い。
http://www.spiegel.de/politik/deutschland/geheimdienst-verfassungsschutz-beobachtet-27-linken-abgeordnete-a-810651.html

すると、ヨーロッパの有権者達は、一体なぜ、これを受け入れているのだろう? (例えば、一体なぜ、誰かワーゲンクネヒトの様な人物がドイツを率いないのだろう?) 一体なぜメルケルの様なアメリカのポチが権力の座にいるのだろう? 一体なぜ、彼等は拒絶されないのだろう? 国民は、彼らのおかげで、大いに苦しんでいる。ヨーロッパは彼等、アメリカの代理人によって破壊されつつあるのだ。

今何が起きていて、その理由が何なのかを、ヨーロッパ人は知らないのだろうか? アメリカのくびきからの自由を実現するものは国粋主義ではない。右翼ではない。それは愛国心だ。退行ではなく、進歩だ。過去にではなく、将来に目を向けることだ。指導者が、その代表なのだと主張している、国民の為に奉仕することだ。それが本当の民主主義だ。アメリカは、もはやマーシャル・プランで援助をしてくれた国ではない。その国は、不幸にも、他のものにとって代わられてしまったのだ。新たな集団が乗っ取ったのだが、彼らが執念を抱いているのは帝国だ。あるいは、オバマ大統領自身が傲慢にも語っている様に“アメリカ合州国は、一つの必要欠くべからざる国であり、そして、そうあり続けるのだ”。彼は、それをそのまま維持すると約束した。“これは過ぎ去った世紀には真実だったし[彼は‘過去’の綴りを間違えた [[ホワイト・ハウスの重要人物は‘過去’と‘過ぎさった’の違いさえわからなかったのだ]] 、次の世紀にも真実となろう”。(少なくとも彼は、1000年王国の予言はしなかった。彼とて、それほどまでひどくはないのだ。)
https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2014/05/28/remarks-president-united-states-military-academy-commencement-ceremony

アメリカ帝国は少なくともあと一世紀は続くのだと彼は語った。ヨーロッパの人々は、本当にそれを許容できるのだろうか、とりわけ、それが自分たちを、一体どのような方向に向かわせているのかが見えるようになった今? これら難民に対する本当の思いやりは、アメリカを、EUから追い出すよう要求することだろう。そしてNATOを終わらせることだ。EUでは、反難民等々の代わりに、反アメリカという大衆の大規模な意思表示が、一体なぜ行われないのだろう? ヨーロッパ人は、マーシャル・プランで援助をしてくれた国がまだ存在していると本当に思っているのだろうか? もしそうなら、彼等は間違っている。大いに間違っている。
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調査ジャーナリスト、歴史研究者のEric Zuesseは新刊「彼らは全然違う: 民主党対 共和党の経済実績、1910-2010」および「キリストの腹話術師:キリスト教を生み出したイベント」と「封建主義、ファシズム、リバタリアニズムと経済学」の著者。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2015/09/07/us-drops-bombs-eu-gets-refugees-and-blame-this-is-insane.html

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/eu-6070.html

◆ガス・パイプラインに煽られた難民危機

2015年9月13日 マスコミに載らない海外記事

Mnar Muhawesh
2015年9月9日
Mint Press News

決して、だまされてはならない。シリアの宗派対立は、石油とガスの入手と、それに伴って得られる権力と金を巡る戦争の口実として、画策されているのだ。

北ギリシャの村、イドメニから、南マケドニアへの国境越えを待つ難民と移民、2015年9月7日、月曜。ギリシャは、欧州連合に向かう、大量の難民と移民の流入で矛先を向けられている。(AP Photo/Giannis Papanikos)

編集者注: 本記事は、2006年という早い時点に、シリアを不安定化し、シリア政府を打倒する計画を示すアメリカ国務省の漏洩文書の最近のウイキリークスによる暴露を反映する為に更新された。
http://www.rt.com/news/314852-assange-wikileaks-us-syria/
漏洩で、こうした計画が、イスラエル政府から、アメリカに直接与えられており、内戦と宗派抗争を引き起こすことや、本質的に、イランとヒズボラを弱体化させる為、シリア国内の権力構造を破壊する為、サウジアラビア、トルコ、カタールや、エジプトのような国々とまで協力するのを正式なものにするのを明らかになった。漏洩は、この危機を、更なる石油採掘と軍事拡大の為、ゴラン高原占領を拡大するのに利用しようというイスラエルの計画も暴露した。

ミネアポリス発 戦争で荒廃したシリアから、家族が逃れる取り組みで、地中海海岸に打ち上げられた三歳のシリア男児アイラン・クルディの写真が世界中の人々の注目を集め、戦争の本当の代償に関する激怒の火付け役となった。

危機中東全体とヨーロッパ国境で展開している痛ましい難民が、シリア、リビアやイラク等の国々人々を、自宅から追い出している現在継続している争いと不安定に関して、大いに必要とされていた会話を引き起こした。万一、これは重要な“万一”なのだが、ヨーロッパの戸口にたどりつけた際、これらの難民が受けている非人道的な扱いに、国際的注目がもたらされている。

例えば、シリアでは、外国勢力が、シリアを、内戦と外国侵略とテロという悪夢の組み合わせにおとしめた。シリア国民は、戦争地帯で暮らして、ISISの様な集団の標的にされ、シリア政府の残虐な弾圧を受けるか、あるいは最小限の救命具で、危険な海域に乗り出し、万一、対岸にたどりついても、結局ヨーロッパ政府から、食糧、水や安全の提供を拒否されるかを選ばねばならないという耐えられない立場にある。

国内の混乱を逃れる他のシリア国民は、近隣のアラブ・イスラム諸国に向かっている。ヨルダンだけでも、50万人以上のシリア難民を受け入れている。レバノンは、約150万人を受け入れている。また、イラクとエジプトは、数十万人を受け入れている。

アラブ国家でも、中東の一部でもないにもかかわらず、イランは、昨年、3,000張りのテントと、10,000枚の毛布を含む150トンの人道物資を、ヨルダン、イラクとレバノンの赤新月社にこの三国で暮らすシリア難民の間で配布するよう、陸路で送付した。

トルコは、これまでに、約200万人の難民を受け入れている。トルコのレジェップ・エルドアン首相は、国際的に大見出しの記事に登場し、トルコを移民に解放したことで、その過程で、ある種救世主の様な位置についた。

2015年9月2日水曜日早朝、トルコのリゾート地ボドラム近くで、彼と家族が乗ったボートが転覆して、溺れた三歳のアイラン・クルディの亡骸を抱く準憲兵隊員。(Photo: Nilüfer Demir/DHA)

一方、サウジアラビア、カタール、クウェートやアラブ首長国連邦等の湾岸アラブ諸国のシリア難民受け入れはゼロだ。

難民について、彼等は一体何者なのか、どこに行こうとしているのか、誰が彼等を支援しているのか、誰が支援していないのかという会話が確かに行われてはいるが、そもそも、こうした戦争が起きるのを、いかにして防ぐのかという議論が欠けている。マスコミや政治評論家連中は、責任のなすり合いで非難をする多くの機会を見いだしているものの、マスコミの一社たりとも、一体何がこの混乱を推進しているのか正確に分析してはいない。それは、ガスや石油や他資源の支配なのだ。

確かに、これは問うに値する。4年前、シリアの経済改革を要求して行われた“数百人”の抗議行動が、一体なぜ、恐ろしい宗派内戦へと悪化し、過激主義を煽り立て、現在、世界を悩ませ、世界で二番目に大きな難民危機を生み出しているのだろう?

マスコミは、シリアのバシャール・アサド大統領の樽爆弾を非難し、政治評論家達は更なる対ISIS空爆と、より厳しい対シリア経済制裁を呼びかけ、危機が始まって4年目なのに、大半の人々は、この戦争が、一体どのようにして始まったのか全く知らない。

この“内戦”は、宗教を巡るものではない

2014年1月、現地へのアクセスが不可能なことが理由で、国連はシリア内戦での死傷者数の定期更新を停止した。国連によれば、推計死亡者数は、140,200人から、330,380人の間で、600万人ものシリア国民が家を追われた。

残酷な弾圧で、シリア政府に多くの死傷者に対する責任があることに疑問の余地はないが、これは単に、シリアの問題ではない。

シリアへの外国の介入は、シリアでの反乱開始の数年前に始まった。ウイキリークスは、内戦を引き起こして、シリア政府を打倒するというアメリカの計画と、こうした命令を、テル・アビブから直接受けていることを明らかにするアメリカ国務省の2006年の漏洩電報を公表した。この漏洩は、サウジアラビア、トルコや、カタールや、エジプトの様な国々とのアメリカの協力関係同盟が、スンニ派と、シーア派の分裂を利用して、シリアを分割し、イランとヒズボラを弱体化する為、シリアを不安定化させるのに、宗派心を利用するためであることを暴露している。イスラエルも、ゴラン高原占領を拡張する石油採掘を増加する為、この危機を利用しようとしていることが明らかにされた。

BBCや、AP通信等の主要マスコミによれば、シリアで行われたとされる抗議行動は、わずか数百人の人々によるものだったが、更なるウイキリークスが公開した電報が、2011年3月という早い時期に、こうした抗議行動そのものを引き起こす為の、シリア国内でのCIAの関与を明らかにした。

資料 – 2011年12月19日月曜日、資料写真、シリア、ダマスカスでの集会で、シリアのバッシャール・アサド大統領を描いた巨大なポスターを掲げるシリア人達。活動家の一部は一年後に、バッシャール・アサド大統領の支配に対する彼等の“革命”が、暴力で泥沼化したことを残念がった。(AP Photo/Muzaffar Salman, File)

抗議行動は、わずか数カ月後に、CIAとつながる何百もの武装抗議行動参加者と化し、デモが拡大し、シリア人でない武装反政府集団がシリアに押し寄せ、シリア全土を政府の厳しい弾圧が覆う中、アメリカ合州国、イギリス、フランス、カタール、サウジアラビアやトルコが、反政府派を組織し、武器を与え、資金供給して、自由シリア軍を形成する好機に飛びついたことが明らかになった。(わずか数カ月前、ウイキリークスが、サウジアラビアの諜報情報を公開し、2012年以来、トルコ、カタールとサウジアラビアが、シリア政府を打ち倒すべく、反政府派に武器を与え、資金を提供するのに協力して動いていたことをあきらかにした。)

こうした諸外国は、2012年、実態とは遥かにほど遠い名前の“シリア国民の友人”と呼ばれる会議を開いた。彼らの狙いは、バシャール・アサド大統領の打倒を狙って、シリア全土で、大混乱を引き起こす為、分割して、統治することだった。

シリア・イドリブ県北部の町サルマダで、武器を持つ自由シリア軍兵士 2012年8月1日、水曜。(AP Photo)

評論家連中はシリアのイランとの同盟は、アメリカ合州国と、地域における同盟諸国の安全保障と権益に対する脅威だと主張して、シリアの反乱を乗っ取る本当の狙いは、すぐに明らかになった。シリア政府が、軍と、石油とガスと、兵器で、イランとレバノンの反体制政治集団ヒズボラの同盟であることは誰もが知っている。

この時期に留意することが重要だ。この連合と、シリアへの介入は、2014年から2016年の間に、イランの巨大なサウス・パース・ガス田から、イラクとシリアを経由して建設されるはずだったイラン-イラク-シリア・ガス・パイプライン議論の直後に起きた。レバノンに延長する可能性があり、最終的に標的の輸出市場、ヨーロッパへと至るはずだった。

シリアで猛威を振るっている、ガス、石油とパイプラインを巡る現在の危機に関する、恐らく最も正確な説明は、ドミトリー・ミーニンが、2013年5月、Strategic Cultural Foundation書いたものだろう。

http://www.strategic-culture.org/news/2013/05/31/the-geopolitics-of-gas-and-the-syrian-crisis.html

“ヨーロッパに向けて、パイプラインを、東から西へ、イランとイラクから、シリアの地中海沿岸で通すか、あるいは、 カタールと、サウジアラビアから、シリアとトルコ経由という、より北回り経路にするかを巡って、戦いがおこなわれている。こう着状態のナブッコ・パイプライン、実際、南ガス回廊丸ごとが、アゼルバイジャンの埋蔵量しか裏付けがないため、ヨーロッパへのロシアの供給には決して拮抗できないことを悟り、サウス・ストリーム建設を阻止する為、欧米はペルシャ湾からの資源で置き換える必要にせまられていた。シリアはこの連鎖における主要リンクであり、イランとロシア寄りの傾向がある。そこで、欧米の首都で、シリア政権は倒して変える必要があると決定されたのだ。

石油、ガスと、パイプラインが問題なのだ!

実際、ヨーロッパのガス市場が、ロシアの巨大ガス企業、ガスプロムの人質に取られてしまうのではという懸念の中、ロシア、アメリカと欧州連合の間の緊張が高まった。ロシアから離れ、ヨーロッパのエネルギー供給を多様化するには、提案された、イラン-イラク-シリア ガス・パイプラインは、不可欠なのだ。

トルコは、ガスプロムの二番目に大きな顧客だ。トルコのエネルギー安全保障構造丸ごと、ロシアとイランからのガスに依存しているのだ。更に、トルコは、ロシア、カスピ海-中央アジア、イラクや、イランの石油、さらにはガスの、ヨーロッパへの輸出における戦略的分岐点になるという、オスマン帝国風な野望を抱いている。

2013年8月、ガーディアンは、こう報じた。

“アサドは、ヨーロッパ市場への供給目的で、重要なことに、ロシアを回避しながら、イランのサウスパース・ガス田と隣接しているカタールのノース・フィールドから、サウジアラビア、ヨルダン、シリアを経由し、トルコへ向かう、カタールと、トルコが提案したパイプラインの協定に署名することを拒否した。アサドの論理は、‘ヨーロッパへの天然ガスの最大供給国である [彼の同盟]ロシアの権益を守るため’だった”。

http://www.theguardian.com/environment/earth-insight/2013/aug/30/syria-chemical-attack-war-intervention-oil-gas-energy-pipelines

提案されている、カタール-トルコ天然ガス・パイプラインを辿る紫色の線と、赤く塗った全ての国が、トルコが 最終的に(エルドアンの政治的動機による、対PKK戦争への、NATOの同意と引き換えに)、アメリカが、インシルリク空軍基地から、ISIS標的に対する空爆作戦を発進させることに同意した後、急遽まとめられた新たな連合の一環であるのに留意のこと。紫の線沿いの、どの国が赤く塗られていないのかに留意のこと。これは、バッシャール・アル・アサドが、パイプラインを支持せず、中東の独裁者が、アメリカと、サウジアラビアが実現したいことを支持しないことに決めると、一体なにが起きるかを我々が目にしているためだ。(地図: ZeroHedge.com)

シリアが、自国のエネルギー戦略において極めて重要な部分であるのを理解しているトルコは、このイラン・パイプライン案は改め、 究極的に、トルコや湾岸アラブ諸国のガス供給支配の追求を満足させる、カタール-トルコ・パイプライン提案に協力するよう、シリアのバッシャール・アサド大統領説得を試みた。しかし、アサドが、トルコの提案を拒否した後、トルコと同盟諸国は、シリア“内戦”の主要計画立案者となった。

https://www.youtube.com/watch?v=G1p_tFnKqMA

現在進行中の戦略の多くは、さかのぼって、アメリカ軍が資金を提供している2008年のRAND報告書“長い戦争という未来を明らかにする”の中で記述されていた。

http://www.rand.org/content/dam/rand/pubs/monographs/2008/RAND_MG738.pdf
“石油埋蔵があることがわかっている地理的領域は、大半のサラフィー主義-聖戦士ネットワークの権力基盤と一致している。これが、石油供給と、容易に止めたり、単純に特徴付けたりできない長い戦争とのつながりを生み出す。… 予見し得る将来、世界の石油生産増大と、総生産量は、ペルシャ湾の資源によって支配される。 … 地域は、それゆえ、戦略的優先事項であり続け、この優先度は長い戦争を遂行と強く相互作用する。”

この文脈で、報告書は、石油市場を巡る湾岸アラブ諸国の支配を維持しながら、湾岸石油とガス供給を守るのに、スンナ派-シーア派分裂を利用する、分割して、支配する戦略を説明している。

“「分割して統治」で、様々なサラフィー主義-聖戦士集団間の断層を利用し、彼等をお互いに戦わせる様にし、彼らのエネルギーを、内部抗争で発散させることに重点的に取り組む。この戦略は、秘密活動、情報作戦(IO)、非正規戦と、先住民の治安部隊への支援に強く依存している。 … アメリカ合州国と、現地の同盟諸国は、現地住民の目から見て、国際的聖戦戦士の評判を落とすべく、代理IO作戦をたちあげるのに、国粋主義派の聖戦戦士が利用できる。 … アメリカ指導部は、イスラム世界における‘シーア派-スンナ派紛争継続’の軌跡を十分に活用することも可能だ、シーア派権利拡張運動に対して、保守派のスンナ派政権を十分に利用することだ…. 恐らくは、一貫して敵対的なイランに対し、権威あるスンナ派政府を支持することだ。”

報告書は、もう一つの選択肢は“恐らくは、一貫して敵対的なイランに対し、権威あるスンナ派政府を支持することで、紛争で、一方の側につくこと”だろうと書いている。

この枠組みが興味深い枢軸を生み出した。トルコ、カタール、サウジアラビア、アメリカ、イギリスと、フランス対、シリア、イランとロシアだ。

分割して、支配: 政権転覆への道

アメリカ、フランス、イギリス、カタール、サウジアラビアと、トルコ - 別名、新“シリアの友人”連合が、公式に、ガス・パイプラインへの署名をアサドが拒否した後、2011年から2012年の間、シリアのバッシャール・アサド大統領打倒を、公式に呼びかけ、シリアを、人道的危機に押しやるいわゆる“穏健”反政府派に与えるべく資金と武器が、シリアに流入した。反政府集団は、あれやこれやの連中を組織したもので、その多くは外人戦士で、多くがアルカイダと同盟していた。

 中央は、イラク・バグダッドでの、アラブ連盟サミットに出席する、サウジアラビアのアラブ諸国連盟常任委員、アフマド・アル-カッタン,  2012年3月29日木曜日 (AP Photo)

反政府派が確保する地域を標的にして、シリア政府は、強権的手法で対応し、その過程で、一般市民を殺害した。

シリアは宗教的に多様なので、いわゆる“シリアの友”は、アサド打倒の為の“分割して統治”戦略の公式として宗派心を煽った。アメリカが支援する“穏健”反政府派による、アラウィー派が、スンナ派が多数派の国家を支配しているという主張が、スンナ派解放の主張となった。

この戦争は、大衆には、スンナ派-シーア派紛争として売り込まれているが、ISISや、 シリアのアルカイダ分派、アル・ヌスラ戦線等のいわゆるスンナ派集団や、“穏健派” 自由シリア軍までもが、無差別に、シリアのスンナ派、シーア派、キリスト教徒やユダヤ人を標的にしている。同時に、正に同じ諸外国が、国中をおおっている多数派のシーア派による民主主義推進抗議行動に対する暴力的弾圧で、スンナ派だと主張しているバハレーン政府を支援し、武器まで与えている。

シリア政府軍自身、80パーセント以上がスンナ派で、本当の狙いの動機は、政治的なものであって、宗教的なものではないことを示している。

これに加え、アサド一家は、大半のシーア派が、この二つは無関係であることに同意しているのに、マスコミが、シーア派とひとまとめにしているイスラム教の宗派、アラウィー派だ。更に、アサド一家は、非宗教的で、非宗教国家を支配しているとされている。アラウィー派を、シーア派として見なすのは、紛争の為に宗派的枠組みを押しつける一つの方法に過ぎない。それが、シリア-イラン同盟が実際は経済関係なのに、宗教に基づくものだという前提を許容してしまう。

この枠組みは,イランが、イラク、シリアとレバノンに広げているとされるシーア派の影響力から自らを解放する為のスンナ派革命として、入念に仕立てられたシリア紛争だ。

だが、真実は、シリアのスンナ派社会は分裂しており、多くの人々が、自由シリア軍、ISISやアルカイダ等の集団に加わる為にくらがえした。また先に述べた通り、80パーセント以上のアサド軍兵士はスンナ派だ。

2012年という早い時期に、アラビア湾岸諸国やトルコに武器を与えられ、資金提供を受ける、アルカイダやムスリム同胞団等の更なる反政府派が、シーア派に対する全面戦争を宣言した。彼等は、アサド政権を打倒した後、レバノンのヒズボラやイラク政府を攻撃するとまで威嚇した。

間もなく、大多数のムスリム同胞団反政府派は、アルカイダとつながる集団の一部となった。彼等は、シーア派にとって特に重要なものだけでなく、あらゆる寺院を共に破壊すると宣言した。

ヒズボラは、2012年に登場し 公式に、カタール、サウジアラビアとトルコによって武器を与えられ、資金を得ている、アル・ヌスラ戦線や、ISISとの戦いで、シリア政府と同盟している。そして、全ての武器は、アメリカ合州国が、積極的にこれらの国々に売ったものだ。こうした、アメリカの兵器が、アメリカ が広範な対テロ戦争で戦っていると主張する同じテロ集団の手に落ちていたのだ。

2015年1月20日、火曜日、シリアで、レバノンの戦闘集団メンバー6人と、イラン人将軍を殺害した空爆で死亡したヒズボラ・メンバー、モハンマド・イッサの柩を、レバノン南部のアラブ・サリム村での彼の葬儀で、担ぐヒズボラ戦士達。ヒズボラは、ゴラン高原のシリア側で行われた日曜の空爆に対して、イスラエルを非難した。イッサは、このグループの中では最高位で、スンナ派が率いる反乱に対する集団のシリアでのを率いる作戦幹部の一員だった。(AP Photo/Mohammed Zaatari)

報道によれば、ヒズボラは、シリア内戦のレバノンへの波及で、シリアからレバノンへの反政府派の侵入を防ぐのに積極的だったし、今も最も積極的な勢力の一つだ。それにもかかわらず、2012年、アメリカは、シリア政府とヒズボラの両方を経済制裁した。

そして、その年、ロシアとイランは、テロ集団鎮圧でシリア政府を支援すべく軍事顧問を派遣したが、この当時、イラン軍部隊は現地にはいなかった。

かつては、非宗教的で、多様で、平和な国家だったものが、益々、次のアフガニスタンとなる道を進んでいるかのように見える。聖戦戦士連中が、益々多くの領土を占領し、より多くの都市を征服する中、国民は、タリバン風支配者の下で暮らしている

外国介入の影響が自決に勝っている

もし読者がこれを理解するのが困難だとお考えであれば、そればあなただけではない。

大半の宗派内戦は、大規模な権力の集中を、同盟するのが容易ではない小さな諸派に分裂させる“分割して支配”手法が使えるようにすべく、お互いに戦わせて、意図的に作られている。これは、大英帝国が利用してきたことで有名な植民ドクトリンで、我々がシリアで起きているのを目にしているものも、違いはない。

だから、一つはっきりさせよう。これは宗教問題ではないのだ。アラブ人や、イスラム教徒はお互いに殺し合うというのは好都合で、地域や人々を野蛮に描き出す為に、こうした紛争を宗派的なものとして表現するのは容易かも知れない。だが、この東洋学者風の、中東紛争の極端に単純化した見方は、こうした戦争の犠牲者を非人間的にし、直接、間接の軍事行動を正当化する。

これらの戦争は、経済権益を狙うものであるという視点から、真実が、人々に示されれば、大半の人々は、反政府派への秘密資金援助も、武器供与も、直接介入も支持するまい。実際、大多数の大衆は、戦争に反対するだろう。しかし大衆に対して、何か善対悪の問題として提示された場合には、我々は自然“善”側に与して、“悪”とされるものを撃退する戦争を正当化しがちだ。

政治的言辞は、ウソを、いかにももっともらしく聞こえる様、殺人が立派なことであるかのようにすべく、入念に作り上げられる。究極的には、外国の介入によってもたらされた狙い、同盟や、不安定はどうであれ、2011年に噴出した、自由、民主主義と平等への要求は、当時も、現実のものであり、今も、そうなのだ。そして、自由、民主主義と、平等の欠如は、自決によるものではなく、残虐な独裁者にてこ入れし、テロ集団に武器を与える、外国の介入によってもたらされてきたことを忘れてはならない。

2015年8月21日、金曜日、北ギリシャ国境の駅イドメニ近くで、ギリシャから、マケドニアへと、国境を越えるのを、マケドニア警察に許されるのを待ちながら衝突した際、マケドニア機動隊員と難民の間で板挟みになった男の子を抱えた難民を救おうとする難民。北のヨーロッパへと向かう難民の膨大な流入に対処する為、マケドニアが国境で非常事態を宣言した翌日、ギリシャとの緩衝地帯に留まっている何千人もの難民を散らすべく、マケドニアの特殊警察部隊は、スタン擲弾を発射した。(AP Photo/Darko Vojinovic)

かつて、中東の人々は、宗教や文化的背景と無関係に、外国の介入や搾取や植民地主義に対し、共に団結し、立ち上がった。ところが、石油とガスを入手する為、宗教を基に人々をお互いに戦わせるという巧みな操作手法で、現在、中東はバラバラにされている。それに続く混乱が、石油パイプライン設置により従順で、最高入札者に、有利な経路を保障する新政権を据えつける為の、良い隠れ蓑になるのだ。

そして、このエネルギーを求める動きの中で、最も苦しむのは民衆だ。シリアでは、人々は大挙して脱出している。彼等は幼い男の子や女の子を起こして、スニーカーを履かせ、救命胴衣も着けずに、別の海岸にたどり着けることだけを願って、ボートに飛び乗る。どこかでの希望の方が、自国の現実より良いがゆえに、対岸に決してたどりつけないかも知れないのを十分に知りながら、彼等は命を懸けるのだ。

記事原文のurl:http://www.mintpressnews.com/migrant-crisis-syria-war-fueled-by-competing-gas-pipelines/209294/

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post-e61d.html

 


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