山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

帯那町幸潤院から阿梨山・帯那山へ  平成25年4月27日

2013年05月01日 | 山梨無名山
 阿梨山(あなしやま)という山を知っている人は地元の人でもあまりいないと思う。私もこの山の名前を知ったのはつい1ヶ月ほど前のことだ。嶺朋クラブの例会の時に帯那山に登る面白いルートがあると薦められ、途中にこの山があることを知った。ほとんど歩く人がいない地味なルートだが、茅ヶ岳と湯村山の中間的な環境にあるこの山はひょっとしたら面白い花に出会えるかもしれない。

 強風が吹き荒れたこの日、岩尾根や細尾根ルートでは吹き飛ばされてしまいそうなので、樹林帯の中のコースを選択した。登山口の幸潤院というお寺に行くと、入口のところに「幸潤院付近ハイキングコース案内図」という看板が立てられていた。幸潤院の裏側にある墓地の中の道を進むと、看板など何も無いがなんとなく細い踏み跡が林の中に続いている。そこに踏み込んで見ると尾根伝いに続く林業軌道跡らしきえぐれた道がついていた。その道は歩きにくいので一段上の林の中を道に沿って歩いて行くと、やがて道は明瞭な登山道に変わる。ひたすら登って行くと、50分ほど歩いたところで帯那山に至る尾根に登り着き、そこにはさらに明瞭な道がついていた。

    幸潤院駐車場のところにあるハイキングコース案内図。しかし、ハイキングコースというには道が荒れていて看板も無い。


    登り口の幸潤院


    墓地のいちばん奥、ブルーシートのところから林に入る。


    道はあまり明瞭ではないが歩き易い。


    帯那山に至る尾根に出る。右側の道が登って来た幸潤院からの道。


    境界見出標の付いた明瞭な道が尾根に通っている。

 さほど急な登りはないが、この先はアップダウンが続く。そして送電線の立つピーク手前の斜面で足元に咲く白いスミレを発見。近付いてみれば、予想通り咲いていた、ヒゴスミレだった。3年間探して昨年あっけなく茅ヶ岳で遭遇したこのスミレ、生育環境がわかると意外と見つかるもので、その後大菩薩連山米背負い峠付近でも発見した。そして今回が3ヶ所目ということになる。この場所が今までで一番株が多く、10株近く、さらに葉だけ出ているものも多数見ることができた。しかし、強風に花が揺れまくり、全く写真を撮らせてくれない。

    発見!ヒゴスミレ。やはり茅ヶ岳中腹と似た環境にあるこの山には咲いていた。


    強風に揺れて写真を撮らせてくれない。


    斜面を登るとその上には送電線鉄塔があり、その先に鉄塔巡視路がある。

 陽の当たる明るい斜面に行くとスミレがちらほらと咲いていた。アケボノスミレはもちろんだが、痛んでいないアカネスミレにも出会うことができた。さらに道を進んでやや急な斜面を登り着くと、樹木に囲まれた静かなピーク、阿梨山に到着した。林の隙間から甲府盆地が見え、目指す帯那山の電波塔がまだ遠くに見える。

    アケボノスミレ。この季節は甲府市界隈の山にたくさん咲く。


    アカネスミレ。今年出会った中ではいちばんまともな株。


    阿梨山山頂。三角点(3等?)が立つ。


    木の幹に小さな看板がくくりつけられている。


    目指す帯那山はまだ遠くに見える。


    阿梨山から少し先の岩の上から富士山が見える。

 阿梨山から少し帯那山側に進んだところで展望の良い岩があり、そこで昼食をとる。ほとんど人が歩かないルートだけあって、連休だというのに誰にも出会わない。ゆっくり休んだ後道を進むと、一旦大きく下った後登りとなり、道が二手に分かれていた。左に行く道が広くて歩き易そうだが、方向が違う。右の道は境界見出標がつけられた急登の尾根道だ。ここは尾根を忠実に、急登コースを進む。1段登って傾斜が緩くなったと思ったらまた急傾斜の登り。それを登り切ると間もなく帯那山にかつてあった牧場の柵に出た。もう目の前に電波塔が見える。さらに進むと帯那山林道の終点に出た。

    途中で道が分かれており、急登の尾根を真っ直ぐ登る。


    さらに急登が続く。そして登り着いて出たところは・・・


    帯那山林道の終点に出る。目の前に電波塔が立つ。

 この場所は山の陰になるためか風があまり吹かない。林道を歩いて行けば電波塔の脇を過ぎて山頂まで行けるのだが、回り込むのが面倒なのでここは電波塔に向かって直登する。足元に気をつけながら歩いて行くと白いスミレが咲いていた。またしてもヒゴスミレに遭遇した。このコースはエイザンスミレが全く咲いておらず、どうやらヒゴスミレの山らしい。今度は綺麗に撮影できた。さらにまわりを見渡すと紫色のスミレがたくさん咲いている。近付いて見ればアカネスミレの群落だった。スミレを楽しみつつ、帯那山の電波塔に到着、時間は1時45分だった。10時から歩き始めたので3時間45分かかったことになるが、写真や脇道に浮気せずに歩けば3時間くらいの行程ではないだろうか。

    またしても遭遇、ヒゴスミレ。


    アカネスミレ。たくさん咲いていた。さらに下山途中の林道脇にもどっさり・・・。


    帯那山電波塔。ここが山頂ではないが・・・

 電波塔に登れればきっと甲府盆地を一望する凄い景色が見られるのだろうが、残念ながらこの塔は立ち入り禁止になっており、ここからはあまり景色は望めない。小休止して下山するが、登って来たルートでは無くて帯那町から帯那山に至る林道に下り、林道を歩いて戻ることにした。林道の途中から沢沿いに旧林道と思われる道があり、その道を下ると脚気石神社という立派な神社に出た。その神社には立派な能の舞台が設置されてあった。

    電波塔と林道の分岐点に登山道の看板あり。これを下る。


    お地蔵さんが立っており、ここで帯那町方面と積翠寺方面に道が分かれる。


    林道に出る。あとは林道を下れば帯那町に出られる。


    林道脇にはアカネスミレがこんなに咲くものかと思うほどたくさん咲いていた。


    たぶんゲンジスミレ。見つけたのはこの株だけ。


    旧林道と思われる沢沿いを下る道あり、これを下りる。


    脚気石神社に出る。


    能の舞台が設置されている立派な神社。

 昭和池や興因寺山、淡雪山などを左手に見ながら帯那町に到着した。しかし、帯那町の中で道がわからず(地図を持っていない)山裾を目指してそれらしき道を進むと全く違う道、また戻って別の道を歩きようやく幸潤院に到着した。時間は4時20分、6時間半ほどの行程となった。


    今回歩いたと思われるルート。(地図が古く林道が記載されていないので、下山ルートは正しくない)


    高低差。距離9.2km、累積標高差754m。

 おそらく咲いているだろうと思われたヒゴスミレは予想通り出会うことができた。エビネも林の中を覗きながら探したが、こちらはそれらしい葉も含めて見当たらなかった。あまり歩かれていない地味なルートだが、静かな山を好む山通の人にはたまらない魅惑のルートだと思う。
 




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2 コメント

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はじめて拝見しました (ほっつう)
2017-05-08 22:55:55
こんばんは
帯那山に時々登ります
すれ違ったことがあるかもです。
幸澗院ハイキングコース楽しそうですね
潤→澗でしたね〜
ほっつうさんへ (ヨッシー)
2017-05-09 08:25:31
 ご指摘ありがとうございます。今後気をつけます。

 帯那山界隈の山はスミレをはじめとする植生が豊富です。特に幸澗院の尾根は人があまり歩いておらず静かなところが良いです。

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