山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

シラゲヒメジソに出会いにアザミ平へ  平成28年9月11日

2016年09月14日 | 花・花・花
 昨年見つけたこの花は徹底的な鹿の食害に遭ってほとんど目ぼしい花が咲かなくなってしまっている富士山外輪山のザレ地の中に咲いていた。シソ科の仲間だろうということは察しがついたが似たような植物はあるものの同じものは見つからない。しかもこのシラゲヒメジソという名前の花は私の持っている図鑑には名前が出て来なかった。


    こんな広い道で迷うはずが無いのだが・・・帰りはまたえらいことに。


    マムシ草の赤い実


    高度を上げると上は雲の中。視界が悪く森の中は暗い。


    現地に到着。霧で視界が悪い。人避けのロープは動物には全く効果が無く虚しく見える。

 現地に到着した。昨年は残った草地の中にウメバチソウがちらほらと咲いていたが今年は1輪も見つからない。さらにナギナタコウジュも消滅しているようだ。ザレ地の中は鹿の踏み跡だらけだ。そのザレ地の中を見ると、小さな緑色の葉、時として紅葉して赤くなっている葉がたくさん出ている。


    ザレ地にたくさん生えているシラゲヒメジソ


    拡大。紅葉している葉もある。


    さらに接写。


    接写してトリーミング。白い毛を纏っている。


    このザレ地のほとんどにこのシラゲヒメジソが生えていると思われる。

 インターネットでこのシラゲヒメジソの画像を調べると、もっと大きい草が掲載されていて別物のように見える。この場所のこの花が小さいのは富士山の砂礫で構成されている特殊な土と、鹿の食害により小さくなってしまっているためと思われる。ここに生えているホタルブクロも地面を這うように花が咲いている。


    アザミ平のホタルブクロ。ほとんど茎が伸びず地面を這うように花を咲かせている。

 存分に観察して下山するが、途中の別の斜面にもこの花がありそうだったのでちょっと立ち寄った。樹林の中を横切れば元の登山道に簡単に戻れるだろうと思ったのだが・・・谷を越えて小尾根を2つほど越えたはずだがあの広い登山道に出ない。この日はGPSが見当たらず、感を頼りに樹林の中を歩くのは危険だろうと思ってはいたのだが、そのまま斜面をトラバースして行くと古い林業軌道跡に出くわした。これを下りればきっと元の登山道に戻れるだろうと思って一気に下ったが、一向に戻れる気配が無く高度はどんどん下がって行く。そのまま下りて行くと砂防工事の現場に出てその横に作業道がついていた。そこを進むと別荘地に抜け出た。コンパスで方角を見ると、下山するはずの尾根から90度近く北側に向かって歩いていた。抜け出た別荘地は山中湖の上にある富士急リゾート別荘地、ここからだと籠坂峠よりも山中湖のほうが距離が近い。止む無し、アスファルトの道をテクテクと40分かけて車を止めた籠坂峠まで歩くこととなってしまった。


    砂防工事の上に出た。


    工事用の道を進むとその先は富士急リゾートの別荘地。


    やっと籠坂峠に行く道に出た。この日はこのアスファルト道歩きがいちばん疲れた。

 GPSも地図も持たずに道の無い林の中を歩くのはやはり無謀であるが、この場所は静岡県側にさえ下りなければ必ず道に出ることがわかっているので強引に下りたが、想定していたよりも北側に出てしまった。雨が降らなくて良かった。

 今回見てきたこのシラゲヒメジソは特殊な地質と環境下に生育しているため図鑑のものよりもきわめて背が低くて小さい。おそらくこの界隈には他にも自生地があると思うが、山梨県ではあまり頻繁に見かける花では無い。3年後の山梨県レッドデータブック書き換えの際には絶滅危惧種NTあたりに入ってくるかも知れない。
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裏街道を歩いて大平山へ  平成28年9月11日

2016年09月14日 | 山梨無名山
 山岳レインジャーの植物調査の担当になっているため、この日は別の山に紫の花を見に行くはずだった。群馬からはるばるみちほさんたちが来ているはずで、メールをいただいて30分ほど遅れて入山したのだが、いつも観察している場所に行ってみたが紫の花はまだ咲いていなかった。上に登って行こうとしたところでみちほさんから電話が入り、山頂近くでもまだ咲いていないそうだ。ならば・・・合流する予定だったのだが咲いていないとなると調査にもならないので、引き返させてもらうことにして大平山に向かった。昨年別の場所で見つけたレアもの(?)の花が、環境が似通っているので山頂あたりのザレ地にたぶんあると思うのだが・・・??

 いつもならば石割神社から平尾山を経て大平山に行くのだが今回は裏側の花の都公園から登ってみようと思ったのだが、地図を持っていないうえにGPSも見当たらず取り付き口がどこだかわからない。とりあえずは林道を行けるところまで・・・と進むと行き止まり。どうやらこちらでは無いらしい。戻って近くの人家の庭先に居た人に道を聞いてダートの林道を車で登るが、これがなかなかの悪路のため途中にあった脇のスペースに駐車して歩くことにした。おそらくこの林道を登り詰めれば大平山に至る稜線に抜け出るはず。しかし・・・まともに林道を歩くのも面白くないので途中から右側に見える尾根に取り付いてみると、そこには立派な道が・・・!なんと花の都公園から大平山の稜線に至る東海自然歩道だった。


    林道脇のスペースに車を止める。標高は1,000m弱、目指す大平山はそれほど遠くないはずだ。


    林道から右側の尾根に取り付いてみると立派な道があった。


    なんと、これは東海自然歩道!


    しっとりとした静かな道が続く。あまり歩かれている様子は無い。


    ノブキの葉


    こんな実が成っていた。

 大平山に至る稜線に抜け出て、ここで道が左右に分かれる。道標には大平山まで60分と記されており、思ったよりも西側に抜け出たようだ。ここからたんこぶを2つほど越えて大平山に至る。


    大平山に至る稜線に抜け出る。右に行くと大出山を経てホテルマウント富士に至る。


    足元にいろいろな花が咲く。キバナアキギリ。


    イヌヤマハッカ(シソ科ヤマハッカ属)


    クルマバナ(シソ科トウバナ属)


    イヌトウバナ(シソ科トウバナ属)


    タチフウロ


    咲き残っていたナデシコ


    ツリフネソウ


    長池山を越えて2つ目のたんこぶ、飯盛山。


    富士山は雲の中。


    向こうの鉄塔が立つピークが大平山。もう少し。

 長池山と飯盛山の間、および飯盛山と大平山の間のコルに林道が抜け出ている。おそらく林道を登り詰めればその場所に抜け出たのだろう。林道は大平山の山頂まで伸びているはずなので、飯盛山の先のコルからはその林道を歩いてみることにする。


    立派な林道。RV車のタイヤの跡がついている。


    途中に咲いていたツルニンジン


    ツリフネソウの群落


    ハンゴンソウ(キク科キオン属)


    種にしてはおかしい。これは虫こぶか?


    キオン(キク科キオン属)


    山頂裏側、フシグロセンノウ


    山頂に咲いていたアザミ、これはポピュラーなノアザミと思われる。


    大株のヒキオコシ(シソ科ヤマハッカ属)

 大平山山頂はスルーしてそのままその先にあるザレ地に向かう。ザラザラした土の様子、鹿の食害に遭った草地の様子などから見てまずこの場所にも咲くだろうと思っていたのだが・・・残念ながらお目当ての花は見つからない。


    こんなザラザラした土の斜面にあると思ったのだが・・・


    鹿の足跡だらけ。


    ゲンノショウコ


    ピンク色のゲンノショウコ


    ノアザミがたくさん。これも鹿の好物のはず。


    山頂に戻って昼食。雲行きが怪しくなってきたのでさっさと食事をとって下山。

 あまり目ぼしい花にはめぐり逢えず、探し物もここには無かった。昨年の同じころに石割山界隈を散策している時にそれらしき花を数株見たのだが、別物だったのかも知れない。夕暮れで暗かったので写真を撮っておかなかったのは失敗だったかも知れない。

 探していたのはシラゲヒメジソというシソ科の植物で、昨年見つけた時は何の花だか全くわからなかったのだが、某花の先生が調査に行ってくれてシラゲヒメジソという花であることが判明した。環境的にはほとんど同じに見えるのだが場所が違うと咲かないらしい。雲行きが怪しいが時折青空も見える。ここからさほど遠い場所では無いし、まだ夕暮れまでには時間があることだし、さっさと下山してシラゲヒメジソを見に行ってみることにしよう。





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