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源義経黄金伝説■第71回

2016年07月03日 | 源義経黄金伝説

源義経黄金伝説■第71回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所
Manga Agency山田企画事務所
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■1199年(建久10年)京都・藤原兼実邸

関白、藤原兼実は考えていた。

我々の家の先祖が、古き名前では中臣の家が、百済から、この国に流れてき
て、他の豪族や百済、新羅の貴族とも戦い、この国で一をしめ、仏教とこの国
の宗教とも戦い、我々、藤原の貴族がこの国の根幹を押さえてきた。

藤原の都を作り、壬申の乱を生き残り。この国を寄生樹のように支配してきたのだ。

ここは、我々、藤原氏の国だ。

おそらく、この世界のどこよりも我々の支配体制が優れていよう。

天皇家ですらその意味合いがわかるまい。それなのに、後から来て板東に移住しいてきた者どもが、武闘を繰り返し、地位を締めはじめ。天皇家の血を入れた人物を立ててしまった。

藤原の氏の長としては、何らかの生き延びる方策をこうじねばならない。「鎌倉」へは何かかの方策を討たねばなるまい。
源頼朝が、鎌倉源氏が麻呂を裏切ろうと。京都の底知れぬ企みの怖さをしれぬ武者ともを、手に入れよう。

法然殿、重源殿、栄西殿とも話あわねばなるまい。
むろん、麻呂の弟、慈円(じえん)も。

そうだ。慈円なら我々藤原の名跡をたたえ、我々の役割を言葉として残してく
れよう。この京都の比叡山から、次々と宗教という矢を打ち込み、鎌倉武士ともの心をうちつらぬこうぞ。

いままでの後白河法皇という重石が、麻呂の頭からさっても、、

いや、なつかしい思いがつのる。生きておわした間はにくらしげで
あったが、今は、後白河法皇様がうたれた、打ち手の見事さが、麻呂の身にしみる。

さいわい、西行が打ち立ててくれた「しきしま道」が日本全土を多い、我々の
守りとなろう。和歌により言霊による日本全土の守り。その和歌の言葉が悪霊
から我々を守りってくだるだろう。

和歌により神と仏を日本各地でたたえる。

それも歌枕によりわれわれ貴族や僧侶が、恐るべきは崇徳上皇様のたたりのみ。
西行ですら失敗してしまった。

永く後生我々のおそれとなろう。

兼実は、藤原氏の氏の長者(うじのちょうじゃ)として、藤原氏のして、あらゆる手をつかい、鎌倉幕府への攻撃かための決意をした。

■4 1199年(建久10年)京都

京都。神護寺の境内。

鎌倉から生き延びて京都に帰っている僧がいる。
文覚が涙を流しながら、二mはある巨木の切れ端に向かっている。
その力技は普通ではない。刃の聖そのものである。その姿勢の恐ろしさが、
「天下落居(てんからっきょ)」の今となっては時代遅れの歓をいなめまい。

額に汗し、顔を赤らめ、ひたすら巨木に打ち込み刃を振るう文覚は、人間では
ないような感じさえ思わせるのだ。赤銅色のその力強い腕からは、ある人物の
姿がだんだんとこの木片から浮かびびあがったくる。

夢見、今は明恵(みょうえ)と呼ばれる弟子が、文覚にたづねる。
「お師匠様、それはもしや、」
「いうまでもない。西行の像だ」
「でも、お師匠様、この世ではお話が通じなかったのではございませんか」
「夢見よ、ワシと西行は同じ乱世を生きた、いわば戦友、同士だ」

鬼の文覚から一筋に涙が、、
「これは汗ぞ。夢見よ。奴の思い出にのう」
「、、、」
「が、夢見よ、負けたのはやはりわしかもしれん」

「それはいかなる故にでございますか」
「わしと西行は、北面の武士ぼ同僚だった」
「たしか、相国平清盛さまも」

「そうだ、が、この後世の日本で、一番名前が残るは、残念ながら、西行かも
しれん」
「西行様が、」

「そうだ、ワシが忌み嫌った「しきしま道」をあやつは完成させよった。和
歌によりこの国日本の風土あらゆる者に神と仏があると思わせ崇拝させる道を
あやつは完成させ、その道を伝えるものを数多く残したのだ。

歌の聖人として、西行の名前は、永遠不滅であろう。日本古来の神道と仏教を、和歌と手法を使い一体化させよった。これは、さすがの、重源も気づかなかったことだ」

「でも。お師匠様、よろしいではございませんか。この世が平和になるのでご
ざいますから」
「夢見よ、ふふつ、お主もな、西行の、毒にはまったか」
文覚は苦笑した。

「わしはな、まだまだ西行への甘い考え方には不服だ。奴は亡くなっても策士ぞ」
「といいますと」
「西行が、義経という玉(ぎょく)を、旧い日本である奥州に送り込み、頼朝に日本統一をさせよった。
西行は、後白河法王の命とは故、日本統一と、宗教統一の2つを完成させよったのだ。これは、珠子(たまこ)さまの願いにもかなう。後白河さまは、白拍子 などとつうじ、今までの日本の文化をまとめ、武士にたいする日本文化の根元流派を、藤原氏をはじめとする貴族に残したのだ」

文覚は、夢見にさとすように言った。
「むかしナ。わが王朝は、東大寺の黄金大仏を作り上げた。これは、唐にも天竺にも新羅にもない大事業であり、我が王朝の誇りとなった征夷大将軍、坂上田村麻呂が、黄金を生む異郷である、蝦夷を征服した。そして、」

「そして、平安京を桓武帝がおつくりなられ、我が王朝の平安なる時を希望されたわけですね」
「武者である平家が、黄金大仏を焼き、新たなる黄金大仏を、黄金国家である我が王朝は再建せざるを得ない。が、黄金は平泉奥州王国が握っておった」

「で、新たなる征夷大将軍の出番というわけですか」
「そうだ、黄金郷であり仏教王国である平泉を、何かの理由で成敗し、新たなる征夷大将軍として、再び黄金大仏を作りあげなけらば、ならぬ」

「源頼朝様が、異国奥州平泉を成敗し、黄金を手に入れ、黄金の大仏を、平安国家の象徴としてつくり上げねばならなかった、と」

「そうだ、お主も、ワシも、色々な国々からこの日本へ移住してきた我らが祖先が、1つの国の象徴として存在した黄金大仏を再建し、新たなる時代の幕開けをつげなければならなかったのだ」

「お師匠様、でも、もう日本は仏教国でございます」

「くく、それよそれ。西行は、歌の形で、奥州藤原氏の仏教王国の考え方自体を、日本に広げていきよった、くやしいが、わしは、西行にかなわなんだ」

夢見、明恵は、しかし心のなかで少しほほえんでいる。

でも、お師匠様、でも少しお忘れです。ー紀州熊野を納めしもの、日本をおさ
めんー熊野を治めるどこかの国から来た人間の子孫が、この日本を治めるのですよ。
紀州湯浅氏出身の夢身、今は明恵(みょうえ)は、ほほえんで、西行の彫像ができあがるのを眺めていた。

(続く)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所
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