気楽に山歩き

山歩きもHPも気楽に楽しむ日々を綴ります。話題は主に山歩き関連です。

『江戸・明治 百姓たちの山争い裁判』 渡辺尚志著 (草思社)

2017年07月13日 | 

(2017年6月22日発行。渡辺尚志:1957年生まれ。博士(文学))


巧くまとめられませんでしたが、いろいろ考えさせられました。


江戸時代、明治時代と近世まで山と人間との関わりは深いものだったのがよく分かります。
歴史的には分かっているつもりでしたが、農地や山林を守るというのは想像以上に壮絶!
命がけ(拷問やら死刑などあったそうです)で時代や身分制度に抗いながらも守らねばならないのは死活問題であったからですね。


江戸時代の人口の約8割が百姓であったというのは驚きましたが、かつては衣食住全てが山林や田畑に依存していたわけですし、武士も僧侶も猟師も漁師も、商工業の人も、殆どの職業の人が農業と掛け持ち(農業の傍ら兼業)していたそうで、ナルホドと思いました。
だから百姓=農民ではないそうです。農民=専業農家はきっと少なかったのでしょうね。
そして百姓というのはステイタスシンボル、胸を張って名乗っていたそうです。

現代はお金を出せば衣食住はまかなえますが、その歴史はまだ浅いわけでして、ガス、水道、電気などが一般家庭に普及したのは何年前からだったか?
私が子供(小学低学年)の頃はまだ薪を使っていたのを覚えていますし、水は庭の井戸水でした。
電気はありましたが家電が一般的に普及したのは今NHKで放送している朝ドラの「ひよっこ」の時代、東京オリンピックの少し前あたりからだったでしょうか?

この本にそういうことは書かれていませんが^^;

今気楽に山歩きなどしていますが里山歩きなどしてますと日本の原風景に出会ってホッと心安らぐのは、かつてそういう風景を知っているからなのだと思います。

今は自然保護とか環境問題とか、野生動物の被害とか共存のあり方とか、昔とは違った問題も出ていますが、かつては人間の知恵でそれが上手にできていたのですね。

燃料の薪をとったり炭を焼いたり、肥料にする落葉など集めたり、刈った木の跡には苗を植えたり(育林)、植生回復のため三年は利用をやめたり・・・と。
木を育てるために下草を刈ったり、また加減しながら猟をしたりして。
木を切りすぎたり、野焼きしたりで自然破壊という一面もあり、山の風景は現代とはだいぶ違っていたようです。
むしろ現代の方が緑豊かな所もあるのかもしれません。


ところがそういう時代は生活を守るために山野の取りあいのトラブルも生じて、今でいう裁判ごとになっていく訳です。

そのことが事細かに書かれていますが、命をかけ、お金をかけ、時間(年数)をかけ、何世代も闘い続ける(訴え話し合う)執念とエネルギーはそれほど死活問題にかかっているという事ですが、同時に先祖伝来の土地を守りたいという気持ちで、それは現代も引き継がれているそうです。
当時は武士にとっても領地の減少は困ることでしたから領主、領民共に懸命だったわけですが、裁く方も江戸時代、明治時代共に仕組みや法が次々変わって訴訟を起こしている農民が翻弄されて大変でした。

また訴訟などで幕府の御膝元の江戸滞在を余儀なくされるわけですが、それが中央と地方の情報や物品の交流で知識が広がっていくという良い面もありました。
今ならSNSや宅急便であっという間に情報が広がりますが^^;


利用権をめぐる対立、抗争の、その延長線上に今の緑豊かな国土があるわけで、先人が必死に守り残した山野という大事な遺産を今度はどう共生していくかを問うている本でもあります。

今では生活様式が変わって、化学肥料がありますし、燃料は薪に代わってガスや電気もありますから山とのかかわり方も随分と変わってきてますね。


今でも山歩きなどしていると、「山菜、キノコ採り禁止」など書かれているところがありますから、生活の糧(自給であったり、営業用であったり)になっている人たちがいるわけで迂闊に採れませんが、地元の人はきっと今尚、山を育てることもされているのでしょう。

でも昔の知恵や体験的知識、山仕事の方法など身に着ける機会を失い、仕事を通じての自然との触れ合いや林野で働く喜びや心の豊かさも現代では変化してきているのでしょう。

緑豊かな山々を呑気に歩かせてもらってますが、いまさらに考えさせられました。


話しは飛びますが、先ごろ癌で早逝された小林麻央さんが植林の活動をされていましたけど、それはとても大事なことなのだと改めて感心しました。亡くなられてなんとも残念ですが、活動は続いているそうで何よりです。

植林もいろいろですが、木によっては大雨で地滑りを起こしたりします。
海外産の木が安くて重宝がられ、国内産が売れないなどと現代の問題もありますが、水源涵養林、魚附林などの重要性もありますから、林業もまた難しい面がありますね。

植生保護など考えたりはありましたが、別の次元ですね。


私にも何かできるか分かりませんが、いろいろと考えるきっかけになりました。




読み終えてみれば付箋がいっぱい付いてましたが、思ったほどの感想も書けず・・・です^^;

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