『塩狩峠』とセウォル号事故

2016年11月02日 16時48分48秒 | 社会・事件・事故

<以下の文を復刻します。>

ユーチューブの動画を見ていたら、たまたま『塩狩峠』という映画に出会った。興味をひかれたので適当に飛ばしながら見たら、最後にあまりにも劇的なシーンが出てきたので衝撃を受けた。自分は不勉強なので、これが作家・三浦綾子さんの小説を映画化したものだということを初めて知ったのである。三浦さんの作品は多くの人に読まれているので『塩狩峠』について詳しく説明するのは控えるが、私のように初耳の人もいるので、簡単に説明する。
これは明治時代の北海道の実話だが、ある日、主人公の鉄道職員(本名は長野政雄さん・当時32歳)が乗った宗谷本線の列車が、塩狩峠という所に差しかかったところ、最後尾の列車の連結器が外れ客車が逆走するという事故が起きる。車両はどんどんスピードを増し、このままではカーブで脱線、転覆し大惨事になることが確実になった。主人公は必死になって列車のブレーキを操作するが効かない。列車にはもちろん多数の乗客が乗っており、彼らはパニックに陥る・・・
その時、主人公はどうしたか。 長野さんは自ら車輪の下に身を投げ、一命を犠牲にして列車をストップさせ、乗客全員の命を救った! 信じられないような行為だが、実際にあった話である(1909年2月28日)。長野さんはクリスチャンだから同じ信者である三浦綾子さんが感動し、それを小説に仕上げたのだろう。映画はそれを原作にして作られたものだ。

この話はあまりに衝撃的で“奇跡”みたいなものだが、信仰と殉教の話は別にして、私は韓国のセウォル号沈没事故を思い出した。セウォル号の場合は、船長をはじめ乗員が乗客を置き去りにし、われ先に逃げたとされている。あまりにも対照的な出来事だ。
このため遺族だけでなく、多くの人が無責任な船長らに怒りを覚えただろう。私も初めの頃はあの船長を殺したいくらいに憎んだ。しかし、事故から2週間、3週間とたつうちに考えが変わってきた。たしかに、船長ら乗員の行動は間違っており、無責任きわまるもので許せない。しかし、乗員は日頃どういう処遇を受けていたか。
あの船長も1年限定の非正規社員であり、いつクビになってもおかしくない“アルバイト船長”だったのだ。事実、積荷の過積載で会社側にクレームをつけようものなら、ただちにクビになる。月給も27万円と安い。これでは、船長としての誇りも自覚も持ちにくい。船会社自体が安全管理よりも、儲け至上主義に突っ走っていたのだ。これでは乗客のことより、われ先に逃げ出すのも分かるような気がする。
もちろん、船長ら乗員の行動は間違っているが、韓国の社会全体がそういう風潮に染まっているのだから、あの船長らだけを非難できようか。韓国では多くの人が同じ穴のムジナだろう。
どうもセウォル号事故の話になってしまったが、初めの『塩狩峠』のと比べると、あまりに落差が大きすぎる。人間というのは、こんなにも違うのだろうか。2つの出来事を比べると唖然とするしかない。私はもちろん、自分が長野さんのような行動が取れるとは言えないが、大変な衝撃を受けたことだけは間違いない。

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