フランス人観察記録

日本人から見て解ってきたフランス人の考え方、行動についての覚書

その名もズバリ「迷い子クリスチャン」

2011年07月12日 | プロヴァンス

この人は興福寺の境内で出会った。

 

団体旅行で来ていて、グループの後の方で数人かたまって歩いていた。

もう大仏殿などを見学して西に向いて帰るところだった。

 

どこから来たのかとか話しかけると立ち止り、盛んに話しかけてくる。

日本人がフランス語を話すのが嬉しいらしいし、フランスのあちこち行ったことがあると言うと大いに喜んでくれて盛り上がった。

男性二人が最後まで残ってしゃべっていた。

 

ふと気がつくと、他のグループの人達が見えない。

日本人のガイドは、誰がはぐれようとかまわずさっさと行ってしまうようだ。

フランス人を統制するなんてもともと無理と悟っているに違いない。

あわてて彼等は後を追いかけて去って行った。

 

私もそのあとをゆっくり帰りかけた。

そしてしばらく行くと、さっき別れたばかりの二人のムッシュが何かしゃべりながら、こちらを向いてやってくるではないか。

 

「どうしたの?」と聞いたら「はぐれてしまった!」という。

「そりゃ大変、よし探そう」と手伝うことにした。

グループにはぐれる原因は、私とのおしゃべりだったこともあるから、こちらに責任もある。

 

それにはぐれた原因も私には大体判っている。

南円堂と言うお堂の前で二人は左に行ったが、グループは右に行ったに違いない。

だから右に行こうと言ったが、二人は「いやここで待つ」と動かない。

この時点で二人は「私を信用していないのかな」とちょっと思った。

 

無理に右に行かせるわけにもいかないので、「じゃここで待ってなさい。私が右に行って探してくるから」といって私だけ右の方に少し行った。

そしたらある一人のマダムが、道の角できょろきょろしているのを見つけた。

 

「二人のフランス人を探しているのかい?」と聞くと「そうよ、一人は背が高く、一人は背が低いが太っている」という。

ドンピシャリである。

早速マダムを連れて二人の所へ戻った。

 

再会した時の躍りあがらんばかりの喜びようは、おかしいくらいにぎやかだった。ハグハグの連続であった。

私に対する二人のムッシュの信頼は俄然、回復し、最高に達した。

そして彼等は言った「あなたのおかげでこうして再会できた!!何とお礼を言っていいかわからないよ」

私は心の中で「私のせいで迷子になったんだけど」と思いながら、「よかったね」と言った。

 

奥さんがわざわざ一人で探しに戻ってきたのである。

ガイドはほったらかしである。

日本人が海外にガイド付きで行ったら、ガイドはこんなことでは済まない。

 

その後、彼らと一緒に奥さんの案内でグループの昼食会場であるホテルまで送って行き、そこで別れた。

 

帰国した彼らの背の高いほうのムッシュと、今もメールのやり取りをしている。

彼の名は「クリスチャン」で、あまりにもポピュラーなので、私内では他の「クリスチャン」と区別する必要から、頭に「迷い子」をつけて「迷い子クリスチャン」と呼ぶことにしている。

 

また実は「ずんぐりむっくりのムッシュ」と迎えに来たマダムが、いまメールをやり取りしている人の中の、どの人なのかを特定できていないという、ややこしい状態が続いている。

この紐解きにまだ少し時間を要するようだ。

 

 

 

 

 

 

 



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