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老人大国

2017-06-02 06:39:43 | 日記
「よう!よう!」、禿頭にジャンパー、ニッカボッカのズボンと、見るからに、以前は土木作業員の幹部級であっただろう老人が、内科の受付女性に声をかける。病院の待合室には内科、外科、整形外科、泌尿器科などの受付ボックスのようなものがあって、それぞれの診察の案内をしている。受付の順番などは病院の入口にある機械で自動登録されているから、あとは雑用のようなものだ。老人のところへ内科担当の女事務員がやって来て、禿頭の上で何かを説明する。それが終わって、女性が去ろうとすると再び、「よう、よう!」が出る。布製の袋から何かの包みを出して女性に渡す。ま、どら焼きぐらいが入っているのだろう。老人は診察を受けるよりも若い女性にどら焼きを渡すことが主目的であったかのように大きくうなずいて満足げな表情になる。

直角とは言えぬまでも、かなり腰の曲がった老婆が手押し式の歩行器を使って歩いて来る。白衣姿の若い男が付き添っている。入院患者のリハビリであって、おばあちゃんはパジャマの上にカーディガンを羽織っている。2人は無言である。ずっと無言である。そのことについて、私は、訪問リハビリに来てくれているM子さんに訊いてみたことがある。なぜ話しながら歩かないのか、会話がなければ退屈するのではないかと訊いてみた。「いや、そんなことはないです。やっぱり喋りますよ」と、M子さんが笑った。

「Y様、Y様、整形7番の前でお待ちください」というアナウンスがある。次が私の番である。病院での呼び出しは必ず「様」がつく。歩行器のストッパーを外す。家人にひとくちの緑茶をもらう。帽子を取る。「よう、よう!」の爺さんと好勝負の禿頭である。待合室に若い患者はほとんどいない。若いのは病院関係者だけである。日本は老人大国だという言葉を思い出す。家人に歩行器を押してもらって整形外科7番診察室に向かう。
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