とこのへや

とこの雑貨と、とこのお洒落着。
とこは樺太に住んでいたことがあります。
ときどきとこの嫁日記となります。

おもいで

2017-05-05 22:04:25 | 日記

懐かしさに浸る日。

お世話になった母の誕生日にプレゼントを贈った。
メールがきたよ。
年をとった、疲れやすくなったと記してあった。



元気でいてほしいものだ。

私自身と彼女は18の年齢差。

私が四歳の時、やってきた「新しいおかあさん」だ。
いろいろとあったけれど、お世話になった。

わたしたちをつなぎとめていたのは
おばあちゃんだった。

かよ。

名は、かよ だ。

父を生んだひと。

祖父と共にお店を営んでいた。

田舎のお店は、いわば なんでも屋さん。
米と塩以外のすべてを扱う。
祖父が戦渦に赤紙で招集されて不在の折は一家を守った。

私はおばあちゃんが大好きだ。
不孝にも、いい子ではなかったと思うけれど。

おばあちゃんは私のごく幼い、着せ替え人形が欲しいという願いに、
猿のぬいぐるみに着せる赤いちゃんちゃんこを縫ってくれたっけ。

私の話を聞いてくれる存在だった。
姉が小学校に上がり、さびしいと泣く私の手を引いて
大切にしているお店を閉めてまで、小学校まで連れて行ってくれた。

お墓参りやお盆のしきたりを教えてくれた。

大みそかの年越しそば、元日の初詣。
後妻や父がしないことは全部一緒にやった。


私が高校生のとき、まだお店をやってた。

仕入れて、売る。

父は売れない店なんて電気代ばかりかかっていると言って
ひそやかに冷たい戦争は行われていた。

私たちの実母を庇う気持ちが強かったのか、
今の母に対しては、若干意地悪だったようだ。
(後妻としての母は一生懸命できることをしていたとは思う。)

私たち姉妹二人が家を出てしまった後、
祖母がボケてしまった、老人ホームに入ってもらったんだ
と聞いたときはやるせなかった。
一緒に暮らしていない身としては何も言えない。

病院も隣接しているその施設に、結婚の報告に行った時、
父に連れて行ってもらったのだが
父は中に入ろうとしない。

理由は、自分の姿を見たら、「(一緒に)帰る」といって
大変な騒動になるからと。

そんな父をふがいないとも思ってはみても
祖母を養うことができるかといえば何もできない。

息子がおなかの中にいたある年末、
「もう長くはない」と聞いて田舎に帰省した。

一人では行けないからと、夫の母に付き添ってもらって。

見舞った病床、祖母と目が合った。
その目が、あぁ、知っている誰かだと、はっきりとした意志が読み取れたが
祖母が言葉を発することはなかった。

それが私の中の彼女の最後。

いつもリビングに居て、隣接するお店に来客があれば
すぐ出られるように、白い割烹着で待機していた。

お店では電卓なんかなくっても
暗算で正確にお釣りの額をはじき出す。

近くの小学校から、小さい子らが列をなして先生に先導されて
行くのを、小さく声をあげて見送る。

小さい子供が好きだった。

私は彼女の、昔語りが大好きだった。

日露戦争では、勝った勝ったで提灯行列をして…と
教科書に載ってるような話をして私を夢中にさせた。

歌が大好きなお兄さんの話、
駆け落ちした友達の話。
金色夜叉のレコードを聴いた話。

自分の父親に愛されていた話。

算数ができて、習字も一等で、選抜されるほど足も速い、と
兄弟の中で一番自分が愛されていたと
そう話すのを不思議な気持ちで聞いていた。

今の私が、自分を大切にすることをとても難しく感じるのを予見するかのように。

それに とりわけ、長男たる父が愛おしいという思い。

ボケていると云われているけど、
それだけに一層、彼女の本当の気持ちが
隠しようもなく、表現される。

長男の、私たちの父のことを大切に想っている。
夫である祖父の不在時も、父の存在が彼女を強くしていたのだろう。

そしてその子である私たちのことを深く案じていたと思う。

後妻が私たちを苛めているのではないかと、後妻との間にできた弟と区別されて
私たちがひどい扱いをうけているのではと、心を痛めているようだった。

弟に比して、私たちに対する父の教育熱心な様子は時に
度を越しているように思われた。

それを止められるのは、後妻ではなく自分だと思っていたのでは。

祖母が亡くなったと知らせを受けてからほどなく、私は息子を出産した。

祖母と一緒で、算数が得意。足も速いよ。

なんだか、縁を感じるよ。


貴女の存在あっての私です。
本当にありがとう。

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