空恐ろしい予測がある。トランプ政権がリーマンショック以前の金融状態に戻そうとしている動きに対する予測である。トランプ政権の財務関係の閣僚は大方がゴールドマンサックス系と言われている。殻らの主導により、オバマ政権下で成立した数々の金融規制が撤廃されようとしている。トランプ大統領は、2月3日「金融規制改革法(ドッド・フランク法)」の見直しに関する大統領令に署名した。この法律は金融危機に備えて銀行に対して自己資本増強の義務化、定期的なストレステスト、デリバティブ取引の監視強化などを目指したものだ。さらに、「ボルカールール」などもドッド・フランク法に含まれている。銀行と証券会社を分離させ、少ない自己資金でレバレッジを利かせた自由な金融取引が可能になる状態に戻そうとしているようだ。空恐ろしい予測というのは、現在の日銀の国債購入のスタンスである。日銀の思惑は長期金利をできるだけ低め誘導し、その間に、政府による構造改革が図らせることだ。だから、日銀は市場のちょっとした長期金利高の動きにも敏感だ。１日に数百億円を投じて買いに走る。だが、日銀が長期金利を管理できるうちはまだよいが、いずれ、管理できない日が来る。その時、レバレッジを効かせて、潤沢になった資金を活用し、ヘッジフアンドなどが国債市場に挑戦して来たら、最悪の金融戦争に発展することは間違いない。(2017.2.11)
