フジテレビの三田アナは朝の情報番組を担当していたころ、毎晩のように遅刻する夢を見ていたそうだが、それほど、緊張感を持って、放送内容をどう良くするかと言うよりも、ひたすら、遅刻をしてはいけないと思っていたのだろう。まことに見上げたものである。さて、私がサラリーマン時代に、支店長クラスの人間で、いつも遅刻する人間がいた。たまにであれば、それも仕方がないと思うのだが、いつもとなると腹が立った。しかも、その会議においては、その支店長クラスの人間が最上位なのである。私が腹を立てた理由は、いつもと言うこともあるが、遅れてきて、詫びの一言もないことだった。自分は忙しいのだ。遅れてきても許されると思っているに違いなかった。こっちだって忙しいのだ。忙しいのは自分だけでない。それとも、私の忙しさの価値はあなたの忙しさよりも低いというのかと開き直りたくなる雰囲気で会議は始まるから、最初から面白くない。さて、この時間に関する感覚は思わぬところで、信頼を失う。ある会社の社長さんは遅刻の常習者だった。会社が景気の良い時には問題にならなかったことも、いざ、会社が傾き始めると、「ああ、あの会社は社長さんからして、ルーズな点があったからね。」ということになり、会社全体がルーズな会社というレッテルが張られた。もはや修復不能である。三田アナのように、ただその時間に、そこにいると言うことも、立派な仕事のうちなのである。(2017.08.17)
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