アメリカ共和党の大統領候補トランプ氏を支えるコア層は、農業、建設業、製造業など、アメリカの伝統的産業に従事する白人たちである。中でも、農民層は広大な農地を持っているにもかかわらず、年収は驚くほど低い。夜逃げさえ、頻発するほどの苦しさである。例えば、あるジャーナリストが訪ねたコロラド州の農家は、380エーカー（約154万平方メートル）の広大な農地を持っていたが、年収はわずか8000ドル（約80万円）である。日本でもそうだが、農家というところは年収が低くても生きていくことは出来る。だが、農家の経営にはトラクターなども必要だ。それを購入するには現金がいる。これまで、彼らは都会の企業経営者に比べれば、政治的に無口だった。今も、無口だ。だが、望みはある。その望みは至ってシンプルだ。『税金を減らしてほしい』『国内の農家を援助してほしい』『公共事業をちゃんとやってほしい』『“世界の警察官”なんか辞めてほしい』『外国のためにお金を使わないでほしい』……。つまり、『自国が大変な状態なのに、理想ばかり掲げて重い負担を担っている場合か』ということであり、トランプ氏の主張と重なる。トランプ氏が自分たちの声を代弁していると聞こえる。(2016.10.20)
