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小判がこわい

2016-11-22 | 日本の笑話
 昔々、山の中に一人のおじいさんが住んでいました。ある寒い晩のことです。
 「おお、寒い、寒い!薪が足りなくなってきたな!薪を取りに行こうか。」と言って外へ出ようとすると、外から女の人の声がします。

 「すみません。寒くて寒くてたまりません。どうか中に入れてください。」
 誰かと思って戸を開けると、そこになんとも美しい若い娘が立っていました。それも見たことのないような美しさです。見とれていると、娘はさっさと家の中に入り、囲炉裏のそばに腰を下ろしました。おじいさんは思いました。 
 「若い娘がこんな夜に山の中を旅しているなんておかしい。こいつはきっとたぬきに違いない。」
 そう思ったおじいさんは娘に聞きました。
 「娘さん、あんたがこの世でいちばんこわいものは何だね?」
 「わたしがいちばんこわいのはタバコです。おじいさんが一番こわいものはなんでございますか?」
 おじいさんは頭を使って答えました。
「そうだな!わしが一番こわいものは小判じゃ。さて、ちょっと薪を取りに行って来ようか。」
 そう言って、外へ出ると、家の脇に置いてあったタバコの葉をいっぱいつかんで、窓から囲炉裏めがけて放り込みました。そして、扉を閉めました。
 中では囲炉裏の火で燃えたタバコの葉の煙が充満して、娘は苦しそうに叫びました。
 「助けてください。苦しいよ。」
 しばらくすると、耐えられなくなった様子でとうとう娘は正体をあらわしてたぬきに戻って、窓から飛び出していきました。

 次の日の夜、おじいさんが寝ていると、何やら「チャリン、チャリン」という音がします。おじいさんは何事かと思って、目を覚ましました。見ると、たぬきが窓から、小判を投げ入れています。
 「どうだ?苦しいか?昨夜のお返しだ。」
 おじいさんはわざと「苦しいよ。助けてくれ!」と言いました。
 たぬきはさらにどんどん小判を投げ入れてから、「ざまを見ろ!」と言って気分よく、帰って行ったとさ!
 

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