博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『大秦帝国之崛起』その5

2017年03月14日 | 中国歴史ドラマ
『大秦帝国之崛起』第25~30話まで見ました。

秦から首を要求された魏の宰相魏斉ですが、趙の平原君のもとに匿われるものの、その平原君が使者として秦に到来すると、昭襄王が魏斉の首を彼に求めて抑留、その間に魏斉は平原君の屋敷から同じく趙の虞卿のもとへと逃され、更に虞卿とともに信陵君を頼って魏へと戻りますが、信陵君が身柄引き受けを躊躇している間に前途を悲観して自害……

で、魏斉の首が秦へと送られ、昭襄王が張禄(范雎)に「おい、お前の欲しかったものが届いたぞ!」と首を見せます。張禄はさすがに一瞬びびってます。これで嬉しそうにしている昭襄王はちょっと精神的にヤバい人なんじゃという気がします。この人、始皇帝の祖先と言われて何となく納得できそうなところがありますね。

その後、張禄の提案で秦が韓・魏を攻め、韓より上党郡を割譲されることになります。しかし現地の民衆が秦への割譲に反発し、「ならいっそ」ということで独断で趙への投降を敢行。趙でも平原君の後押しで上党郡の受け入れを決定しますが、結局は秦に攻め取られてしまいます。そして秦側は更に長平へと侵攻することに……ということでいよいよ本作の山場・長平の戦いに突入です。

趙側は老将・廉頗を長平の守将とし、秦側もなかなか取り付くしまがありません。そして魏・楚などと合縦を図ります。そこで秦では張禄を平原君のもとに派遣して和議を模索する姿勢を示す一方で、白起を魏に派遣して合縦の切り崩しを図ります。


著名人物にクズばかりが目立つ本作にあって唯一の良心的な存在となっている白起ですが……

で、魏では魏王と信陵君が白起に応対して、かつて先王が若き日の魏冉と白起を評価していたというなごやかな話で始まったと思ったら、白起がいきなり「殺された太子倬の旧居を訪ねて太子の霊をお祀りしたい」と言い出して一瞬その場の雰囲気が凍り付きますw その後信陵君らと魏の長城を視察中に、春申君が刺客を放って白起暗殺を図ります。戦国四君は何でこうも揃いも揃って仁義のない人ばかりなんでしょうか…… 結局秦側は韓・魏との関係を修復し、楚も秦・趙の対立から離脱し、趙は一ヵ国で秦と対峙することに。

そして長平の戦いが開始されてから三年目。戦力では秦が上回るものの、趙では徹底して守戦を図る廉頗が総大将として秦側の攻勢を食い止めておりました。しかし両国とも兵糧不足が深刻な問題となります。秦では白起が蜀道の整備に取りかかり、蜀からの兵糧運搬を成功させる一方で、趙では平原君が守戦一辺倒の廉頗への不満を募らせます。それで廉頗が全千から都の邯鄲に召還されますが…… 廉頗「我が軍の戦力は秦より劣りますが、ワシが指揮を取る限り秦の攻勢を食い止めてみせますぞ!( ・`ω・´)」 趙の孝成王「だから兵糧がないと言っているではないか!(´Д`;) 秦はいつ攻勢を諦めるというのか!!」


そんなこんなで、おまけに秦側の工作もあって積極攻勢を主張する趙括に総大将が交替。一方、秦ではいよいよ切り札白起が総大将に。ここで趙括の母親が出てきて息子を総大将とすることに反対し……というお馴染みの話も挿入されるのですが、趙が相変わらず兵糧不足に苦しむ一方で秦が蜀からの兵糧を手に入れたという時点で、総大将が廉頗だろうが趙括だろうが勝負は着いてますよね。今回の描写を見ると、どうもベテランの廉頗に替えて口先だけで実戦経験のない趙括を任用した趙がアホという単純な話にするつもりはないようですが?

【今回のおまけ】
本作第30話で、秦側が趙の有力者の買収工作を進める場面が出てくるのですが、これに関してこういうニュースが……

「中国の歴史ドラマに習主席らの名前「賄賂に弱い将軍」で」
http://jp.wsj.com/articles/SB10681214028215414391304583007313464442902

要するに買収工作リストに相当する竹簡に、習近平とか胡錦濤とか出て来ちゃいけない名前がぞろぞろ篆書で書かれており、これが物議を醸しているというニュースです。現在閲覧できる公式配信の動画では、このワンシーンがカットされた状態になっています。スタッフの悪ふざけということなんでしょうが、思えば第一部『裂変』のテレビ放映の経緯からして、制作サイド的には今回放映局のCCTV1(中国中央電視台総合チャンネル)には、含むところがあってもおかしくないんですよね。(こちらの過去記事を参照→「大秦帝国テレビ放映」)また、昭襄王や孟嘗君、張禄らの、やや悪意が込められたキャラクター描写を見てると、作品全体の雰囲気にこの「悪ふざけ」がうまくマッチしているようにも思います。

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