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けの金を借りました

2016-08-23 17:33:21 | 日記


 王女の言葉は同意の苦笑をもってむかえられた。セ?ネドラは父の兵士たちのむだ話から、この不満こそが万国の兵士たちの共通する意見であることを知っていた。「血と金貨――血

はわれわれのもの、だが金貨は他人のもの」という言葉がほとんどかれらの座右の銘にさえなalphamind補數っていた。兵士たちの心はいまや彼女のものになろうとしていた。セ?ネドラの胃腸の震え

がほんのちょっぴりおさまり、そのぶん声が大きくなった。
 彼女はかれらにある昔話をした。幼い頃からさまざまに姿を変えて、聞かされてきたものだった。それは義務をまっとうして、金をもうけた良き兵士の話だった。かれの妻は兵士と

結婚したばかりに、さまざまの苦難や別離の悲しみを味わなければならなかった。だが兵士が軍を除隊すると、二人は故郷へ帰り、小さな店を買い、これまでの苦難の日々も報われた

のである。


「ところが、あるときこの妻が重い病にかかりました」セ?ネドラはなおも話を続けた。「ですが治療費はたいそう高かったのです」彼女は口を開いている間にも、鞍にしっかりとくく

りつけられた袋のひもを解いていった。「医者はこれだけ必要だといいました」彼女はそう言いながら血のように赤いアンガラク金貨を三個取り出して、皆に見えるようにさし上げた

。「そこで兵士は有力な商人のもとへ行き、医者に払うだ。だがその医者とは、ご多分にもれずぺてん師だった數學補習邊個好ので、その金はどぶに投げ捨てたも同然だったので

す」セ?ネドラは無造作に背後の草むらに三個の金貨を投げ込んだ。「こうして兵士の良き妻は死んでしまいました。兵士がまだ悲しみに頭を垂れているうちに、有力な商人がやってき

てこう言いました。『はてさて、わたくしのお貸しした金はどうなりましたかな』」王女はそう言いながら、あらたに三個の金貨を取り出し、皆の前にさし上げた。「『わたくしが医

者への治療代としてお貸しした、正真正銘のあの赤い金貨はどこですかな』。でも兵士のもとには金貨などあろうはずがありません。かれの手の中は空っぽだったのです」セ?ネドラは

ぱっと指を開いて、金貨が地面に落ちるにまかせた。「そこで商人は兵士の店を借金のかたに取り上げました。金持ちはますます豊かになりました。一方、兵士はどうなったのでしょ

う? かれはまだ剣を失ってはいませんでした。かれはたいそう優秀な兵士だったので、それはいつもぴかぴかに磨かれ、とがっていたのです。妻の葬式を終えた兵士は剣を取り上げ

、町からさほど離れていない野原に行くと、それでわが身をさし貫きました。これがこの物語の結末です」
 彼女はいまや完全に兵士たちを掌握していた。それは男たちの顔にはっきりと表われ出ていた。彼女の物語はこれまでに語りつくされてきたものだったが、彼女があまりにも無造作

に投げ捨てた金貨が、これまでにない効果を発揮していた。王女はさらに何枚かのアンガラク米糠油金貨を取り出すと、まるでこれが初めてというように兵士たちの顔をしげしげと見つめた

。「どうして最近見かける金貨は、こんな赤い色をしているのかしら」彼女は男たちに問いかけた。
「わたしはてっきり、金貨というのは黄金色をしているのかと思っていたけれど。この赤い金貨はいったいどこから来たんでしょうね」
「クトル?マーゴスからです」何人かの兵士たちが答えた。
「まあ、そうなの」王女は見るのもいやだといった顔で金貨を見つめた。「そのマーゴ人たちがいったいトルネドラで何をやってるのかしらね」そう言いざま、彼女は再び金貨を投げ

捨てた。


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