阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

有吉佐和子「紀ノ川」

2007年08月13日 01時39分21秒 | 日常

 2日間、民主党本部や議員会館で選挙報告や挨拶回りをして、昨日帰って来ました。

 さて、帰りの車内で有吉佐和子さんの「紀ノ川」を読みました。有吉作品を読むのは「複合汚染」以来、25年ぶりでしたが、読み始めた途端に引きずり込まれ、あっという間に読んでしまいました。

 何といっても、私が日々活動をしている慣れ親しんだ場所で展開する物語であることが一番の理由です。物語の冒頭に、主人公「花」が紀ノ川上流の九度山村から中流の六十谷に船を使って嫁入りするシーンがあります。私自身が車で、そして自転車で、紀ノ川を眺めながら何度も何度も走ったところ。明治の女性である「花」の凛とした生き方を通し、当時の社会や文化が現在の様子とオーバーラップしました。彼女の夫は村長から県会議員、さらに衆議院議員になりますが、当時の政治家や、政治家を守る妻を取り巻く状況も大変興味深いものでした。

 伝統・格式を守りながら賢く、気品のある生き方を貫く「花」。母である花にことごとく反発し、奔放に生きる理想主義者・文緒の強さは表面的なもので、エリート銀行員に出会った途端、自分が徹底的に批判していた支配階級にあっという間に組み込まれていきます。そして、その娘の華子が、有吉佐和子自身と言われています。

 本が書かれたのは1959年、有吉佐和子が28歳の時です。明治の文化・風俗を調べ上げ、自らの想像力を交えて綴った文章の細緻な表現にも驚きました。

 「ワイルド・スワン」(ユン・チアン著)という本があります。中国の近現代史を、祖母、母、本人の3人の女性の苛烈な人生を通して綴った本です。自分自身が「心にかける橋」を書きながら繰り返し読んでいたこともあってとても印象深い本なのですが、時に時代に翻弄され、時には時代に闘いを挑む強さを持った3代の女性を通して近現代史を描く手法がこの本ともオーバーラップしました。

 「紀ノ川沿いの嫁入りはのう、流れに逆らうてはならんのやえ。みんな流れにそうてきたんや。自然に逆らうのはなによりもいかんこっちゃ」

 これは、「花」の祖母、豊乃が、花の縁談を決めた時の言葉です。

 軍閥の妾であった祖母、戦争や文化大革命に翻弄される母、そして自らの力で自由を掴む本人。「ワイルド・スワン」のストーリーは、戦争、そして封建社会の崩壊とともに没落していく家の歴史を描いた「紀ノ川」とは異なる、政治的メッセージの強いストーリーですが・・・。

 様々な時代を水面に映しながら、今も美しく流れる紀ノ川。明日も紀ノ川沿いを走ってみたくなりました。あ、その前にこれからペルセウス流星群を見てきます!
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