大木昌の雑記帳

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豊洲新市場を巡る闇の深層(2)―耐震・排水溝の疑惑―

2016-10-01 10:35:42 | 社会
豊洲新市場を巡る闇の深層(2)―耐震・排水溝の疑惑―

前回は、豊洲新市場を巡る闇の深層の一つとして、土地の取得、建設工事の発注と受注の疑惑、金額の異常ともいえる高騰など、お金に
関連した問題を検討しました。

盛り土と地下の空洞に関連して、誰が、いつ、どんな配慮からなされたのか、という問題と深くかかわっている、と思われます。

さらに、空洞の問題は、地下に溜まった水は、都が主張してきたように雨水ではなく、地下水であり、その地下水に部分的には環境基準値
を超える有害物質(ベンゼン、ヒ素)が含まれていることが明らかになり、安全性の問題とにも関連しています。

地下の空洞と地下水の安全性に関する問題は、小池指示が新たに立ち上げた委員会で検討されることになっているので、その結果を待っ
て検討したいと思います。

今回は、豊洲新市場の建物そのものの安全性について考えてみたいと思います。

豊洲新市場に関しては、大手の新聞、テレビなどのメディアは、地下の空洞と盛り土の問題について連日扱っているものの、建物の安全性
に関してはあまり報道されていません。

これらに関して『日刊ゲンダイ』は二つの重要な疑惑を指摘しています。

一つは、建物の床の強度が基準を満たさない疑惑です。

『日刊ゲンダイ』は、入手した豊洲新市場の「構造計算書」を精査した結果、不可解な記述を見つけます。つまり、「仲卸売場棟」内の一部で床
の防水層を保護し、床そのものの損傷を防ぐために敷設される「押さえコンクリート」が、異常に薄い箇所が見つかったのです。

仲卸売場棟の4階に入る「関連物販店舗」と「荷捌きスペース」の両エリアに敷設された押さえコンクリの厚さは、たった1センチ。同じ階の「小口
買出人積込場」は15センチ、1階の「荷捌きスペース」が25センチなのに比べると随分、心もとない厚さです。

都に問い合わせたところ、
    『1センチ』と表記された箇所は、モルタルとセラミックを混ぜた補強材を使用しています。関連物販店舗のエリアは、この処理で床の強度
    に問題はない。荷捌きスペースは、実際には1センチの補強材に加え、15センチの押さえコンクリを敷設しています」(中央卸売市場・新
    市場整備部)
との回答でした。

ところが、構造計算書をいくら見直しても、荷捌きスペースには15センチの押さえコンクリについての記載は一切ない。どういうことなのか。

    構造計算書の作成後、実際の施工に際し、現場が『やっぱり15センチの押さえコンクリは必要』と判断したとみられます。荷捌きスペース
    には、水や氷に漬かった鮮魚が運び込まれる以上、防水機能を強化する必要があり、急きょ計画を変更したようです。現状、計画変更手
    続きはなされていません」(同)

ある構造設計の専門家は、「急な計画変更は珍しいことではないが、建物の重量が大幅の変わる以上は、早期に変更手続きを行わなければ、
耐震基準を満たさなくなる恐れがある」と指摘しています。

コンクリの重量は1立方メートルあたり約2.35トン。1平方メートルで厚さ15センチの塊の重さは約350キロになる。4階荷捌きスペースの広さは
3800平方メートルだから、単純計算で1300トン超の重量が加算されたことになります。

実は、建物全体の重さが増したことで、建築基準法に抵触する可能性があります。

豊洲新市場のような公共性の高い建物は、一般のビルや家屋のような民間所有の建物より高い耐震性能が必要です。一般の建物の耐震性能を
『1』とすると、『1.25』倍の性能を持たせなければならない。これは建築基準法に規定されています。構造計算書や設計図では、豊洲は『1.25』
倍ピッタリの数値で設計されている。

押さえコンクリートを追加で敷設し、建物が重くなったのなら、耐震性能は『1.25』倍に満たず、“違法建築”状態になっている可能性があります。
建物の重量が増せば、地震が起きた際、建物自体に与えるダメージが大きくなることにもなるのです」(建築エコノミストの森山高至氏)(注1)

この疑惑に対して都は当初、改めて計算し直したところ、1.34倍の性能があることが分かり、『押さえコン』を追加しても1.25を下回ることはない
(中央卸売市場・新市場整備部)と説明していましたが、この説明がとんでもないごまかしであったことが判明しました。

『日刊ゲンダイ』は、情報開示法に基づいて都に「耐震性能1.34の根拠資料」を開示請求し、その資料を入手ました。

驚くことに、都が説明した「1.34」と表記されていた計算書には、「押さえコンの追加分の重量が反映されていない」(新市場整備部)というのです
から、もはや詐欺的な書類の記載です。

さらに、都の見苦しいまでの姑息なやり方は、『日刊ゲンダイ』が“違法”状態として請求した建物と別の場所についての計算書であったことも判明
したのです。

仲卸棟は構造上「左、中央、右」と3分割されていて、それぞれの区域ごとに計算されている。

『日刊ゲンダイ』が当初問題としたのは、「左ブロック」でしたが、都が示した計算書は「中央ブロック」でした。

なぜ、このような、調べればすぐにウソがばれてしまう、見当はずれの“根拠”を示したのか、都の担当者に聞いてみたところ、「確かに押さえコンの
追加分を反映した計算書でない以上、根拠としては不十分かもしれない」と、“なぜ”には答えず、説明になっていませんでした。

それにつては、「訂正がなされておらず、反映した計算書がないからです。いつ訂正手続きを行うかは分かりません」との答え。

おそらく、左ブロックは耐震基準を満たしていないのではないか、との疑問は残る。

最後は「問題ないと思っていますが、資料がないので分かりません」と逃げる始末です。

構造計算1級建築士の高野一樹氏は
    1・34倍の根拠になっていません。やはり押さえコンの重量が増えた分、仲卸棟の左ブロックは1.25を下回っている可能性があります。
    元の設計よりも建物全体の重量が増えているので、骨組みや杭にかかる負担は 大きくなっていることが考えられます。これらの問題を
    検証し、全てクリアしなければ『安全』とはいえないでしょう。
と明快に述べています。(『日刊ゲンダイ』2016年9月24日号)

もう一つ、新市場の建物には衛生上、かなり大きな構造的欠陥があることを『日刊ゲンダイ』は指摘しています(注2)

築地の仲卸売場では縦40センチ、幅55センチ、深さ1メートルほどの長方形型の排水溝が設けられています。これに対して豊洲の「仲卸売場棟」
の排水溝は、幅30センチに満たず、深さはたった7~19センチ。都の中央卸売市場・新市場整備部によると、排水溝の上にかぶせる金網の厚さが
3・8センチだから、実際はたった3.2~15.2センチしかありません。

              
       左が豊洲新市場の排水溝、右が築地の排水溝。(『日刊ゲンダイ』2016年9月30日号)(注1)

「こんな浅い排水溝で氷を流せば、水があふれてしまう」と危惧するのは、築地の仲卸で30年以上働く中澤誠氏は語っています。

ケースに入れた鮮魚は、常に新しい氷や水に入れ替えて冷やさなければ鮮度を保てません。放置しておくと魚の血がにじみ出して氷水が不衛生に
なり、魚に臭いがついてしまう。築地では、床に氷や水を大量に流していますが、排水溝があふれることはありません。

氷で排水溝が詰まり、汚水があふれ、仲卸棟に“腐臭”が漂えば、衛生管理を売りにした豊洲も形無しだ。

豊洲新市場への移転に関して、小池氏の後任として東京10区からの補欠選挙に立候補予定の若狭勝氏は、テレビのインタビューに答えて、豊洲
の安全性が確認されれば豊洲への移転が実行される方向で進むでしょう、と答えていました。

しかし、現在では、有害物質を含むかもしれない地下空洞の地下水とガスに多くの関心が集中しており(これも大いに問題ですが)、今回紹介したよ
うな建物の構造と、食品の衛生に関わる排水溝に不備があれば、とても「安全、安心」というわけにはゆきません。

若狭氏は、このような問題を分かった上で、豊洲移転の可能性を語っているのでしょうか。

それにしても、なぜ大手メディアは、建物の構造的問題を調査し、公表しないのか、私にはとても不思議です。

これらの問題をつついてしまうと、豊洲新市場そのものが廃止される可能性があるので、都の税金からすでに6000億円近く投入した豊洲新市場を
見捨てることはできない、との危惧が都にも都議会にもあるのでしょうか?

私の個人的な意見では、豊洲新市場は、三つの意味で不適格であり、移転はすべきでないと思います。

一つは、今回、検討した建物の構造上の欠陥。

二つは、豊洲は3・11の地震の際、100か所以上で液状化現象が起こっており、地下の有害物質が地下水やガスとして噴出しかねないことです。

三つは、最近になって、あらためて検査した地下水に基準値を超える有害物質が含まれていたことです。これは、食品を扱う市場にとって致命的な
問題です。

なお、現在すでにひろまっている豊洲新市場にたいするネガティブなイメージが、風評被害を与える可能性が考えられます。

次回はいよいよ、地下の空洞問題に迫ってみたいと思います。

(注1)『日刊ゲンダイDIGITAL』(2016年08月30日 09時26分 )
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/188745
(注2)『日刊ゲンダイ DIGITAL』(2016年8月30日 15:30)
https://news.nifty.com/article/domestic/government/12136-343542/



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