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原爆投下から72年―被爆国日本は核廃絶のリーダーシップを―

2017-08-13 07:22:09 | 国際問題
原爆投下から72年―被爆国日本は核廃絶のリーダーシップを―

1945年8月6に広島へ、3日後の9日には長崎に原爆が投下されて、今年で72年目にあたります。

既に知られていることですが、広島に投下された原爆はウラン235を濃縮したもので、長崎に投下された原爆はプルト
ニウム239を使ったものです。

アメリカは、日本の敗戦が決定的になった最終段階で、二つの違ったタイプの原爆を使用したわけですが、これは、二つ
のタイプの原爆の威力(破壊力)や、人体に対する影響などを比べるための、ある種の実験を行ったわけです。

8月6日の広島での平和祈念式典で松井一実広島市長は、「広島平和宣言」のなかで原爆を「絶対悪」、つまり、どんな
言い訳も許さない、絶対的な悪である、とし、3回も繰り返しています(以下は、『東京新聞』2017年8月7日と10日
よりの記事に基づいています)。

しかも、この「絶対悪」は決して過去のものではなく、核兵器が現実に存在し、その使用をほのめかす為政者がいるかぎり、
いつ何時、被爆者となるかわからない。

むごたらしい目に遭うのは、今生きている「あなた」かもしれない、と市長は語ります。

松井市長は、「核保有国の指導者たちは、抑止力という概念にとらわれず、一刻も早く原水爆を廃止し、後世の人たちにか
けがえのない地球を残すよう誠心誠意努力してほしい」というある被爆者の言葉を引用しています。

この被爆者がいう「核抑止力という概念にとらわれず」という言葉は、とても重要な意味をもっています。

というのも、「抑止力」というのは実態ではなく「概念」に過ぎないのです。もっと言えば、それは「幻想」であり「妄想」
かもしれないのです。

「抑止力」とは、もし、他国が核攻撃をしてくれば、自国の核兵器で相手に報復できるから、他国は攻撃してこないだろう、
だから核を持っていることが核攻撃に対する抑止力となる、という前提で組み立てられた「概念」です。

これは一見、筋の通った、合理的な「概念」に見えるかも知れません。しかし、所詮は全ての国が、この「抑止力」を信じ
ていれば、という雲をつかむような話です。

そのために、核保有国は、できるだけ多くの核兵器を持とうと、無意味な競争をしているのです。

市長は「市民社会は、既に核兵器というものが自国の安全保障にとって何の役にも立たないということを知り尽くし、核を管
理することの危うさに気付いています」、と語りかけています。これこそが、正しい認識だと思います。

市長の宣言に続いて、小学六年生の男女による「平和への誓い」が朗読されました。

この「誓い」は本当に素晴らしく感動的で、全文を引用したいくらいですが、それは皆様に新聞その他で是非、読んでいただ
きたいと思います。しかし、以下の部分だけは是非、ここで引用しておきたいと思います。

    原子爆弾が投下される前の広島には、美しい自然がありました。
    大好きな人の優しい笑顔、ぬくもりがありました。
    一緒に創るはずだった未来がありました。
    広島には当たり前の日常があったのです。
    昭和二十年八月六日午前八時十五分、広島の街は、焼け野原となりました。
    広島の街を失ったのです。
    多くの命、多くの夢を失ったのです。

安倍首相のあいさつは、長崎でのものとほとんど同じなので、後ほどまとめて紹介します。

さて、8月9日の長崎での式典では田上富久市長が「平和宣言」を行いました。

市長は冒頭部分で、「ノーモア ヒバクシャ」を願う被爆者の願いがこの夏、世界の多くの国を動かし、一つの条約を生み出し
たことを述べました。

それは、「核兵器を、使うことはもちろん、持つことも、配備することも、(実は「威嚇に使うことも」含まれている)禁止し
た「核兵器禁止条約」が国連加盟国の六割を超える122カ国の賛成で採択されたことです。

ただし、この条約を討議する会議には、核保有国と「核の傘の下にいる国々」は、参加さえしていませんでした。

田上市長は、名指して日本政府に対して強い言葉で批判します。
    核兵器のない世界を目指してリーダーシップを取り、核兵器を持つ国々と持たない国々の橋渡し役を務めると明言
    しているにもかかわらず、核兵器禁止条約の会議にさえ参加しない姿勢を、被爆地は到底理解できません。
    唯一の戦争被爆者として、核兵器禁止条約への一日も早い惨禍を目指し、核の傘に依存する政策の見直しを進めて
    ください。日本の参加を国際社会は待っています。

日本政府は、アメリカの核の傘の下にいる、という建て前で、交渉会議に参加しませんでしたが、同じくアメリカの核の傘の下に
いるオランダはこの会議に参加していたのです。

この「核の傘」も、「核抑止力」と同様、核の傘の下にいれば、安全、敵は攻撃してこないだろう、という「概念」にすぎないの
です。

そして田上市長は「世界中の全ての人に呼び掛けます。最も怖いのは無関心なこと、そして忘れていくことです」と訴えます。

だから、遠い原子雲の上からの視点でではなく、原子雲の下で何が起きたのか原爆が人間の尊厳をどれほど残酷に踏みにじった
のか、あなた自身の目で見て、耳で聞いて、心で感じてください、と世界に向かって呼びかけました。

市長に続いて、被爆者代表の深堀好敏氏は、被爆者としての実体験から、原爆の悲惨さを語った後で、やはりとても重要なことを
語っています。
    二〇一一年三月、(東京電力)福島第一原子力発電所の自己が発生し国内の原発は一斉に停止され、核の脅威にお
    びえました。しかしリスクの巨大さにあえいでいる最中、事もあろうに次々と原発が再稼動しています。地震多発
    の我が国にあっていかなる厳しい規制基準も「地震の前では無力」。原発偏重のエネルギー政策はもっと自然エネ
    ルギーに軸足を移すべきではないでしょうか。

深堀氏は、戦後「平和憲法」を持ち、唯一の被爆国として果たすべき責務を忘れてはならない、と日本が率先して核廃絶に努める
ことを訴えます。

さて、安倍首相の「あいさつ」は広島においても長崎においても、地名を変えただけで中身は同じ原稿を読んだだけです。

中身は、両地域において原爆で凄惨な破壊が行われたこと、その後人々の努力で復興したこと、これらの地域で起きた惨禍が二度
と繰り返されてはならない、当たり障りのない言葉が続き、ではどうするのか、について次のように語ります。
   
    唯一の戦争被爆国として「核兵器のない世界」の実現に向けた努力を積み重ねることが、私たちの責務だ。
    真に「核兵器のない世界」を実現するためには、核兵器国と非核兵器国双方の参画が必要だ。我が国は非核三原則
    を堅持し、双方に働き掛けることを通じ、国際社会を主導していく決意だ。

多くの被爆者や核廃絶を望む人々を大いに失望させました。というのも、長崎市長が言うように、核を持つ国々と持たない国々と橋渡
し役を務めると明言しているにもかかわらず、現実には過去四年、安倍首相は、実際には何も橋渡しの努力をしてこなかったからです。

だから、何をいっても内容のない、形だけの「あいさつ」に聞こえてしまいます。

式典後、被爆者代表に、「あなたはどこの国の首相ですか」と、本当に、魂の叫びにたいして何も言えなかった安倍首相の胸中はどんな
だったでしょうか?

ところで、冒頭で原爆にはウラン型とプルトニウム型があることを書きましたが、現在はプルトニウム型が、使用量も少なく破壊力が
大きいので主流になっています。

プルトニウムは原発の副産物としてできます。現在日本は国内外に47.9トンのプルトニウムを保有しています(2016年7月28日現在)。
これは原爆6000個分に相当します。

被爆者代表が、日本の原発に対する政府の方針に反対したのは、原発が潜在的に核兵器の製造につながるからです。

つい最近まで、原発反対を唱えていた、河野太郎衆議院議員は、今回の内閣改造で外務大臣に任命されるや、手のひらを返すように、
原発については発言しません、と宣言してしまいました。

それでは、今までの原発反対の発言は、何だったのでしょうか?はっきり言えば、河野氏の存在感は、脱原発の発言だけだったのです。

しかし、これは初めてではなく、2015年に初入閣した時も、脱原発などを発信してきたブログを閉鎖するなど、同様の行動に出ました。
つまり、彼の主張に一貫した信念を感じられません。

この点で彼の姿勢に疑問を感じます。外務大臣としても不安を感じますが、これについては別の機会に書きたいと思います。

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7月末の長野県東御市ではコクモスが咲き乱れていました。 今年は、「春ゼミ」が鳴き始めた時(6月)秋の虫も同時に鳴き始めたそうです。やはり何か変です。

 




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