大木昌の雑記帳

政治 経済 社会 文化 健康と医療に関する雑記帳

「森友問題」の本質と深い闇(1)―キーワードは「忖度」と「記録破棄」―

2017-03-19 22:22:20 | 政治
「森友問題」の本質と深い闇(1)―キーワードは「忖度」と「記録破棄」―

「森友問題」に関して、キーマンの一人である籠池泰典理事長の証人喚問が、3月23日に行われることが決まりました。

証人喚問を渋っていた自民党が、唐突に喚問に走った背景については23日以降に再び整理したいと思います。

現段階では、この喚問で、何が明らかになり、あるいは曖昧になってしまうのか、フタを開けてみないと分かりません。
いずれの結果になるにせよ、そもそも「森友問題」の本質は何か、を押さえておく必要があります。

それは、大きく分けて①、なぜ、国有地があれほど安く売却されたのか、誰がその意思決定をしたのか、②だれが「瑞穂の
國記念小学院」の設立を認可したのか、の二つに絞られます。

①も②も、異常ずくめなのです。

①は、国有地を管理する、財務省理財局に関わる問題であり、②は小学校の設立の許認可権をもつ大阪府の問題です。

結論的に言えば、今回の一連の問題を核心は、「忖度」「記録の廃棄=隠蔽」がキーワードです。

ここで一般論としての「忖度」とは、「他人の気持、心、意向を思いやること」です。つまり、はっきりとは命令や指示を
受けるわけではないのに、まして文書での指令に従うのではなく、下級の関係者が上級者の気持ちや意向を察して、それに
沿って事案を処理することです。

もちろん、この際、上級者が非常に間接的に、意向を暗に匂わせて、実質的に圧力をかけて従わせる場合もあります。

これは、特に公共事業などを巡って、これまで政治家、国の行政機関、地方自治体、業者との間で行われてきた交渉の背後
で働いてきた力学の構造です。

②は、今回の問題の、一番重要な部分に関する公文書だけが、なぜか、合理的な理由なく「破棄」されていることです。

以上を頭の片隅に置いて、今回の森友学園の土地取得と小学校の認可の問題を考えてみましょう。

理財局は当初、この土地の評価額を9億5600万円としていましたが、この土地に地下にゴミがあることを考慮して、
8億2200万円安くして、1億3400万円で森友学園に売却しました。

つまり、評価額の10分の1の価格で売ったとされています。しかも、10年の分割払いでもよい、という好条件です。

国有地の売却は、一括払いが原則で分割は認められていません。これは異例中の異例です。

森友学園は224万円で土地を取得した

しかし、話はこれに留まりません。というのも、この土地は当初、賃貸契約で学園が校舎の建設を進めていたところ、ゴミ
が大量に見つかったので、国はその撤去費用(行政用語は「有益費」)として1億3176万円を学園に支払いました。そ
の結果、学園の支払いは224万円で済みました。

整理すると、9億5600万円―(8億2200万円+1億3176万円)=224万円。これが、学園が実際に理財局に
支払った金額です。

国が「有益費」を支払ったのは、当時、土地はまた国のもので借り手の森友学園に対してゴミを撤去する義務が持ち主(国)
にあったから、というのが一応の理由です。

国有財産(国民の財産)が、まるでバナナのたたき売りのように、ほとんどタダ同然で森友学園に売り渡されたのです。

誰が、なぜ、このような手品のような価格の値下げを決定したのでしょうか?

売却には土地価格の査定をする必要がありますが、ゴミの撤去費用を8億円2200万円と見積もったのは、不動産鑑定の専
門家ではなく、なんと大阪航空局でした。

この点を国会で追及されて、国土交通省航空局長の佐藤善信・国土交通省航空局長は、3月1日の国会で「(過去に)ごみの撤
去費を算定したことはない」と積算実績がなかったことを認めたうえで、しかし知見はある、と詭弁を弄しています。

しかも、撤去費用8億円2200万円の積算根拠を何ら示さなかったのです(注1)。

根拠もないまま、 国有財産の管理者である財務省理財局(当時の局長は迫田英典氏)、および財務省近畿財務局は売却を承認
したのです。

実は、森友学園のほかの学校法人が5億8000万円で買う意向を示していましたが、7~8億円で売ろうとしていた理財局
は、この安すぎると指摘したため、この学校法人は、購入をあきらめた経緯があります。

この一点だけでも、森友学園が、いかに特別な扱いを受けていたかが分かります。

ただし、これは話の半分です。

理財局が土地を売却するためには、まず、学校の開設が認可されていることが前提です。

しかし、学校の設立の許認可権をもつ大阪府の私立学校審議会(私学審)は、森友学園が認可申請を提出した2014年10月には、
資金面でも不安がある学園の状況を考慮して、なかなか許可をだしませんでした。

ところが、籠池理事長は、ある時から急にやさしくなった、と言っているように、事態は急に動き出し、なんと私学審は2015年
1月に「認可適当」と答申したのです。

この間の事情を、松井大阪府知事は、テレビ雄インタビューに答えて、国の役人が何回も大阪府を訪れ、国有地の売却について問
いただした、国は親切だなあと思い、また「圧力」も感じた、と述べています。

松井氏はさらに、大阪府全体が、安倍首相夫人が名誉校長を務める学校であることを、おもんばかったのだろう、とも述べていま
す。言い換えると、これは「政治案件」であるという認識が関係者の間にあったことを意味します。
「語るに落ちる」とは、このことで、国の意向と圧力があって、大阪府が、それを忖度して、「許可適当」の判断を下したと言っ
ているのです。

次に、「記録の破棄=隠蔽」について考えてみましょう。

大阪市の学校法人「森友学園」が小学校新設のため国有地を格安で購入した問題で、大阪府が土地の処分を担当した財務省近畿財
務局と協議した記録の大半を残していなかったことが3月15日、府の内部資料から分かりました。

特に、学校設置認可の申請があった2014年10月から府私立学校審議会(私学審)が条件付きで「認可適当」と答申した15
年1月まで、協議が本格化していた時期の記録は一切残っていなかったのです。

森本学園に評価額の14%の値段で売却された問題に関し、2月24日、昨年6の売買契約を巡る売り主の近畿財務局と学園側の
交渉や面会の記録が、既に廃棄されていることが分かりました。

財務省の佐川宣寿理財局長が衆院予算委員会で明らかにしました。佐川氏は、記録は同省の文書管理規則で保存期間1年未満に分
類されるとし、「売買契約の締結をもって、事案は終了した。記録は速やかに廃棄した」と説明しました(注2)。

PKOのスーダンでの活動に関する『日報』も既に廃棄されており、提示できないとの防衛省の発言が、後に、実際には残ってい
たことが判明したことと同様、この場合も、最も重要なところが、なぜか廃棄されているのです。

これは決して偶然ではなく、意図的に「廃棄」したことにしているとしか思えません。

もし、「売買契約の締結を持って、事案は終了した」、だから記録は速やかに廃棄した、とするなら、国有財産を管理する理財局
長は、とんでもない違反をしていることになります。

なぜなら、この売買契約は、10年年の分割払いとなっており、その返済はまだ始まったばかりで、決して「事案は終了した」と
は言えないからです。

もし、この10年の間に何か問題が起こった場合を考えて、日本の役所は必ず、記録を残しているはずです。実際、官僚経験者の
ある、ある国会議員は、自分の身を守るためにも、官僚が記録を残さないことはあり得ない、と語っています。

それが、売買契約の締結直後に「廃棄」したとすると、それは、どうしても見られたくない、見られると問題になるので廃棄した
のか、あるいは「廃棄」したことにしているのか、どちらかです。

いずれにしても、この問題の背後には、記録の廃棄という隠蔽が行われたと思われても仕方がないでしょう。

以上、今回は、「森友問題」の本質を理解するために、問題の本質を「忖度」と「記録の破棄=隠蔽」という観点から考えました。

23日の証人喚問で、籠池氏の証言が、この事件の解明に役立つことを期待しています。


(注1)『朝日新聞 デジタル』(2017年3月1日)http://www.asahi.com/articles/ASK31324HK31UTFK001.html
(注2)(『東京新聞』2014年2月24日 夕刊);『毎日新聞 デジタル』(2017年3月17日)
    http://mainichi.jp/articles/20170316/k00/00m/040/150000c#csidx6085d982feff4dfa0d4a86653991e38


ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 本の紹介:青木理『日本会議... | トップ | 「森友問題」の本質と深い闇... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。