きのつらゆき(Kino_Tea)

紀貫之のごとく、気の向くままに、つらつらと、(書いて)ゆきましょう。
ブログというより備忘録。スケート関連多い。

ソフィア・サモドゥロワ優勝、JGPイタリア大会、JGPF出場者全て決定

2017-10-16 | Skating

イタリア北部のエーニャ(イタリア語)/ノイマルクト(ドイツ語)で開催されたJGPイタリア大会。ソフィア・サモドゥロワが190点台の接戦を制し再び優勝。表彰台に乗った3人はJGPファイナル出場を決めた。

podium, Italy
(Gettyimages.co.jp Sorry for not embedding the image.)
左からアリョーナ・コストルナヤ(146cm)、ソフィア・サモドゥロワ(152cm)、紀平梨花(152cm)。アルプス山脈の山麓での開催ということで雪の結晶の形のメダルのようだ。


大会結果

順位名前区分所属得点SPFS備考
1 ソフィア・サモドゥロワ J2 ロシア 192.19 3 66.67 1 125.52 190点越えの笑顔
2 アリョーナ・コストルナヤ J1 ロシア 192.15 1 67.72 2 124.43 連戦でわずかに疲れ
3 紀平梨花 J2 日本 185.81 2 66.72 3 119.09 完成度の高い演技を!
4 荒木菜那 J3 日本 181.00 4 64.57 5 116.43 爆走娘が実力を発揮
5 ユ・ヨン J1 韓国 177.70 5 60.42 4 117.28 日々成長する選手
6 キム・イエリム J2 韓国 167.64 9 52.22 6 115.42 プログラム変更が奏功
7 ハンナ・ハレル J1 米国 152.41 6 55.87 7 96.54 田村花亜、元体操選手

大会結果サイト
出場選手ランキングサイト

ショートを終えた時点で上位5人はミスの無い演技で60点台、フリーの出来で勝敗が決まる緊張感のある試合。フリーでは上位2名のロシア女子選手はミスの少ない完成度の高い内容だった。日本のエース紀平梨花は今回はフリーでミスがあり優勝を逃してしまった。



3Lz(r) FCSSp4 StSq3 3S(t) 3Lo(t) / 3Lz(r)+2T+2Lo(t) 2A+3T(t) 3F(t)!+2A(t)+SEQ LSp4 3F(t) CCoSp4
リベルタンゴ。最初のルッツは高くてきれい、しかしそれ以降のジャンプはテッドが言う「ビューティフル」は少し褒めすぎかもしれない。荒木菜那の3Lz+3Tが印象に残っているからだろうか。しかしジャンプに失敗する感じがせず、安定したタノラーでもある。タノは習得出来ずに苦労する選手もいる。さらにエッジエラーも克服した。と思ったら3F!だったようだ。この選手もジャンプの転倒はあまりない。誰かが宮原さっとんに似ていると言ったがそうかもしれない。

今季は順位とともに、内容も良いようだ。

'17/08 サンクト杯第1戦 ジュニア 1位 199.99
'17/09 サンクト杯第2戦 シニア 1位 199.96
'17/09 Jr.GPクロアチア 1位 187.86
'17/10 Jr.GPイタリア 1位 192.19

去年8月のJGP横浜で表彰台に乗れず少し残念そうな表情をしていたソーニャが、繰上で出場したロシア選手権(12月)で190点台の高得点を獲得、しかしロシアジュニア選手権(2月)は不本意な結果となる。年長選手権(3月)では3Lzがクリーンに跳べるようになり、さらにタノをマスター。しかし今季のJGPは第5戦でようやく初登場し、それ以外にも同僚で同期のヌグマノワやロスコが去っていくなど、いろいろあったが、ソーニャは強くなった。



CCoSp4 StSq3 FCCoSp4 3Lz / 3F!+3T(r) 3F+2T+2T 3S+3T 3Lo< 2A 2A LSp4

エテリ組の選手の音楽は、(最近の凝った編集の一部の曲を除き)リプニツカヤのシンドラーのリスト以来どの音楽も気に入っている。コストルナヤのSP、FSも哀愁が漂う音楽でとても良い。特にアディオス・ノニーノは原曲よりもSPの編曲が気に入っている。

前回と違う髪型。憂いを帯びた王女の演技、爆走娘たちとは一線を画するしっとりとしたアリョンカ・ワールドに引き込まれる。王女様が膝をつくステップ。しかし2大会4プログラムを通じてステップは全てレベル3だった。次はレベル4のステップを見てみたい。
(最近はテクニカルパネル・ハンドブックの理解にも悪戦苦闘中)

今回もフリーは後半6ジャンプだったが、ショートで3Lz!、フリーで3F!だったのが少し気になる。他の選手のプロトコルを見てもそれほど厳しくチェックされているわけではなさそう。ショート、フリーとも連戦でわずかに疲れたか、ループは回転不足となった。(動画のスロー再生はとても便利)


同じ滑走組の紀平梨花が6分間練習で3Aを跳んで歓声が沸いても、バレエジャンプから3Lzまでのジャンプの入りを黙々と確認していたアリョンカ。1年前のザギトワのように動揺することなく自分の演技をやりきった。演技終了時やキスアンドクライで控えめに喜ぶ表情も魅力的だ。



まさかと思っていたが、JGPシリーズはロシアが7連勝してしまった。最後の砦が陥落し、もう旗が翻っていない。(なぜか米国国歌の歌詞を思い出す。orz)

今季は本田、坂本、白岩という実績のある選手がシニアに移ったが、新エースと新人選手が頑張るのではないかと期待していた。しかしどちらも厳しい洗礼を受けてしまった。紀平さんはトゥルソワ以外のロシア女子選手より基礎点が上回っていて、演技構成点も遜色ないにもかかわらず後塵を拝している。豆腐屋の娘ではないはずだが(たぶん)、期待が大きいだけに、落胆も大きい。しかしJGPファイナル出場が決まったので、頑張ってほしい。


JGPファイナル出場者

順位名前区分所属コーチ(代表)状況備考
1 アレクサンドラ・トゥルソワ J1 ロシア トゥトベリーゼ ファイナル出場 初出場
2 ソフィア・サモドゥロワ J2 ロシア ミーシン ファイナル出場 初出場
3 アリョーナ・コストルナヤ J1 ロシア トゥトベリーゼ ファイナル出場 初出場
4 ダリア・パネンコワ J2 ロシア トゥトベリーゼ ファイナル出場 初出場
5 アナスタシア・タラカノワ J1 ロシア トゥトベリーゼ ファイナル出場 初出場
6 紀平梨花 J2 日本 濱田美栄 ファイナル出場 昨季に続き2回目 
7 山下真瑚 J2 日本 山田満知子 補欠  
8 荒木菜那 J3 日本 門奈裕子 補欠  
9 イム・ウンス J2 韓国 シン・イェジ 補欠  

シェルバコワ、タラカノワ、紀平梨花などの有力選手に負けないように頑張れと応援したトゥルソワちゃんが、1位通過になるとは思ってもみなかった。去年のザギトワさんといい不思議な嗅覚を持っているのかもしれない(自画自賛)。


フリー・スケーティングの得点と内訳 (気になる選手を抜粋)


名前所属合計点TES(TES内訳)PCS(PCS内訳・素点)減点
BVGOESSTRPECOIN
#1 トゥルソワ ロシア 132.12 75.62 68.73 6.89 56.50 7.07 6.89 7.18 7.14 7.04 0.00
#6 パネンコワ ロシア 130.91 72.91 62.58 10.33 58.00 7.14 7.07 7.32 7.36 7.36 0.00
#2 タラカノワ ロシア 130.00 70.55 61.85 8.70 59.45 7.61 7.21 7.54 7.43 7.36 0.00
#6 コストルナヤ ロシア 128.75 70.77 60.69 10.02 57.98 7.32 7.14 7.39 7.18 7.21 0.00
#4 トゥルソワ ロシア 126.60 71.78 65.03 6.75 55.82 6.89 6.89 7.00 7.00 7.11 1.00
#7 サモドゥロワ ロシア 125.52 68.90 60.27 8.63 56.62 7.14 6.86 7.18 7.14 7.07 0.00
#5 サモドゥロワ ロシア 125.43 69.18 60.27 8.91 56.25 6.96 6.68 7.36 7.11 7.04 0.00
#3 紀平梨花 日本 125.41 69.39 65.19 4.20 57.02 7.07 6.96 7.25 7.04 7.32 1.00
#7 コストルナヤ ロシア 124.43 66.17 59.04 7.13 58.26 7.32 7.07 7.39 7.32 7.32 0.00
#4 コンスタンチノワ ロシア 122.13 63.67 55.63 8.04 58.46 7.39 7.14 7.36 7.29 7.36 0.00
#2 イム・ウンス 韓国 121.55 64.32 56.72 7.60 57.23 7.36 6.93 7.18 7.11 7.18 0.00
#4 荒木菜那 日本 120.02 66.82 59.71 7.11 53.20 6.82 6.57 6.54 6.71 6.61 0.00
#3 パネンコワ ロシア 119.15 65.49 59.17 6.32 55.66 6.96 6.79 7.00 7.04 7.00 2.00
#7 紀平梨花 日本 119.09 65.04 65.69 -0.65 56.05 7.21 6.93 6.82 7.07 7.00 2.00
#1 グリャコワ ロシア 117.96 63.05 57.98 5.07 55.91 6.96 6.57 7.14 7.14 7.14 1.00
#7 ユ・ヨン 韓国 117.28 63.61 58.30 5.31 54.67 6.86 6.64 6.82 6.89 6.96 1.00
#2 山下真瑚 日本 116.55 59.44 55.25 4.19 58.11 7.39 7.00 7.25 7.36 7.32 1.00
#7 荒木菜那 日本 116.43 62.32 58.21 4.11 54.11 6.89 6.68 6.71 6.79 6.75 0.00
#7 キム・イエリム 韓国 115.42 64.98 58.54 6.44 50.44 6.39 6.07 6.43 6.32 6.32 0.00
#3 エミー・マ 米国 112.70 56.68 52.09 4.59 56.02 6.75 6.75 7.11 7.04 7.36 0.00
#6 笠掛梨乃 日本 111.55 58.31 53.63 4.68 53.24 6.96 6.50 6.71 6.64 6.46 0.00
#5 山下真瑚 日本 110.53 56.24 52.28 3.96 54.29 6.96 6.57 6.86 6.75 6.79 0.00
#2 タラカノワ ロシア 98.99 49.91 53.54 -3.63 52.08 6.93 6.46 6.18 6.61 6.36 3.00
参考
*1 コストルナヤ ロシア 121.36 69.09 60.79 8.30 52.27 6.42 6.33 6.77 6.58 6.67 0.00
*2 グバノワ ロシア 133.77 71.27 60.22 11.05 62.50 7.71 7.64 7.96 7.82 7.93 0.00
*3 本田真凜 日本 133.26 70.68 60.38 10.30 62.58 7.96 7.54 7.93 7.75 7.93 0.00
*3 ザギトワ ロシア 138.02 75.81 64.01 11.70 62.21 7.75 7.54 7.82 7.89 7.89 0.00
*1 '17 (国内)モスクワオープン
*2 '16 JGPファイナル
*3 '17 世界ジュニア




JGP Italy SamodurovaJGP Italy Samodurova
サンクトペテルブルクの不死鳥ソーニャ、「私、失敗しないので」のタノラー。バイタル安定しています。

JGP Italy KostornaiaJGP Italy Kostornaia
モスクワの王女。エテリの生徒たちはそれぞれ滑りの特徴も個性も違う。しかしどの選手もジャンプの入りと出、ステップを見るのが楽しい。

JGP Italy Rika Kihira
日本のエース・紀平梨花。ジャンプだけでなくオールラウンドプレーヤーに成長した。ショート、フリーの両方とも完璧な演技が見たい。いちおうバイタル正常です。世界ジュニア優勝が期待される。

JGP Italy Nana Araki
荒木菜那は2試合とも180点台。安定した実力を発揮し、成績にムラがなくなってきたのか。全日本ジュニア、世界ジュニアなどで活躍が期待される。善徳女王の青い衣装も映える。美姫が二人目のコーチとしてキスアンドクライに座る日は来るのか?


ほぼ毎週続いたJGP7大会が終わった。しかし「三度の飯よりフィギュアが好き」というほどでもないので、2週に1度くらいがちょうどよい。結果はともあれ日本時間の深夜早朝に行われる試合観戦は一段落した。
フィギュアファンにとっては今週末から始まるシニアのグランプリシリーズがメインイベントとなるが、アリーナ・ザギトワ選手を応援しつつ、すこしゆっくりテレビ観戦することにしよう。