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アテネ民主政体への道 2 クリステネスからぺリクレス・民主政完成

2014-01-25 22:07:37 | ヒストリアイ
アテネ民主政体への道 1 ソロンの改革~資産政開始までから続きます



古代アテネの繁栄期、主要産業は農業ではなかった。
山岳地帯が多い立地であったため農業には向かなかったのだ。
特に欧州の主要穀物である「小麦」が採れなかったのは大きな痛手であり、
人口が増加するにつれて食糧安保上の問題が浮き彫りになってきた。
ワインやオリーブはとれたがそれでは十分なカロリーが得られないのだ。

しかし、災い転じて福となす。

オリーブオイルやワインの輸出を行うことの見返りに、
海外から穀物供給を受けることが出来るようになった。

さらに、その過程で輸出を行う為に必須である「陶器」の生産技術も向上、
オリーブオイル、ワイン、陶器という三種の神器を前面に押し出し、
商業通商国家として地中海南部の雄・カルタゴと激しい経済戦争に突入していた。

そういった背景の中で、
アテネ商人の影響力と所得は右肩上がりとなっていった。
しかし、「アテネの資産政」においては「農業所得の多寡」が「参政権の大小」となっていたため、
海外との交易活動でどれだけ所得をえても「政府要職」につくことはまかりならなかった。

これではアテネの商人が頬を膨らますのも当然だろう。
彼らには交易によって食料を輸入しアテネを支えているという自負がある。
だが、アテネでは彼ら商人に参政権が与えられなかった。

あくまでも大土地所有者が我が物顔でのさぼるアテネに商人たちの不満が充満していた。

その状況を一変させたのが、
「クリステネス」だ。

クリステネスは「農業所得だけでなく商業所得も資産政の対象にする」
つまりは「商業活動によって富を得たものも政府の要職に就くことが出来る」
というように制度改変を行い商人の地位を名実ともに押し上げた。

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貴族政 <ソロン> → 無政府状態 <ペイシストラトス> → 独裁制 
→ <クリステネス> 第一次民主政 → ペルシア戦争 → <ペリクレス> 第二次民主政
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
こうして、商人の不満を取り除いて民主政が開始されたアテネだったが、
大きな問題が残っていた。
――
貴族階級 大土地所有者  参政権・被参政権あり
商人階級         参政権・被参政権あり
平民階級 小土地所有者  参政権あり・被参政権?
―――――
平民階級に事実上の被参政権が無かったのだ。
どういうことだろうか?

公務員といえば現代の日本では給料を貰っているのが当然だが、
当時のアテネでは「無給」のボランティアだったのだ。

無給では食っていけない。
アテネでは農地の貸借料収入など何らかの「不労所得」をもっていなければ公務員に就くことは出来なかったのだ。
小さな土地を耕して日銭を稼ぐのがやっとであるアテネ平民階級は、
名目上は公務員になれるが公務執行中は無給となりオマンマが食えなくなるため、
実質的には公務員への道が閉ざされていたのだ。

その状況を「ペリクレス」が一変させた。

「公務員を有給にしたのだ」

上述したクリステネスの「商業所得も所得として勘定する」しかり、
「公務員有給制度」しかり、
至極当たり前のことをやっているだけのようにおもえる。

しかし、
空前に例がない「民主政体」というものを暗中模索していたギリシャ・アテネでは、
何もかもが新鮮であり画期的なチャレンジだったのだ。

「公務員有給制」の導入により、
商人に引き続き「平民」にも公職への道が開かれた。

たとえ「軽装歩兵」として最低限の「軍役の義務」しか果たしていなくても、
国政にうってでる「権利」を有することとなったのだ。

こうして、
政治における「権利」と「義務」がしっかりと繋がりアテネの民主政は「クリステネス」から「ペリクレス」のもとで大いなる繁栄を享受していくことになった。

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貴族政 <ソロン> → 無政府状態 <ペイシストラトス> → 独裁制 
→ <クリステネス> 第一次民主政 → ペルシア戦争 
→ <ペリクレス> 第二次民主政

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