アルバニトハルネ紀年図書館

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『やじろべえ』第1巻/山川あいじ

2011-05-24 | 少女漫画
 
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あたしはずっと
誠司のうしろを
歩いてきたんだ


血の繋がらない父と娘、市川誠司(せいじ)と葉瑠(はる)を中心に、人々の交わりや縁を描く作品。
物語は、誠司の祖父の葬儀で幕を開ける。葉瑠の母は彼女が5歳だった10年前に他界しており、葉瑠は自分たち親子が市川の家からどう思われているのか、誰かがいなくなることや何かがなくなることの意味を考え始める。

人や物が「存在」することの意味や、誰かが発する「言葉」の持つ力のような物を、とても大切に、愛おしむように描いた、たまらなく美しい漫画だ。
知らない人との出会いや久しい人との再会を通して、「思い出」の中にいる人への気持ちが募る様や、誰かを思う形にも色々あること、多様な「家族」の在り方を人々は知っていく。父と娘と彼らを取り巻く人々の日常は劇的な物ではなく、時に淡々と、時に詩的に描写され、何より「綺麗」だ。
この漫画の魅力は心が躍るような面白さでもなく、心震わすような激しい感動でもなく、穏やかに温かに、心に静かに深く沁み入る「美しさ」だと思う。正直なところ言葉にしにくい。

葉瑠がやり場のない苛立ちから「ムカつくなー…」と口にし、誠司の寝言を聞いて携帯の辞書を使い、ムカ(無価)とはママのことだと新しい言葉を知る所、いらないモノなんてウチにはないと言い張る誠司が川端の言葉に言いくるめられる所、昔いた家に戻った凡太の部屋を、葉瑠が「たぶん家の中で1番いい部屋だよね」と言う所、千絵さんがにらめっこ(?)で葉瑠に負ける所など、好きな場面を挙げればきりがない。「誠司の好きなモノ」だという理由で葉瑠がポラロイドカメラを譲り受けたように、人が人を大事にする形には愛や恋のような分かりやすい物ばかりではなく、もっと深く、行為や言葉に現れない物もある。
読み返す度に満たされたような心地よいため息をつく。なぜこの漫画が好きなのかと問われれば、私は「綺麗だからです」としか書きようがない。読み終えた時の気持ちは、綺麗な風景を見ている時の物に似ている。巻数が進めば、もう少し具体的な感想が書けるかもしれない。


第1話扉カラー(別冊マーガレット2010年12月号)


第2話扉カラー(2011年1月号)



お薦め度:★★★★★


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