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『いとしのニーナ』第1巻~第2巻/いくえみ綾

2011-07-24 | 少女漫画
 
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今年は、いくえみ綾作品をもっと読むぞと目論んでいます。
何から読もうか迷って、まず手に取ったのがこの第1巻。面白くて面白くてたまらずに、翌週また第2巻を買いに本屋へ走りました。この漫画は全4巻で既に完結していて、私の懐具合ではあとの2巻を揃えるのは来月になりそうです。

物語は、押川正行(マサ)から外山厚志(あっつ)への、青田新名(ニーナ)を「拉致った」という衝撃的な告白で幕開けする。二人は小学校からの仲で、通学電車で一緒になる清流学園の女子に憧れながらも声をかけられずにいた、いわゆる「女子と接点のない男子高校生」。マサが親からあてがわれていたアパートの一室に「あこがれのニーナ」は縛られて監禁され、恐怖に震えていた。マサが一人で犯行に及べるはずもないと疑う厚志、二人の男を口汚く罵るニーナ。この三人の激しい言い争いのさなか、黒幕である牛島がアパートに向かっていることを告げる着信があり、厚志の機転でニーナはその晩の内に逃がされる。しかしリーダー格の牛島に脅されていたマサは、翌日から厚志からの着信を拒否してしまう。

マサの「拉致・監禁」という犯行は、厚志が、いつもニーナと一緒にいる女の子・麻美(まみ)に電車の中で詰問されたことにより、マサを操っていた牛島を含めた数人だけが知るところとなる。厚志は麻美に一部始終を白状し、逃げずに新名に向き合えと、自分の「友だち」が傷つけた女性の家に引きずられる。
ニーナと再び対面した厚志は、玄関先でなけなしの金で買わされたケーキを顔にぶつけられ、罵られ、牛島の魔の手から自分を守ることで責任を取れと命令され、彼女を守ると決意する。ニーナが言った「バカだネ」という言葉は、厚志の胸の中で何度もこだまする。

悪夢にうなされ眠れない新名は、麻美以外には何があったのか言えずに、保健室の先生に冗談混じりに睡眠薬の入手方法を尋ねる。厚志は、体育館で牛島に暴行され、拉致・監禁されたニーナの恐怖が如何ほどの物だったか、形は違えど身につまされる。


第2巻。


牛島という「悪」は学校からは消えたが、この世から消えたわけではなく、厚志は自分は「善」なのかと自問自答する。捕まらないと安堵したマサは、厚志も呆れるほど醜く太る。厚志はマサに「偽善者」と呼ばれ、更にニーナに鋭い質問をされたことで腹をこわす。しかし別れ際、ニーナは厚志に、彼が守りたいと願う「本気の笑顔」を初めて見せてくれた。
厚志は己が常に抱いていた「うざい」という感情と決別しようと行動を起こしたことでマサと和解できるが、ニーナの心の不安定さは形を変える。ニーナの「私を無視したら許さない」という、ボディーガードである厚志から一切のプライベートを奪うかのような拘束の言葉。しかし「助けてぇ!」という電話を受けて厚志が駆け付けると、ニーナは「ちょっとしたイタズラ」だったとふざけた笑みを浮かべた。


お薦め度:★★★★☆

既に完結している漫画なので、最後まで読み終えてからブログを書きたいけど、第1巻を読んだ時点で私は心奪われました。
ヒーローであろとうすることは「善」とイコールではないが、厚志は「何もしないよりはマシ」な選択を続けるしかない。許しを請うことに全身全霊を捧げれば、厚志は傷つきもし、浮かれもするが、「『正しいこと』を言ってしまう」という自己嫌悪にも陥る。
厚志を「ふつうの人間」と呼んだ時のマサの醜い嫉妬は、怖いほど生々しく、「ふつうの人間」であることを責められているような気持ちにさせられる。

そして物語とは別に、作者の「言葉」の使い方が際立って上手いという魅力を私は感じています。(これは他の作品にも共通する)
「キモい」「うざい」といった言葉は薄っぺらな「若者言葉」などではなく、それを使う当人にとって、時として彼らの感情の全てが込められた、重みのある言葉となる。「キモい」「うざい」「ふつう」といった形容詞には多種多様な意味があり、少なくともこの漫画の登場人物はこれらの言葉に、その時々の違った感情を込めて使い分けている。日本語を巧みに使いこなす作者のユニークな才能に、ただただ感服させられます。


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