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『星になる日』/鈴木ジュリエッタ

2012-02-05 | 少女漫画
 
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見てたんだ
ハルは見てたんだ
こうやってるサイテーな私を見てたんだ……
一年間も土に埋められて…
きっと もう腐ってる…!!
そんなの柿原君にっ
今更何て言って返せばいいんだよ!!

(上野桃香)



 平成16年から17年にかけての、鈴木ジュリエッタ先生のよみきり6本を採録した短編集(こういう作品を産み出す作家のことは、敬意を表してきちんと「先生」という敬称を付けて呼びたい)。
 採録されているのは、完全に異世界が舞台の作品と、少し非日常(ファンタジー)の混ざっている作品。登場人物たちは、寂しく内向的で、どこか「人間の世界」という「現実」から距離を置いている所があるけれど、それはいわゆる「現実逃避」とは違う。むしろ逆に、一旦現実から離れることによって、現実の素晴らしさを知って、それにきちんと向き合おうとする。だから、読み終えると元気に、前向きになれる魅力がある。

 この魅力は、例えば小学生の頃に具合が悪いとウソをついて学校をズル休みしたり、中学や高校生時代に授業をサボった時のような、少し後ろめたさのある心地よさに似ている。こういう、一日だけとか期限付きの、やましさを含んだ「休息」というのを、身に覚えがあるので私は否定しないし、それは絶対的に「悪いこと」ではなく時には「必要なこと」だと思う。(そもそも、人生に於いて一度も授業や仕事をズル休みしたことのない人などいないはずだっ)。それどころか、ちょっとだけ「普段とは違うひととき」を味わうことによって、再び現実に向き合うための活力になる。

 恋が実ったり、全員が救われるような結末ではないのに、やはりこの世という「現実」は困難であっても素晴らしいと感じさせてくれる。別の表現で言い換えれば、この本は鈴木ジュリエッタ作品の「優しさ」に満ちている。教師や上司や世間という物は、概して私たちに「ちゃんと生きなさい」と命ずる。ところがこの本に採録されている作品は、「24時間365日、常にちゃんとしている必要はないんだよ」と、甘やかすことはせずとも穏やかに肯定してくれている。そういう「優しさ」に満ちている。



お薦め度:★★★★☆


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