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『Star man』第1巻/片山あやか

2011-08-07 | 少女漫画
 
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そいつって 人類をバカにしてるし
女の子はべらして見せつけるし
人の迷惑とか都合はおかまいなしだし
イメージは緑だし…
基本的に変な生き物なの

(雪野由起子)



 別マsisterで読んだ『クリアスカイ』をとても気に入ったので、受賞作を採録した単行本を買ってきた。
実は『Star man』という漫画の「3作目から始まった短期連載」は別マ誌上で読んでいたものの、受賞作である最初のよみきりは、それが掲載された平成20年に私はまだ別マを買っていなかったので、未読だった。単行本で一作目から読めたことで、「実はこんなに面白い漫画だったんだ!」と、ようやく気付いた。

 もちろん一般論に過ぎないが、「ギャグ漫画を描く漫画家」というのは、生きることに対してとても真剣な人々である。深い教養と人生に対する真摯(しんし)さ、きちんとした哲学を持つ人でなければ、「腹の底から笑えるギャグ」という物は描けない。そして片山あやかという漫画家は、そういう「人生に真剣に向き合う漫画家」の一人だと思う。

 この漫画は、異星人であるマ・メオが、両親が留守がちである雪野由紀子・由紀夫の姉弟の家に突然おしかけてきて始まる。「不法侵入!!」と取り乱す由起子に対して、自分は呼ばれたのだとマ・メオは言い返し、冒頭から二人の言い分は噛み合ない。豆しか食べられないマ・メオは、朝食として差し出された納豆を一口食べて、あまりの不味さに吐き出してしまう。
この朝から、由起子が日頃から抱いていた苛立ちや怒りの矛先は、全てマ・メオに向けられる。ところがマ・メオは「地球人の常識」など持ち合わせていないので、全てをバカにしたような態度で受け流してしまう。
好感は持てないのに気になる存在がいるという理由で、由起子が「地球人の男の子」からの告白を断った日の夜、マ・メオは由起夫から手渡された大豆を手に、自分の星へ帰ってしまう。そして、この騒動の発端である由起夫が「戻ってくんなら今だぜマメヨ!」とつぶやいた晩、宇宙船は、
あさま山荘の壁を破壊した鉄球のような勢いで二階の由起夫の部屋に突っ込んで戻ってくる。

 こうしてマ・メオが雪野姉弟の家に戻ってきたことにより、「地球人の常識」を笑い飛ばしてしまう非常識な日常が始まる。母星の食料難を救うための調査という、本来の使命を放ったらかして、マ・メオは由起夫と世界中を遊び回ってしまう。由起子は、このままでは弟はダメになると心配する。
 賃金は労働の対価として得る物である、絶滅危惧種は保護しなくてはならない、スポーツに於いてはフェアプレーが要求される…。そういう「地球人の常識(あるいは良識)」をマ・メオはことごとく覆してしまう。「死ぬことが何故そんなに怖いのか?」とからかうブラックユーモアもちらりと顔を出す。
それらは「真面目に生きること」を否定する物ではなく、実は「常識」という枠にとらわれないことで、かえって人生に真剣に向き合えるという発想がその根底にある。


本誌連載第1回のカラー扉(別冊マーガレット平成21年2月号)



お薦め度:★★★★☆

 眉間にしわを寄せて悩んだり怒ったりしている人は、確かに真面目に生きている。しかし「笑う」という行為は怒ることより大切だという、当たり前のことに、由起子は知らず知らずの内にマ・メオの常識外れの言動から気付いていく。この漫画は、「怒りながら真面目」に生きていた由起子が、「笑いながら真面目」に生きることを知っていく漫画だ。
平成21年6月号掲載の5TH IMPACTで「一旦、最終回さ。」となっているけど、いつか続きが描かれたら嬉しい。


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