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『ゴルゴ13』第162巻/さいとう・たかを

2011-10-25 | 青年漫画
 
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……歴史を暴くのではなく、
彼らが最も大切にしている家族への思い出を届ける事が、
俺の…
責務なんだから……

(溝口浩樹)


 ここ最近、『ゴルゴ13』という劇画に対する私の印象は、少し変わりつつある。以前ブログに書いたように、私はこの作品を、「ロマンチックな漫画」だと感じるようになった。
 政治、経済、歴史、世界情勢など、様々な物が絡み合って構築された物語は、「ゴルゴ13」と呼ばれる架空の狙撃手を(陰の)主人公に、多様な人間模様を見せる。神業のような狙撃や迫力のある命のやり取りが描かれ、時には想像を絶するような技術が登場し、国や政治家や、あるいは何の権力も持たない個人が、誰かを殺そうとしたり何かを企てることで物語は動き出す。しかし、この漫画の根底にある物は、「人間」というロマンチックな生き物が抱く、様々な「思い」だ。


『ノモンハンの隠蔽(いんぺい)』
 表題作。精密機械の会社の社長である溝口浩樹は、病床の父から、遺産を相続する条件として、父の戦友に会い、ある「遺品」を探し出すことを命じられる。戦争を「過去」の物と考え、「ノモンハン」の正確な位置も知らない溝口は、会社を立て直す資金を手にするために、父のかつての部下と共にフィリピンへ飛ぶ。
 溝口は、父の部下であった来栖(くるす)の物言いや価値観に、まるで共感できず、「年寄りの懐古趣味かよ」と、彼が語る昔話に辟易とする。しかし、フィリピンの山奥でゲリラに襲われ、「ノモンハン事件」と呼ばれる物のもう一つの面を知り始め、「過去の選択」が戦後の地位を左右したと言った老人の言葉の意味を、徐々に理解していく。
 遺品の埋められたノモンハンの地で、二人を消すために現れた車輛の音を、「ソ連の戦車」の物と来栖は聞き間違え、二人は死の恐怖におののく。その車輛は、かつてソ連軍が日本軍の戦車部隊を立ち往生させた物に似た手口で返り討ちに遭う。生きながらえた溝口は、六十六年前の真実を知るが、自分に求められているのは歴史を暴くことではないと、祖国のために戦った老人の亡骸を抱きかかえて日本に帰る。
2005年10月作品。


『海の鉱山』
 彼は、スペイン政府の要人を名乗る者からの依頼で、ETAの幹部だと教えられた工場長、ジェロームを消す。死体の内ポケットからは、「ジェローム&ドーニャ」と書かれた封筒が見付かる。
 結婚を約束した男に捨てられたと、悲しみの中でストリッパーを続けるドーニャと接触して、彼は自分が殺したジェロームの正体を探り始める。かつてドーニャは、恋仲にあったジェロームに魚料理を振舞ったが、彼はバスクの地で、パスワードの解読を手伝う女性が注文した魚料理に口を付けない。彼は養殖場を自分の目で見ることで、金属会社がタイヤ工場の営業を妨害した行為に疑問を抱き、音波による盗聴をする。室内では蓄音機からワグナーが流れている。
 嘘を吐いた依頼人に、背後からの声が有罪(ギルティ)を告げる。最新式スピーカーよりはるかにリアルに人間の声を再現する、旧型の共鳴箱に欺かれ、嘘を吐いた依頼人は報いを受ける。そして償いの込められた匿名の入金により、ドーニャは、ジェロームは逃げたのではなく真に彼女を愛していたのだと知って涙する。
2006年1月作品。


『鶏は血を流す』
 南アフリカの、ナミビアとの国境近く。二人のかつてのエリート軍人は、今は落ちぶれて、この地で傭兵を育てている。傭兵になる以外に仕事のない村では、若者達が鶏のように扱われ、武器を使わずに人を殺せる「サンボ」を仕込まれていた。ロシア人指導官の命令に従わなかったことで、のけ者にされたリコは、代理で来た東洋人の傭兵を家に泊める。その男は、食卓で一言だけ印象的な言葉を口にし、アンゴラのダイヤ鉱山の警備の仕事を仕切る。
 初仕事を与えられたリコは、真相を知ったロシア人指導官が、東洋人の傭兵に殺される現場に居合わす。殺人の目撃者となった少年は、自分は、勇敢な父の息子なのだと言い聞かせ、傭兵としての任務をやり遂げようとして、男に戦いを挑む。
2005年6月作品。



お薦め度:★★★★☆



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