アルバニトハルネ紀年図書館

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『燈港メリーローズ』第1巻~第2巻/都戸利津

2011-10-03 | 少女漫画
 
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あんたの…
燈港の何を信用しろと言うんだ!!
言い掛かり 嘘 イカサマ
人と話すのでさえ命懸けだ!!

(アゼリア・ブラックネル)


 とても面白くて大好きな漫画なのだけど、なぜかブログに感想のような物が書けずにいた作品。一つ言えるのは、この漫画はおそらく「大人」が読者となることを想定している。税込み420円で買える"花とゆめCOMICS"ではなく、一回り大きいB6サイズの"花とゆめCOMICSスペシャル"として刊行されているのも、そういう理由からかもしれない。(最近の小中学生のお財布事情を私は知らないが、自分が小学生だった頃に360円だった単行本の価格が、100円を超えて上回っていたら、小学生の私は「この漫画は自分には買えない」とあきらめていたと思う)。

 極めて恣意的な解釈をすると、この漫画は「束縛」の対(つい)となる物を、登場人物が知っていく様を描いている。家や制度という物に縛られていたアゼリアは、慕っていた家庭教師・エドガーを追って燈港(トウラン)へ渡る。束縛からの「解放」と、辿り着いた先で待っているはずの「夢」に焦がれていたが、法律が機能せず東西の文化が衝突する燈港で、アゼリアは(漠然と)求めていた物ではなく、「危険」や「欺き」ばかりに遭遇する。彼女が生まれ育った法治国家での常識や良識は、ここでは通用しないどころか、付け込まれる「弱み」にしかならない。 
本国では「束縛」の代償として「秩序」が存在し「安全」が保証されていたが、燈港では「自由」の代償として「危険」が付きまとう。冒頭に引用した言葉は、何を信じれば良いのか分からなくなったアゼリアが、目の前のオーガストに言った台詞。それに対してオーガストは、命と引き換えにアゼリアの信用を得ていく。

 「鉄十字(てつじゅうじ)」と呼ばれる監獄でアゼリアが対峙した黄(ウォン)は、エドガーの死と、彼の死を自分が利用するつもりだったことを、何の感情も交えずに告げ、アゼリアを、悲しむこともできない絶望へと突き落とそうとする。アゼリアが燈港に呼び寄せられたのも、黄の策謀の一部であったことを彼女は知るが、この地を踏んで最初に取った手が、黄の物ではなくオーガストの物となった紙一重の偶然に、安堵し感謝する。
「5日前 手を取ってくれたのがあなたでよかった」
そして笑ってはぐらかすオーガストに対して、燈港を気に入ったのではなく、「これから気に入りたいんだっ!!」と言い返す。



 オーガストは「嘘」を巧みに使いこなしながら、燈港という名の「無秩序」をかいくぐっていたが、ある時を境に、彼の元に鉄十字の情報は入らなくなる。それでもオーガストは、彼女がいなければ今の自分はいないのだからと、命を賭してアゼリアを守り続ける。守られるだけの存在でいたくなかったアゼリアも、彼女のあずかり知らぬ所で、オーガストの命を救う。それを言葉にしないオーガストの「誓い」のような、命懸けの思いは、とても深い。


第壹話見開きカラー(別冊花とゆめ平成22年10月号)


第伍話扉カラー(平成23年3月号)



お薦め度:★★★★☆


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