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『ロンドン・ヴィジョナリーズ』第1巻/山田睦月・大木えりか

2009-12-09 | 少女漫画
 
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ロンドン橋が落ちる時……
この都は新たな支配者を迎えるだろう
ケルト人 ローマ人 サクソン人………
時代の為政者を受け入れることによって
この街は成長を遂げてきた


コランタン号の航海、『水底の子供』の続編です。
カンペール伯アンリを保護し、ロンドンに帰還したコランタン号。ベシャール大佐はあの艦が動きを封じられている今こそ、ロンドン橋という「楔(くさび)」を抜きこの街を押さえるまたとない機会だと笑う。
海軍省に出頭したマードックは、存在しないはずの、第十三書記官プリチャードに迎えられる。そしてナポレオンのロシアへの進軍が予想される今、コランタンは貴重な手駒となると聞かされる。「そこに君のような普通の海尉を乗せたものかどうか 正直迷っている」。
近頃の大半の連中と同じように、あまりにも無防備だと言われるマードック。普通であることはそれだけで危ういかもしれない、しかし自分は我々が忘れてしまった古い力を知りたいと答えるマードック。カンペール伯の救出を依頼した、東インド会社の実力者ストラザーン男爵から「正式な」招待を受ける、コランタン号の士官全員。

手こぎ舟で上陸するマードックとウィタード中尉、道案内をするかのように舳先に乗るホレイシア。漕ぎ手と自分達以外の気配を感じるマードックに「ああ 連中も上陸休暇さ」と答える中尉。コランタンの皆は何を見て、何に気づいているんだろうと思いをはせるマードックは、他愛のない雑談から中尉の故郷がインドのボンベイだと知る。

インド風のストラザーン男爵の屋敷に招かれ、中尉はインドにご縁がと男爵に訊かれ固い表情で否定する。社交的な男爵はマードックに海尉はジョナサン・マードック商会とご縁続きではと尋ねる。兄の会社だと答えると、そこは東インド会社の贔屓の取引先だと喜ばれる。
憔悴したような男爵夫人と、名乗らなかった地味な男と囲む食卓。22年間水底の王国で暮らしていたアンリが一週間前に行方をくらましたと聞かされる。そして彼は大変なもの、男爵家の財宝を持って出たと。
食事の最中に意識を失う男爵夫人。もう一人の男に部屋へ運ぶのを手伝わされると、彼は医者で、「磁気」を使って夫人を治療する。すべての生き物は「動物磁気」を持ち、その磁気の流れに干渉することで治らなかった病気を治し、説明のつかない不可思議な現象も解き明かす、それが我々メスマー主義者の目標なのだとドクター・カロンに聞かされるマードック。

「すべての不思議が説明される……?」と興味を示すマードック、しかし事の経緯を聞いたドクター・プランケットは「今さらメスメリスムだと!」と憤慨する。三十年も前にフランツ・メスマーはフランスの科学アカデミーから追放されたはずだと。近頃、上流のご婦人方の間で流行している「動物磁気」、中尉は放ったらかしの奥方が神秘主義に嵌(はま)るのは今に始まったことじゃないと取り繕う。
コランタンにまつわる不思議も、不思議だと思っていたものも実は科学的に説明がつくのだったら安心できる? それは自分はまだコランタン号に慣れていないということなのだろうかと不安になるマードック。
先に馬車を降りたマードックは、灯り持ちをして働いていた、行方不明のはずのアンリと街頭で出会う。カスパーという黒猫がロンドンに来て最初にできた友達だと言うアンリ、彼には世界はどう映っているのだろうと思うマードック。話している内にロンドン橋まで歩いてきてしまう二人、マードックはそこで「橋が落ちるわ」と助けを求める女の亡霊に出会う。彼女に川底に引きずり込まれたマードックを助けてくれた二人は、アンリの友達で、金髪の少女ベッツィと肌の黒い少年アルジェン。レディ・リーが出てくるなんてルパートは女性に人気があるねと笑うアンリ。
孤児が盗みをはたらく朝の魚市場、マードックは女たちに無償で治療を施しているドクター・カロンの姿を目にする。自分の治療は水に満たされた磁気を使うので、テムズ河の水源の浄化が必要だと主張するドクター。そのために橋を取り壊しトンネルを掘る提案を続けていると言う。
君達にとってもロンドン橋は厄介な代物なんだねとマードックが言うと、「あんたもあの医者のおっさんと同類ってわけだ」と悪態をつくアルジェン。

陸に上がった船乗りが嫌悪されるように、アルジェンもこの町では異質なんだとため息をつくマードック。

商船がロンドン・ポートに入港し、ウィタード中尉と共に強制徴募の指揮を命じられるマードック。「見える目、聞こえる耳、動じない心」という基準で選ばれる水兵たち。コランタンの「やり方」で徴募を進めながら、中尉は東インド会社の連中はインドのことなど何も知らない官僚たちさと悪態をつく。

今だって
アルジェンや
イングランド人以外の人間は英国民だとみなされていないようなものなのだろうし
だったら
支配者がナポレオンだろうが誰だろうが
関係ないのかもしれない



お薦め度:★★★★☆
産業革命、科学の発展。それに伴い無くなっていく「不思議」となお解き明かされないモノ。
変わっていくもの、変わらないもの、今から見れば眉唾物の、19世紀の人達が信じていた科学と駆逐しようとしていた不可思議と闇。そういう世界に酔わされます。
第2巻が先月出ているので注文してあります。1月には第3巻が出るので今度の航海は長そうですね。楽しみだ!


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