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『青春攻略本』第1巻/あきづき空太

2009-12-08 | 少女漫画
 
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青春における全力疾走は
方向音痴になってもよしとする。
たぶんどっかで迷うけど


『赤髪の白雪姫』のあきづき空太さんが描く青春物。男子校の、仲良くつるむ4人が主人公の、なんという眩しい物語! 夢中で読みました。

#1は、自分の通う神山高校の隣にある桜野女子の3年生に片想いしていた伊勢崎(いせざき)の視点からのプロローグ。
ある朝、自転車のカギが見つからず歩いて登校した伊勢崎は、高い塀に阻まれた桜野高校の女生徒と目が合い、胸に何かがズバンと入る。言葉は届かず、窓越しに紙に書いて教えてもらった彼女の学年と名前は「3年 ナギセ」。決して笑わないが絶対に無視もしない彼女をいつしか好きになってしまう伊勢崎。そして同じ弓道部の倉田結(ゆい)にその想いを打ち明ける。「いっぺんあのひとと …話しながら一緒に下校してみたかったんだよ」。
すると倉田は、2月を最後に退寮したマドンナは、終業式の2月27日にもう一度学校に来ると指摘してくれる。ただし自分達の学校の期末考査と日にちが重なっていて、テストが終わって5分で桜野の正門にたどり着かなければ会えない。神山と桜野の敷地を繋ぐ渡り廊下に目を付ける伊勢崎。

倉田のことを「学年長で真面目で俺らと一生麻雀囲みそーにない奴」だと思っていた上村と野上は、渡り廊下の鍵を盗んで矢で射って届ける無茶をした彼を見る目が変わる。
門を突破してナギセと対面が叶った伊勢崎は、自分を絶対に裏切らない倉田に礼を言う。


#2は倉田にスポットを当てた、高校3年最後の夏のお話。第1巻には『青春攻略本』は#1〜#3の3話が採録されているんですが、この中で一番眩しいです。
弓道部の引退試合を終え、「進路」という漠然とした閉塞感にとらわれる伊勢崎。渡り廊下の一件で、倉田が実は自分好みの奴だと2年の最後で知った上村と野上は、それ以来「倉田ブーム」。高校生活最後の夏に「なんかしねえと!」と騒ぐ3人、伊勢崎といた事は多くても他の奴らとつるんできたわけじゃないと冷めている倉田。伊勢崎は「大事だろ 倉田!」と訴えかける。
考えたことのなかったことを指摘された倉田は、親戚から夏休みの間の民宿の手伝いを頼まれる。友達も何人か連れてこいと言われ、緊張しながら伊勢崎を誘う。目を輝かせて行くと即答する伊勢崎。

しかし上村と野上が同じ日に桜町の花火大会で集まろうと話していたと知った倉田は、「いいよ伊勢崎!」と伊勢崎にそっちへ行けと引いてしまう。そんな倉田を、最後の夏に揃って思い出を作ろうという時にお前がいなきゃしょうがないと怒る伊勢崎。
「でもお前 1人でいる時絶っ対 俺らの事思い出すからな!!」。
勢いにしてもこんな恥ずかしい台詞を口に出来てしまう伊勢崎がすごい。友達に面と向かって「俺はお前が好きだ」と言ってるのと同じで、考えようによっては女の子に告白するより恥ずかしい言葉ですよ。
そして一人で民宿で勉強していて、目が覚めたらそこでも花火をやっていたと知る倉田。「いつか将来のどこかで この夏の事を思い返したとして その時の自分に もったいないとは言わせない」と走り出す倉田。民宿まで倉田を追いかけてきた3人。友達のことを「友達」と言葉にする、あまりにも照れくさくてあまりにもかけがえのない気持ちですね。


#3は上村直貴(なおたか)の最後の夏。8月31日を絶対に無駄にしたくないという上村は、蕎麦屋の看板娘ハルさんに片思いしている。出前を届けに来たハルさんに、夏休み最後の日の夏祭りの案内を渡され、4人で向かう。夏の終わりの夕暮れにはいつもやり残した事があるような気がすると言う上村は、ハルさんに告白しろよと背中を押される。
上村は意を決し、4人は「4班」に分かれてハルさんを捜す。携帯の電池が切れた上村のために伊勢崎たちが放送で伝えた言葉「目標 青春シチュエーションフォーメーションBだ!!」。
野上が考えた、自分達だけに通じる放送の意味を理解して、上村は倉田と合流して教室へ全力疾走する。
上村の告白に対するハルさんの返事がかわいい。


連載を追っていないので続きは知らないんですが、#4は野上のエピソードでしょうか。
#1も#2も#3も必ず「走る」シーンがクライマックスなので、#4でも野上が走ってくれるといいですね。


併録の読み切りは『ララDX』平成17年1月号掲載の『冬ほどき』。
気管支が弱く、中学2年の時から藤沢岬(ふじさわみさき)に世話になっていた関和成(せきかずなり)。
弱さから自分の気持ちを伝えられず、藤沢との距離を守ろうとしてきた関。
「冬の寒さ」とか「人の体温」を人一倍感じてしまう様がなかなか良かった。


お薦め度:★★★★☆
「たった一度の青春」というテーマが眩しく伝わってきて胸一杯。
正に「全力疾走の夏」。


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8 コメント

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Unknown (Jing*3)
2009-12-08 19:32:49
青春は、二度と帰らない。
帰らないんだなあ(泣
青春 (Wrlz)
2009-12-08 21:27:59
>Jing*3様

帰りませんね(笑)
まあ今さら帰ってこられても困るけど。
青春攻略本 (とのすけ)
2009-12-09 00:31:17
今日書店で見かけて気になったのですが、本当に面白そうですね。
爽やかな青春ものはもちろん好きなのですが、話によって視点が変わるというのにも惹かれます。
わかりやすいタイトルもいいです(笑)
これは・・・ (さっとん)
2009-12-09 09:23:04
ご無沙汰してます!

あきづきさんの名前に釣られてみましたw
これはマストバイですね!
昨日本屋で見かけなかったから・・・
また注文か(汗)
あきづき空太 (Wrlz)
2009-12-09 09:38:41
>とのすけ様

すごくいいですよ! あきづきさんは新人でまだ拙い部分も目立ちますが、お話が眩しいんですよね。『赤髪の白雪姫』とは違った魅力があります。
「青春攻略本」というタイトルはあきづきさんがいつか使いたいと思っていた物だそうです。
買い (Wrlz)
2009-12-09 09:44:39
>さっとん様

マストバイですよ!
私は高校が男子校だったので余計に共感できました。あの頃は馬鹿だったけど一生懸命だった(笑)
あきづきさんはまだ「無名」だから書店に並ぶ冊数は少ないと思います。
無名ですか・・・ (さっとん)
2009-12-16 04:36:21
案の定本屋にはありませんでした(汗)

ああっ、いつ手に出来るのやらw
ララ (Wrlz)
2009-12-16 09:54:33
>さっとん様

同じ白泉社でも、『花とゆめ』に比べて『ララ』『ララDX』は意外と読まれていないような気がします。
立ち読みができるかできないかでも大きく違ってくるんじゃないでしょうか。花ゆめのほうでデビューしていたらあきづきさんは今頃もっと売れていたと思います。

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