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『超人ロック 嗤う男』第3巻/聖悠紀

2011-08-01 | 青年漫画

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気に…入ったぜ
作ってやるよ その化け物を
死んでこいや!

(ガービッツからヴァン・ベイルへ)


 「格差」を描いているのかと思ったら、この漫画は更に悪らつな「野望」という物にまで踏み込んでいる。格差も妬みや野望を生むが、「弾圧」は死をも厭(いと)わぬ究極の「野望」を生む。ウーツェイは「時代は変わる」とうそぶくが、ヴァイやジャックのような根っからのレーサーは、到底それを受け入れられない。

 ムラード・ハンセオ博士を迎えたギボンズ研究所は、来年からレースの冠スポンサーになるアマダに全ての研究員を殺害され、研究所も全焼してしまう。「エスパーコントローラ」の復元に不可欠な存在であるハンセオ博士は、連邦軍でさえ陥落させられなかった「要塞」へ移送される。そして、エア・バイクのライダーという「奴隷」を競争させる番組をプロデュースするキャラハンは、大企業が警察に圧力をかけて隠ぺいした大量殺人に気付いていながら、自分の仕事は「正義」を行うことではないと嗤(わら)う。彼の友人も、自分の仕事は真実を届けることなので「正義」は行わないと嗤う。
ロック・ヴァン・ベイルはマトリクスの移し替えによりミリアムの死を偽装し、メカニックのガービッツに一台のエア・バイクを作ってくれと頼む。そのエア・バイクは、超能力を使わずに2.5秒で時速300kmに到達する性能を求められる。それを聞き、ガービッツはヴァン・ベイルを気に入ったと、冒頭の言葉を言って嗤う。

 この漫画には、国家の転覆を企む者、奴隷売買による収益にしがみ付く者、傍観する者、そして弾圧されたままでは終わらぬと、命を賭して野望を抱く者がいる。しかしヴァン・ベイルは、何世紀も昔のマイノックで善政を施した、セテ・マイノックの姿で現れる。それはウーツェイらが計算ずくでアレクサンダー・ヴァイをヒーローに仕立てたように、人々を煽動する英雄もまた、作られた「虚像」に過ぎないことを意味するのかもしれない。国家が崩壊する危機や過渡期に、権力者でも大衆でもない、「嗤って」いる第三者がいるのだと描く作品になりそうで、鳥肌が立つ。


お薦め度:★★★★★


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