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『超人ロック エピタフ』第4巻(完結)/聖悠紀

2009-12-03 | 青年漫画
 
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シリーズの大半を占める、「本伝」と呼ばれる『超人ロックサーガ』の中での、現時点での最高傑作と言えます。『少年キング』時代に聖先生が描ききれなかった、銀河帝国混乱期のミッシングピースが埋まっただけでなく、ブリアン・ド・ラージュという、帝国を支えた一人の天才が生涯拭えなかった不幸に涙が止まりませんでした。

即位してハラルド帝となった元マイノック公テレーズの助けを得てサイバー船計画を探るブリアンとラミー。カール・ダーム帝(カル・ダームI世)の反対を押し切って開発されたサイバー船の一隻が、お前たちが海賊なら「取引」をしたいとブリアンに交渉を持ちかける。その指揮艦の脳が、自分のために死んだファリスの物だと確信するブリアン。帝国軍のマツエール大佐が引き連れてきた強襲部隊、大きくなったら海賊船の船長になってブリアンを副船長にしてあげると言ったファリスの脳で動いているその船は、不適格品と見做され味方の艦隊に特攻して大破する。「ぼくのために2回も死んだ」と慟哭するブリアンに、「それだけ自由だってことでしょ?」と笑って死んでいったファリス。

年表で確認すれば自分の勘違いは一目瞭然だったのですが、私は長い間、「目」だけの皇帝を前にブリアン・ド・ラージュ第一大臣を含む閣僚達が閣議を開く『魔術師の鏡』をカル・ダームIV世の時代だと思い込んでいました。「幻のような会議、幻のような毎日」を怖れ忌み嫌いSOEを再建したカル・ダームIII世が立体映像で自らを「演出」はしないだろうという先入観があったようです。実際にはカル・ダームII世の即位が宇宙歴0677年、『魔術師の鏡』が0724年、カル・ダームIII世の即位が0762年なので、ネオ・ラフノールの反乱の時、時代はカル・ダームII世の治世でした(修正前の年表ではカル・ダームII世の即位は0636年ですが、どちらにしてもネオ・ラフノールの反乱はII世の治世での出来事です)。

レナスのファリスの墓の横にある、今はもう存在しない惑星ファーゴの帝国墓地に埋葬されたはずの、もう一つの「ブリアン・ド・ラージュの墓」を前に真相を語るロック。
超能力者嫌いのブリアン・ド・ラージュがその200年余の生涯の中で三度、ロックに会っていた。
初めて会った時はマイノック軍に所属し、テレーズ・マイノック公を補佐するためにファーゴへ降り立った時。ロックはフランと名乗っていた。
二度目はその約70年後、ネオ・ラフノールの反乱の時。
20年も前に描かれた『魔術師の鏡』(ヒットコミックス、完全版ともに第21巻、ワイド版では第11巻)でのこの台詞の意味がやっと明らかに。

ブリアンが第一大臣に昇進して50年、カル・ダームIII世が公に姿を現さなくなって十数年後。暗殺未遂以来、いっさい人前に出なくなり、初めは皇帝自身の全身映像を使っていたが、やがて「目」だけに。
そして16回の若返りをくり返し、もはや自力で呼吸も出来なくなるほどに老いた今、自分の過去を知っている唯一の特別のエスパーに遺言を残すために。DNAを完全に除去した、最も心臓に近い場所のろっ骨を託されるロック。エピタフのないファリスの墓にこう彫ってほしいと。
「銀河をわたる自由の翼 海賊ファリス・チェン ここに眠る」。
老衰で意識を保てなくなるブリアンを「君の墓碑銘を まだ聞いてないぞ」と呼び止めるロック。

生涯結婚せず子供もつくらなかった、200年以上もただひたすら自分の半身とひとつになることを願っていた男の墓に刻まれた碑文は

「ファリスの半身 永遠の副船長ブリアン ここに眠る」

これが ブリアンの…
エピタフ


『超人ロック』シリーズを読んでこんなに泣けたのは初めてです。
ロックとブリアン・ド・ラージュの何代目かの孫との対話という形で語られた『エピタフ』ですが、ミコス・サイモンはド・ラージュ家の養子になった、ブリアンの従弟の子孫ということになります。


最終巻である第4巻は後半に、単行本化されていなかった『カルダームI世』を採録。
ジェノサイドの開発を巡ってカール・ダーム帝と銀河コンピューターの意見が衝突する中、前皇帝トレスはライガー教授が最初に書いたプログラム「ライガープライム」と対峙する。
トレス上皇が銀河コンピューターのキーを皇帝に渡すつもりはないと自らに毒を打ち、冷凍されてフラク・フロニ公に帝国領外へ運び出され消息不明になるという、『ソング・オブ・アース』内の短い回想の全貌が明らかになります。
カールは「希望」だと未来を託し自分に毒を打ったトレスと、ここは「殺戮皇帝」の宮殿だと叔母をさらっていったフラク・フロニとのすれ違い、「事実」こそがすべてと言い放つライガー。『失われた翼』を読んでいなければただの悲劇です。
『ソング・オブ・アース』(ヒットコミックス、完全版ともに第22巻)
『失われた翼』(第23巻)。カール・ダームの即位に関しては『メヌエット』参照。


お薦め度:★★★★★
『コミックフラッパー』12月5日発売号より新作『嗤(わら)う男』(仮)の連載が始まります。
今度の舞台は「辺境」。楽しみすぎる!


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