アルバニトハルネ紀年図書館

アルバニトハルネ紀年図書館は、漫画を無限に所蔵できる夢の図書館です。司書のWrlzは切手収集が趣味です。

『純情ドロップ』/中原アヤ

2012-04-27 | 少女漫画
 
にほんブログ村 漫画ブログ コミックス感想へ


あの舞台でおまえは輝いてた
あれはおまえにしかでけへんことや
好きなんやったら続けたら いい
いつか みんなにも伝わるやろ

(赤居から茶山へ)


 中原アヤの漫画はどれも、"YES"と奏(かな)でて全てを肯定してくれるような、素晴らしい漫画だ (私はこの作品に惚れ込んでしまっているので、「そんな大層な物じゃないよ。ちょっとセンスが良いだけのフツーの漫画だよ」と冷静な指摘をされても、耳を貸さないw)。

 はじめに、私の好きな、イエス(yes)というロックバンドのことに触れたい。CDによる再版(再プレス)が始まり、周囲でプログレッシブ・ロックが流行っていた二十年前、博識ぶりたい年頃だった私たちは、1970年代のロックミュージックから深遠な哲学を感じ取ろうとしていた。"Close to the Edge"や"Awaken"のような名曲に、高尚な文学などを勝手に重ねて悦に入っていた。しかし今になって思う。"I've Seen All Good People"や"Roundabout"の、聴いてワクワクする「楽しさ」こそが、イエスの真骨頂だったのかもしれない。ステージの上でボーカルのジョン・アンダーソンを始め歴代メンバーが、観客に最も伝えたかったのは、「音楽っていいよね。みんなで楽しもう」ということだったのだと思う。

 という前置きをした上で、中原アヤの新刊『純情ドロップ』を買ったという本題。別冊ふろくの読み切りと、その後始まった連載を読んでいた時から、私はこの漫画が大好きだ。
 ロックを聴きながら小賢(こざか)しい哲学のことを考える必要などないのと同様に、中原アヤの漫画を読みながら難しいことを考える必要はないのだ。世の中には深い漫画もあれば、難解な漫画もあるけれど、中原アヤの漫画は良い意味で、そういう物に分類されない。早希ちゃんが可愛い、赤居くんがかっこいい、そして読んで「面白かった」。誤解されるのを承知で断言すれば、それが全てである。
 時に見失われがちな真理だが、「面白い」というのは、漫画に於いて最大の価値である。

 それでも敢えて、この漫画に奥深い「何か」を求めるならば、赤居をアニキと慕う、茶山が組むバンドにそれはある。例えば贔屓(ひいき)のバンドのライブを見に行って、「深く考えさせられました」などという感想を持つ者は極めて少数だ。人は「楽しかった。見に行って良かった」と感じるために、チケットをもらったり買ったりするのだ。

 そしてやはり、中原アヤの漫画は、私の中で、イエスの名盤と同等の輝きを放っている。「過大評価だ」と突っ込まれそうだけど、「少女漫画に於ける中原アヤ」と「ブリティッシュ・ロックに於けるジョン・アンダーソン」は、私の中では多くの面で重なる。イエスの音楽が素晴らしいのは、神業のような卓越した演奏技術を持つメンバーが、「聴いて楽しいロック」を奏でていたからだ。中原アヤの漫画もまた、確かな実力を持つ作者が、「読んで楽しい漫画」を描いている所が最も素晴らしいのだと、私は思う。


第1話扉カラー(別冊マーガレット平成24年1月号)



お薦め度:★★★★☆


にほんブログ村 漫画ブログ コミックス感想へ
にほんブログ村 トラコミュ 漫画、マンガ、まんが、コミックへ
漫画、マンガ、まんが、コミック
にほんブログ村 トラコミュ 少女マンガへ
少女マンガ

【検索用】純情ドロップ 中原アヤ 1
『マンガ』 ジャンルのランキング
コメント (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« Fate | トップ | 『ビッグコミック』2012年9号 »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
めっちゃかわいいお話です (arisa)
2012-04-27 22:39:11
Wrlzっちのゆうとおり賛成
と中原アヤ至上(友に言われた)のあたしが通りますよっ・・・赤居くん最初は怖かったけど最近は
ちびっとかわいいって思ってたのに
もう会えないのは寂しい

そんな風に思えるのはアヤ先生マジック?

ビアンカの読み切り楽しみだ
あと来月の付録連載もね
多分「信仰」(笑) (Wrlz)
2012-04-28 11:56:49
>arisa様

もう、何と言うか、私は中原アヤ先生の描いた作品は全て大好きなんです。
このブログの文章は、所々、論理的におかしいはずです。そのおかしい部分は、「信仰」ということで(笑)

もちろん、深読みしようと思えば、登場人物の名が全て「色」だとか、色々あります。鬼に打ち勝てる力を持つ「桃」が、「青」の鬼ではなく「赤」の鬼を射止めるとか。でも、そういうのと全く無関係に、とにかく可愛くて面白くて楽しいんですよ! この漫画は!

『bianca』の新作も『ラブ★コンTWO』も、楽しみでたまりません。新作が『ベリーダイナマイトTWO』だったら…私は嬉しさのあまり鼻血を吹いて嬉し死にできます(笑)

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

あわせて読む

関連するみんなの記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。